金曜日の夜、フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)が英国のデータ・マイニングならびにデータ解析企業、ケンブリッジ・アナリティカ(非公開)のアカウントを規約違反で消去、フェイスブックから追放しました。

ケンブリッジ・アナリティカはケンブリッジ大学の計量心理学(Phychometrics)研究所のメンバーが立ち上げたビッグデータに基づく心理学的属性(Psychographics)分析のコンサル会社です。

サイコグラフィックスは、個人のパーソナリティーを大きく次の5つの要素に分解します:

冒険心(Openness)=知的好奇心に満ちているか?
念入りさ(Conscientiousness)=計画性、頑固さ、だらしなさ
社交性(Extraversion)=人懐っこさ、目立ちたがり屋
愛想の良さ(Agreeableness)=同情しやすい、協力しやすい、騙されやすい
神経質さ(Neuroticism)=怒り、不安、落ち込みを感じやすい


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(出典:ウィキペディア)

ケンブリッジ・アナリティカは、上に挙げたような個人の性格を切り口に、一人ひとりの有権者に対してターゲット広告を打ったほうが、マスメディアでブランド・イメージを形成しようとしたり、人種、年齢、住んでいる場所、所得などの大雑把な属性でキャンペーンを考案するより遥かに効果的だと主張しています。

問題はケンブリッジ・アナリティカの親会社、SCLはBrexit賛成派のロバート・マーサー(巨大クウォンツ・ヘッジファンド、ルネッサンス・テクノロジーのコア・メンバー)、トランプの選挙参謀を務めたスティーブ・バノンなどに所有されており、Brexitやトランプの選挙キャンペーンにケンブリッジ・アナリティカの解析ノウハウが援用されたのではないか?という疑問が投げかけられている点です。

今回、フェイスブックがケンブリッジ・アナリティカのアカウントを消去した直接の理由はケンブリッジがフェイスブックを通じて取得したユーザー情報をフェイスブックに隠して二次利用していた疑惑が生じたためです。

しかしその背後にあるのは「個人データは、一体、誰のものか?」という問題です。


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