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ラ・サール生はスマホ禁止の寮で育つ 4割が医学部へ ラ・サール中学・高校のドミンゴ・ビヤミル校長

2018/3/18

鹿児島市のラ・サール中学・高校

 全国有数の中高一貫のミッション系男子校、ラ・サール中学・高校(鹿児島市)。1970年代から東京大学の高校別合格ベストテンに入り、80年代には100人を超す合格者を出して開成高校や灘高校と上位を争った年もあった。現在の東大合格者はその半分以下の水準だが、今度は国公立大学医学部の合格率で全国トップを競っている。西郷隆盛や大久保利通ら明治維新の英傑を輩出した鹿児島で、新たな人材を生み出すラ・サールを訪ねた。

■3人に1人が医学部に

 「ハイレベルでアカデミックな学校。生徒たちは勉強もよくやるが、寮生活を通して、うまく自分をコントロールできる自立心を養っている」。桜島を望む鹿児島市南部にあるラ・サール。メキシコ出身のドミンゴ・ビヤミル校長は流ちょうな日本語でこう話す。

 カトリック系の教育修道会であるラ・サール会(本部ローマ)には世界に1100程度の学校がある。ブラザーと呼ばれる修道士として各国を回ったドミンゴ校長は、2年前に38歳で校長に就任したが、ラ・サール生のレベルの高さに驚いたという。

 ラ・サール中学の1学年の定員は160人、高校は240人。2018年の合格実績(3月16日現在)は東大42人、京都大学10人、国公立大学医学部は80人前後になる見通しで、私立を含めると、ラ・サール生の約4割が医学部に進む。ラ・サール在籍42年を数える谷口哲生副校長は、「以前は東大志向だったが、官僚や弁護士が不人気で文系志望が少なくなり、今は圧倒的に医学部志向になった。合格率では全国トップ3には入りますね」という。

 東大の合格者が100人を超えたのは7回、最高は117人だった。この10年余りで東大一直線からシフトしたわけだが、OBから「医学部偏重」を懸念する声も高まるほどだ。だが、現在のラ・サール生の3分の1の保護者は医師で、入学時から医学部を目指す生徒が多い。国公立の医学部の難易度は年々上昇して旧帝大クラスでは、東大理科1類や2類の偏差値を上回るケースもある。「医学部志望の生徒を東大に変えれば、合格者は一気に伸びるでしょうが、あくまで生徒の希望に任せていますから」と谷口副校長は苦笑いする。

 
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