神戸出身の拉致被害者、田中実さん=失踪当時(28)=の「入国」を北朝鮮が2014年に認めていたとの情報を受け、田中さんの高校時代の恩師、故渡辺友夫さん(享年75)の長男慎太郎さん(56)=神戸市垂水区=は16日、「予想もしていなかった展開」と驚きを口にした。
友夫さんは生前、身寄りのない田中さんを案じ、拉致問題の解決に奔走。遺志を継いだ慎太郎さんも、田中さんが既に68歳となったことを気に掛けてきた。今回の情報では北朝鮮が田中さんの「生存」も認めていることになり、「とにかく元気なうちに、日本の土を踏んでもらいたい。高校の同級生たちも待ちわびている」と述べた。
北朝鮮は平昌(ピョンチャン)五輪を機に態度を急激に軟化。同じく神戸出身の拉致被害者、有本恵子さん=失踪当時(23)=の高齢の両親らも、早期帰国への望みをつないでいる。慎太郎さんは「拉致問題は日本が声を上げなければ解決しない。今が最後のチャンスかもしれない。南北や米朝首脳会談に乗り遅れないよう、ぜひ日朝首脳会談の実現を」と政府に求めた。(段 貴則)