JRダイヤ改正で日本一早い始発の運行区間短縮 「仕事に間に合わないかも」 始発は行橋駅、到着30分遅く [大分県]

行橋駅までは乗客は少なく、「日本一早い始発列車」の車内は静けさに包まれていた
行橋駅までは乗客は少なく、「日本一早い始発列車」の車内は静けさに包まれていた
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 17日のダイヤ改正で、JR旅客6社では最も早い始発列車の日豊線の午前4時17分柳ケ浦(宇佐市)発門司港(北九州市)行きは区間短縮され、始発駅が行橋駅(福岡県行橋市)に変わった。この「日本一早い始発列車」で北九州市まで通勤してきた中津市の男性は、新ダイヤで最寄り駅到着が30分以上遅くなり、「仕事に間に合わなくなるかもしれない」と頭を悩ませている。

 3月上旬の同4時35分、中津駅。北九州市の製鉄所へ通う菅川智さん(31)は柳ケ浦駅から来た始発に乗り、4両目の一番後ろの席に座った。2005年に入社して以来、同7時から始まる3交代制の早朝勤務の日はこの列車を使ってきた。

 「ダイヤ改正案を見て、がくぜんとした」。菅川さんが下車するのは、会社まで徒歩約10分の西小倉駅(北九州市)。ダイヤ改正で、柳ケ浦駅を同4時49分に出る始発列車に乗っても、西小倉駅到着は同6時14分で、改正前より30分以上遅くなる。引き継ぎやミーティング時間を考慮して約1時間前には出勤をするのが会社の通例で、間に合わない恐れがある。

 列車が利用できないなら、残る手段は車。しかし、帰りの列車では疲れ果てて寝てしまうほどの勤務なのに、1時間以上車のハンドルを握るのは、正直怖い。車での移動時間を短くするために、東九州自動車道の利用や行橋駅まで車で通うことも考えてみたが、高速代や駅周辺の駐車料に対する会社の負担制度は今のところない。

 先月から3交代制勤務を外れて同8時半始業の部署に異動したため、しばらくは新ダイヤでも間に合う。ただ異動は約1年ごと。来年には3交代制に戻るかもしれない。中津方面から通う3交代制の同僚たちは、遅刻を懸念しながらも「遅くなった始発」で試してみるという。

 振り返ると、中津駅から始発に乗る客は少ないと感じていた。それでも早朝勤務には欠かせない列車だった。「元のダイヤに戻してもらいたい。ただそれだけ」。もやもやした思いを抱えたまま、ダイヤ改正の朝を迎えた。

=2018/03/17付 西日本新聞朝刊=

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