ビジネスシーンにおいて使うカバンは実に多様化している。
ブリーフケースはもちろんのこと、ショルダーバッグやトートバッグ、特に通勤においてはリュックサックなども含め、様々なカバンが使われるようになっている。
あなたも、普段は使い勝手やデザインで選んだ通勤用バッグを愛用しているのではないだろうか。
しかし「就職面接ではどんなカバンがいいのか?」と思ってこのページを開いた人は多いはずだ。
就職面接では、ビジネスパーソンとしての「人となり」が判断される。
- 社会人としての常識は備わっているかどうか
- 自社に入社したいという意欲が感じられるか
- 顧客や取引先との商談の場に出すことが出来る人物か
カバンを含め、面接者の身だしなみのひとつひとつから面接官はそれらを判断する。
したがって、就職面接では自身の使い勝手や好みが主体ではなく、相手からどう見られるかということが重要である。
それは一般的にいうファッションセンスやコーディネートの問題ではない。
TPOを弁えているか、その場に相応しい身だしなみの選択が出来るかどうか、そこに社会人として最低限の常識や教養の一端がうかがえると言ってもいいだろう。
では、就職面接という場にはどのようなカバンがふさわしいのか。
今回は企業の採用担当者を経験してきた筆者が、転職面接にふさわしいカバンの全てをお伝えしよう。
またカバンにとどまらず、面接において好印象を与えることの出来る服装や身だしなみについても併せて紹介するのでぜひ参考にして欲しい。
大前提:転職面接には「カバン」は必須
面接を受ける時はすでに履歴書や職務経歴書といった応募書類は提出済み、面接に持参する必要がないこともあるだろう。
また自家用車で面接に出向くこともあるかも知れない。
それでも就職面接にカバンは必要であると念のため言っておきたい。
就職面接には筆記用具、メモまたは手帳、応募書類の写しなどを持参するのが望ましい。
企業によっては会社案内を渡される場合もある。
そうなるとカバンは当然、必要である。
女性は普段から外出の時はバッグを持っていると思うが、男性でも普段ポケットに入れている財布や携帯電話などはカバンに入れておく方がスマートなのは言うまでもないだろう。
カバン選びや面接時の扱いに悩んだとしても「不要」という選択はないと覚えておこう。
男女共通!転職面接のカバン選びの鉄則
では早速、転職面接に相応しいカバンをご紹介していきたい。
見た目の印象だけでなく機能についても画像と共に紹介するので参考にしてみて欲しい。
どこに置くかを考えたら自立することが前提
カバンの役割や、どこに置くかを考えた時に「自立するカバン」であることは必須だ。
面接の会場は多くがその企業の会議室などだろう。
あなたは面接会場に入室し、面接官に「どうぞ」と着席を促される。
さてこの時、手に持ったカバンをどこに置くだろうか。
カフェや病院の診察室のように荷物入れのある面接会場はまれだろう。考えるまでもなく、床に置くことになる。
置いたカバンが床にペタリと横たわっている姿というのはいかにも見苦しいし、書類を取り出す時にも苦労する。
席を立つ際にも床から拾い上げるようにしなくてはならず、やはりスマートさに欠ける。
それを踏まえればカバンは自立タイプであることが必須なのだ。
自立タイプのカバンとは、カバンの底がやや硬く、鋲が付いているものをいう。
ただし、安物の中には鋲がついていても実際のところ自立しないものもあるので注意が必要だ。
すっと手を放すようにその場に置くことができ、持ち上げるのも少し身をかがめるだけでよい。
リクルートバッグやブリーフケースの多くがこのような作りになっているのはそういった理由からでもある。
店頭で手に取って購入する場合は実際に床の上に立つかどうかを確認したい。
また、インターネットで購入する場合は自立と記載があっても画像などを参考にして確認することをオススメする。
カバンはA4サイズ、角形2号が入る大きさが基準
カバンの大きさは、A4サイズ・角形2号が入る大きさが基本だ。
現在、官公庁をはじめ多くの国内企業が書類に採用している用紙の規格はA4サイズである。
応募書類も自然とA4サイズ(210mm×297mm)がほとんどで、これを折り曲げることなく入れられることが最低限のカバンの大きさだ。
さらに、このサイズの書類に用いられるのが角形2号という規格の封筒である。
角2封筒とも呼ばれ、サイズは240mm×332mm。
この封筒が綺麗な状態で入るカバンが就職面接に適したカバンである。
強調するまでもなく就職面接において自身の応募書類や企業から渡される会社案内は重要書類である。
時々三つ折りにして封入した履歴書を持参する方を見受けるが、これは郵送の都合でそのようにするのであって持参するのであれば折らないことが望ましい。
実際、仕事の場で重要な契約書をお客様の前で折り畳んで持ち帰る営業マンは好印象だろうか。
転職面接が自分自身を売り込む営業だと考えれば、書類の扱いにも気を遣いたいものだ。
もちろん書類をそのままカバンに入れるのも印象が悪く、封筒やクリアファイルに入れ、汚れや曲がりのないように扱うのがベストなマナーである。
このような理由から、大きさや形では角2封筒が入ることを目安にするのが鉄則だ。
カバンの色柄・素材はリクルートスーツの基本色に合わせる
リクルートスーツの基本色は、黒(ダークグレー)、グレー、ネイビーと言われている。
柄は無地またはストライプがやはり基本である。
カバンもこの基本色に合わせるとより良い印象となる。
多少色が変わるとしてもダークブラウンなど落ち着いたものを選び、柄は無地を選ぶのが良い。
さらにスーツとカバンを同じ色にするのであれば、素材を変えた方が野暮ったくなりにくい。
例えば黒のスーツに黒のカバンであれば、革素材のカバンがすっきりとした印象になる。
ちなみに靴とベルト、カバンの色を合わせるようにするとコーディネートとしてバランスが取れるのでオススメだ。
これは就職面接における身だしなみの全てに通じるのだが、あくまでシンプルにするのが鉄則だ。
前述したように、相手にどのような印象を与えるかが重要なのだ。
服装やカバンの色柄で自己を主張しても、相手の好みは様々で、どういう印象を与えるかは分からない。
カバンとしての機能は果たすが、悪目立ちしないというのが転職に適したカバンの条件と言える。
カバンの外付けポケットやベルトなど、カバン全体のデザインにも同様のことが言える。
女性用であればブランドエンブレムがついたデザインはそのブランドの就職面接以外避けるべきだ。
またチャームが付いているものは外し、バックル一箇所くらいのデザインが妥当だろう。
牛革やオーストリッチなどは素晴らしい素材だが、転職用のカバンは高級である必要はない。
価格や手入れのしやすさなどからも、合皮製でも充分だ。
ナイロン製でも合皮製でも、シワやヨレ、汚れがなく、面接を受ける時の姿勢のようにピンとした印象を与えるものであれば受けが良いと考えてよい。
シンプルでかつ、作りの良いものをスーツの色に合わせて用意する。これも就職面接のカバンを選ぶポイントだ。
一目でわかる!転職面接の対策バッチリなカバンの中身とは
転職面接においてカバンの中に入れておいた方が良いものは前にも触れた通り。
- 応募書類またはその写し
- 筆記用具と手帳またはノート
これらがすぐに取り出せることが必要だ。
また、受け取った書類や会社案内、自分が出したものを戻す時も、もたつくことなく収納したい。
その他、カバンの中に入れておいた方が良いものとしては次のようなものがある。
- 携帯電話や財布、定期入れなど
- 折り畳み傘
- 化粧品など身だしなみを整えるアイテム
特に男性は、スーツのポケットに入れるのはハンカチ程度にしておくのが好ましい。
出し入れのスマートさは、採用後の仕事ぶりを担当者に想像させる。
もしカバンを扱う時に面接官からちらっと中身が見えたとしても美しい状態にしておきたいものだ。
整理整頓ができる、事前準備にそつがないというのは社会人としての意識の高さを感じさせ、好印象を与えやすい。
面接当日の持ち物についてより詳しく知りたい人は、下記の記事も参考にしてほしい。
転職面接でマイナス印象になってしまうカバンの例
ここまでは、就職面接において好印象となるカバンについて紹介してきた。
続いては、逆に悪印象を与えるカバンについて、例を挙げて紹介したい。
手持ちのカバンで面接に行っている場合、このようなケースに当てはまっていないか、今一度チェックしてみて欲しい。
色柄やデザインの主張が強すぎて悪目立ちしている
色柄、デザインの主張が強いカバンは、休日に使うものとしては何の問題もない。
むしろ個性的でファッション性も高い、良いバッグともいえるだろう。
しかし転職面接において、企業はそういった意味での個性や主張は求めていない。
脇役であるはずのカバンが、主役であるあなた以上に悪目立ちして邪魔をしては元も子もないのだ。
面接において本当に主張すべきはあなた自身のスキルであり経験であるはずだ。
好みを左右するような色柄やデザインは、たとえ面接官の好みに偶然合ったとしても避けるべきだろう。
バッグや服装がシンプルであるからこそ、面接者本来の個性が見られやすくなるのだと考えて欲しい。
大き過ぎる、詰め込み過ぎているカバンは段取りの悪い印象に
カバンに必要書類を折りたたまずに収納できる大切さはお話しした通りだ。
しかし、大は小を兼ねるにも程度というものがある。
A3サイズやそれ以上が入るようなバッグは、ポートフォリオなどを入れているデザイナーなどであればともかく一般職の転職面接には大き過ぎる。
見た目の印象もさることながら、適切な選択ができることが好印象に繋がるのだ。
以前、遠隔地にお住まいの方を面接した際に、前泊したその荷物も一緒に持って来られたことがある。
事情は分かるがコインロッカーを利用するなど、面接会場まで持ってくる荷物は必要最低限にした方が良い。
また、転職面接であれば現職の就業前後に面接ということもあるだろう。
通勤用のカバンがノートPCや書類などでパンパンに膨れ上がっていないだろうか。
女性の中には手荷物が多く、メインとサブ、2つのバッグを持っている方も時折見受けられる。
これらはみな、就職面接の場においては避けた方が良い。
その場に相応しい対応ができるかどうか、という点において段取りの悪さ、要領の悪さを感じさせる可能性があるからだ。
場合によっては「万全の準備を整えられていない=大切な商談が任せられない」という所まで評価が及ぶかもしれない。
パンパンのカバンを見て、担当者はそういったネガティブなイメージを膨らませるかもしれないのだ。
もちろん面接官も当然、日常の生活や通勤があり、人それぞれの事情は汲み取ることができる。
しかしやはり面接という、人生を左右しかねない大切な場に臨むにあたって、段取りの悪さは悪印象である。
器用か不器用かはさほど問われないが、ここぞという場面に臨む意識の高さが問われていると考えよう。
肩にかけるバッグは面接に不向き
結論からいうと、通勤でよく見かける肩掛けストラップのあるカバンやリュックサックは面接には向かない。
なぜならカバンをおろす時、面接が終わって背負う、肩にかけるなどの動作が多いからだ。
例えば、話をしながら癖なのか眼鏡をかけたり外したりする面接官がいたとする。
面接を受けるあなたにとってその面接官の印象は眼鏡に行ってしまわないだろうか。
「うるさい動き」というのはその人物の印象を左右するのだ。
カバンそのものの見た目がシンプルを旨とするように、その扱いもシンプルが良い。
女性用など持ち手が肩にかけられるカバンは良いが、面接会場や企業の建物に入る時には肩からおろして手で持つのが基本。
こういったマナーも、リュックサックや肩掛けストラップのあるカバンだと手間取ることは想像できるはずだ。
そもそも肩にかけられるようになっているカバンは重さの負担を和らげるためのものだ。
通勤には快適でも、面接の場にはふさわしくないと言えるだろう。
女性編:カバン選びの注意点と服装マナー
さて、ここまで面接用のカバン選びの鉄則と悪い例を紹介してきた。
かなり具体的にカバンを選ぶことが出来るようになっているのではないだろうか。
ここからは男女別に、実際の商品で筆者がオススメするカバンをご紹介したい。
また、服装のマナーなどにも触れておくので参考にしてみて欲しい。
まずは女性向けにおすすめのカバンから見ていこう。
女性向け:シンプルでコストパフォーマンスに優れた目々澤鞄
目々澤鞄は足立区千住で70年近く鞄の販売を手掛けてきた専門店。
現在ではAmazonやYahoo、楽天などショッピングサイトにも出店している。
前述のポイントのおさらいになるが、
- 自立タイプ
- シンプルなデザイン
- 角2封筒の収納が出来る
この辺りのポイントはしっかり押さえられている。
さらに、持ち手が倒れるようになっており、面接のシーンを考えた作りと言えるだろう。
また、デザインもリクルートバッグの堅く野暮ったい雰囲気ではなく、女性向けに柔らかくしているのも好印象だ。
また特筆すべきはそのコストパフォーマンスである。
下の画像にある商品は9,000円前後の価格で販売されている。
何かと入用な転職活動においてこのコストパフォーマンスは魅力だろう。
次の写真で紹介しているELLEモデルでも18,000円程度と手頃だ。
それでいて必要なサイズ、機能を備え、見た目の印象も良い。
ここで紹介したバッグはリクルートバッグのためブラックのみの展開となっているが、同店では女性用ビジネスバッグを多く取り扱っている。
デザインと色がシンプルであればネイビー、グレー、ベージュなどでも印象を損なうほどのことはない。
就業後も普段使いが出来る色を選ぶのも選択のひとつだ。
しかしながら面接の場には、合わせやすく、好みを問わない黒をおすすめしたい。
女性のスーツ選びは上品、清潔感、ジャストサイズがポイント
面接に臨むにあたっては当然スーツが望ましい。
学生の就活時代から新入社員を経て、スーツからオフィスカジュアルへと服装が緩やかになっている女性は多いだろう。
今一度スーツの着こなしをチェックしてみてもらいたい。
女性のスーツスタイルの基本は、
- スカートの丈、胸元なども含め上品である
- スーツの色、ブラウスの白みにも清潔感がある
- ジャケットのサイズ感が合っている
この3点を押さえておくことが重要だ。
最初の2点はさほど難しくはないだろう。
- スカート丈は短くないように
- 胸元のボタンは開けてもひとつまで
などラフにならないように気を付けたい。
パンツスタイルであれば折り目がきちんとしていることも重要だ。
また、ブラウスの白にも微妙な違いがある。
細かいようだが、やや黄みがかった白よりは青みがかった白の方がより清潔感があり面接に向いている。
3点目のサイズ感は自分ではなかなか気づくことが難しいかもしれない。
着ていこうと考えているスーツがあれば一度着て、全身を写真に撮ってみて欲しい。
- 肩にだぶつきや窮屈さがない
- 袖は長すぎず手を伸ばした時に手首にブラウスの袖がやや出る程度
- 前のボタンを留めて体をひねっても窮屈さやだぶつきを感じない
こういった点をチェックしてみて欲しい。
オーダーメイドとまではいかないまでも、合ったものを着ていることが好印象だ。
メイクやストッキングは必須
普段あまりメイクをしないという方でも就職面接にはきちんとメイクをした方が良い。
メイクのポイントは「健康的に見えること」だ。
健康そうに見えるナチュラルメイクが基本
派手さや可愛らしさを前面に出すのではなく、ナチュラルに見えるメイクをしっかりめにする。
顔色が健康そうに見えることが重要なのだ。
就職にあたって不健康に見えるというのは、不潔と同様避けるべきだろう。
また泣き顔、困り顔に見られがちな女性は眉の形でイメージを改善することが出来る。
元気に働いてくれそう、という印象は男女ともに高評価に繋がりやすいので押さえておきたい。
ストッキングは無地のベージュがオススメ
またストッキングは無地のベージュのものを着用する。
スーツスタイルに黒のストッキングは、基本お悔やみの席のスタイルである。
健康な印象のためにストッキングを履かないという考えもありそうだが、それは上品さに欠ける。
一般的なマナーでは30デニール以下のものとされているが、真冬などは多少厚めにしても問題ないだろう。
パンツスタイルであっても着席すると足首から黒いストッキングが見えることがある。
パンツの下に着ける場合でもベージュ系で上品さと清潔感を損なわないようにしたい。
ネイルはしても目立たない程度のピンク系か、ネイルコート程度が良い。
爪自体も短めに整え、上品さより清潔感を優先したい箇所だ。
- 見える面積が大きい箇所は上品さ
- より細かい箇所は清潔感
が伝わりやすいと考えておくと良いだろう。
何もしていない自然な状態に近く、それでいて隅々まで気を遣っているのは好印象を与えやすい。
準備にはそれなりの時間を要するが、面接への意気込みのうちと考えてチェックしてみて欲しい。
男性編:カバン選びの注意点と服装マナー
続いて、男性のオススメなカバンについても紹介していきたい。
基本は女性と同じだが、異なるのは手で持つブリーフケースタイプをおすすめする点だ。
ビジネストートも近年流行はしているが、ここではビジカジスタイルではなく「転職面接にふさわしい」という前提があることを再確認しておきたい。
土屋鞄:仕事にこそとっておきの物を使うという姿勢が好印象
ここでは、国産の革製品にこだわりのある土屋鞄のビジネスバッグを紹介する。
元々はランドセルの製作を手掛けており、その品質は確かだ。
シンプルでかつ、仕立ての良いカバンであることが画像からでも分かって頂けるだろう。
価格は140,000円とやや値が張るが本革製品なので長年にわたって使うことが出来る。
- 自立する
- 収納性が高い
- シンプル
これらのポイントは当然クリアしているが、このバッグの良いところは一目見て良い物だと伝わるところだ。
転職においては担当者面接のほか、最終選考に役員面接を設けるところも少なくない。
ある程度年配の役職者や役員であれば「ちょっといい物だな」と気が付くことも多いだろう。
新社会人が持つとかえってカバンの印象が強くなってしまうかもしれないが、転職面接であればあえてちょっと良い品質のものを選ぶのもおすすめだ。
ナイロン製のバッグでも品質が良く、コストパフォーマンスに優れているものがある。
例えばPorterのブランドで知られる吉田カバンなど、人気のブランドはご存知だろう。
現在こういった人気ブランドの主流は2way、3wayバッグだ。
ブリーフケースもスリム化の傾向があり自立しないものも多い。
2wayなどはストラップを外してブリーフケースとして手持ちで使うか、土屋鞄のようなやや昔気質のブランドから検討してみることをおすすめしたい。
趣味やプライベートも大切だが、仕事の道具だからこそちゃんとした物を、という姿勢は好印象を与えるだろう。
男性の服装は爽やかでシンプルが正解
面接における男性の服装も基本はスーツだ。
出来れば面接を機に一着新調するつもりで臨みたい。
色柄がシンプルであることを押さえておけば、あとは普段のスーツ選びと大きな差はない。
しかし、普段着まわしているものはそれなりにくたびれていたり、気を遣わない男性の場合はシワが目立ったりしていることもまま見受けられる。
これでは入社に対する意欲が低いとみられても仕方がないのだ。
- 新品またはクリーニングされている
- パンツの折り目がきれいにプレスされている
- 二つボタンのシングルが基本で上のボタンひとつを留める
- ネクタイは紺のストライプなど爽やかな印象のものを選ぶ
- スリーピースのスーツやデザイン性の高いストライプ、チェックなどの柄は避ける
これらをぜひ意識して面接に臨んでもらいたい。
ちなみに、ピンストライプのスリムなスリーピースは確かに仕事が出来る印象はある。
しかしアパレル業界でもなければスタイリッシュな服装のイメージは逆効果になることがあるのだ。
オシャレであることは悪いことではないが、転職面接の場では軽い人物と見られやすい。
また靴もスーツ同様、くたびれていないか、かかとがすり減っていないかチェックしてもらいたい。
見られないようで案外こういった部分には面接官の目が行くものだ。
男性向けのカバンの紹介では品質の良い物をおすすめしたが、全てを高級品にする必要はない。
女性と同様に清潔感が第一で、デザインはシンプルさを重視した方が良い印象となるのだ。
女性より男性の方が顔周りの身だしなみに気を遣うべき
一概には言えないが、女性に比べ男性の方が清潔感に劣る。
また女性はメイクによってある程度印象を変えることが出来るが、男性こそ素の身だしなみが重要となる。
- 爪は短く切っておく
- ヒゲは剃り残しのないようにする
- 鼻毛、眉などの無駄な毛を処理しておく
- 髪は顔を隠さないように散髪し、整えておく
- 唇の乾燥や脂っぽい肌は面接の直前にケアしておく
これらを当日の朝や面接前までに鏡を見てチェックして欲しい。
面接で最も長い時間見られるのが顔であることは言うまでもない。
目立つところはもちろん、何となく目に入ってくる情報はあなたの印象を大きく左右するので要注意だ。
言われてみれば気が付く程度のことも、無意識にその人の印象に影響している。
普段そこまで気を遣っていない男性であっても、初めてのデートの前のように気を遣って欲しい。
汗をかいてしまった時は一言断ってから拭くこと
また、夏場では汗をかいて面接に臨む男性が見受けられる。
面接会場に着いてから涼む余裕があるとも限らないし、クールビズで弱冷房の中スーツというのは確かにつらいと思う。
そういう時には「失礼します」と断ってから汗を拭くようにした方が良い。
滴りそうな汗を拭っていいのか分からずに気にしていては面接どころではないし、面接官もまた気になってしまう。
きちんとした状態のハンカチを持っており、さっと拭くのであれば全く問題ない。
きちんと断りを入れる、素早く対処が出来る、という姿の方がかえって印象は良いものになる。
夏場の面接の際には覚えておいて欲しい。
面接前~後まで、カバンの扱い方
先にも触れたが、面接において必要以上の動作は極力少ない方が好印象だ。
細かい動きが多いのは落ち着きがなく要領の悪い印象を与える。
日本語には「動作」よりやや格調の高いニュアンスで「所作」という言葉があるが、転職面接で意識したいのはまさに「所作」の方である。
(1)建物に入ったら、カバンは手に持つこと
まず、建物に入ったらカバンは肩や手首にかけず、手に持つようにする。
コートを着ているなら脱ぐのと同じように習慣として身に着けたい。
受付など、人と話をする時は必ず両手でカバンを持つようにする。
肩にカバンをかけたままお辞儀をするようなことのないように気を付けるべきだ。
案内される時や立って待つときも同じ姿勢である。
(2)椅子に座る時はカバンは床に置く
椅子に座って待つ時には、原則として床に置く。
こういったシーンのために自立タイプのカバンを用意していれば、音を立てずにスマートに置くことが出来るはずだ。
独立した椅子であれば椅子の右側か左側に置く。
ベンチなどであれば自分の足の脇に置く。
電車の中で足の間に置くことがあるが、狭い電車内のマナーであって面接の場合は足の右か左脇が正解だ。
無駄な所作がないよう、基本的にはカバンを持つ手の方に置いて構わない。
また、ショルダーになっている女性用バッグの持ち手は倒さないよう手を添えておくと立ち上がる時よりスムーズだ。
(3)面接会場に入る際も両手で持つのが基本
面接会場に入る時も要領は同じである。
基本は両手持ちで、片手でカバンを持つのは、ノックとドアの開け閉めくらいのもの。
自分で椅子を引くのならカバンを床に置いてから、椅子を引く。
カバンを持ちながら、座りながら、など「ながら動作」は雑な印象を与えやすい。
ともかくカバンは、床に置くまでは両手で持つのが基本だ。
(4)面接会場で座る時のカバンの置き方
面接の場面で「どうぞ」と声を掛けられてから座る、というのはおそらくご存知だろう。
「失礼します」と答えてからカバンを置き、椅子に座る。
この時自分のカバンをまたがないように、置く場所と座り方に気を付けて欲しい。
- 座ってからカバンから手帳や書類を出す際
- 受け取った会社案内を入れる際
はカバンを膝の上に置く。
この時も倒した状態でカバンの口が自分の方を向くようにして扱う。
床の上に立っているカバンからゴソゴソと取り出すのは見た目にも悪いので避けるべきだ。
当然「失礼します」という一言を付け加えるのが必要なマナーだろう。
(5)面接が終わって退出する際のカバンの持ち方
面接が終わって立ち上がる時は、立ってお礼を言い、頭を下げ、相手からのリアクションを受けてからカバンを持つようにしたい。
慌てて帰るような仕草はやはり落ち着きのない印象を与えやすい。
カバンを持って退室する際はやはり両手持ちで「失礼します」と会釈してからドアを開ける。
ひとつひとつ、流れるような所作である必要はない。
ただ、2つのことを一度にしようと焦らないことが肝要である。
その所作がマナーとして正しいかどうか、ということはさほど重要ではない。
落ち着きがあるか、一言断りを入れる、お礼がきちんと言える、そういうことが好印象に繋がる。
就職面接においてカバンを扱う正しい所作をまとめると次のようになる。
- 訪問先では基本的に体の前で両手持ち
- 一度に二つ以上の「ながら」をしない
- 大切なのは目の前の人、断りやお礼は丁寧に
- 物を取り出す時は一旦カバンを膝の上に
- カバンを置く時は足の間ではなく横に
一つひとつはさほど難しいことではないので、慌てずに実践して欲しい。
まとめ
今回は、転職面接におけるカバン選びとそれにかかわるマナーを詳しくお話ししてきた。
ここまでの重要ポイントを今一度チェックしておきたい。
面接ではカバンを含む身だしなみからも「人となり」が判断される。
- 社会人としてTPOを弁えた選択ができるか
- 面接に対して準備に手間や時間を惜しまず入社意欲を窺うことが出来るか
- 応募書類や会社案内を重要書類として正しく扱えるか
そして、カバンや身だしなみで印象は大きく変わってくる。
- 脇役であるカバンや身だしなみが主張して悪目立ちすると主役である自身の印象が薄れてしまう
- 面接前後の事情を思わせる状態のカバンは段取りや要領の悪い印象を与えやすい
- 身だしなみはや持っているカバンから上品さ、清潔感を伝える
- 扱いやすいカバンを持つことで面接時の所作を良く見せる
面接にふさわしいカバンを具体的に挙げると次のようになる。
- 自立し、床にスマートに置くことが出来ること
- 無地でシンプルなデザインであること
- 色は黒をはじめ、スーツの基本色に合うものであること
- 角形2号の規格の封筒が美しく出し入れできること
- 手に持って扱うブリーフケースか女性はトートタイプのもの
- 2wayバッグなどはストラップを外し、手に持って扱うようにする
たかがカバンと思われるかもしれない。
しかしこうして見ると所作を変え、自身の印象にも影響することが分かるはずだ。
おそらく多くの方が冠婚葬祭に臨む時、服装や持ち物に相応の気を配るのではないだろうか。
お相手の一生に一度に対して失礼のないようにするのが常識ある社会人でもある。
転職面接もまた、自身の人生を共にする仕事を決める大切な場面だ。
後悔することのないよう準備を万全に整え、胸を張って臨んでほしい。