文部科学省の前川喜平前事務次官が名古屋市立中の授業で講演した内容を、同省が市教育委員会に報告するよう求めた問題を巡り、前川氏は17日、「文科省がやりたくてやっているわけではない。やらせている人がいるのでは」との見方を示した。神戸市内で開かれた講演会で言及した。
前川氏は不登校の子どもらを国や自治体が支援することを明記した「教育機会確保法」をテーマに講演。冒頭、この問題に触れ、「国の教育行政は抑制的でなければならない」と強調した。さらに「(調査の)向こうにいる人を突き止め、『政治による不当な介入だ』と(指摘する必要がある)」と語り、政治側から力が働いた可能性もあると考えていることを示唆した。
前川氏は講演終了後に神戸新聞社の取材に応じたが、「名古屋市教委や(講演した)学校長が立派に対応しているので、お任せしたい」と述べるにとどめた。一方で、自身の現役時代に今回のケースのように個別の学校の授業内容を調査したことは「ない」と言い切った。(田中陽一)