自然界は弱肉強食の世界だ。だが稀に驚きの光景を目にすることがある。ライオンのメスが小さなキツネに情けをかけたり、バッファローがゾウの子を助けたり、種の違い超えて行動する動物たちの姿がそこにある。
アフリカで、異種の子を慈しむライオンが話題になっている。そのライオンはわが子を同族に殺されたのち、スプリングボックの赤ちゃんに愛情を注ぎはじめたというのだ。
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小さなスプリングボックを熱心に世話するメスのライオン
ナミビアのエトーシャ国立公園でライオンを観察していた動物写真家のゴードン・ドノヴァンは、ライオンの不思議なふるまいに気づいた。一見、ライオンのメスが獲物で遊んでいるように見える。だがそうではない。
ライオンのメスは、幼いスプリングボックを我が子のように世話していたのだ。常に自分の手の届く範囲にスプリングホックを置き、絶対的保護者として外敵から守ろうとしている。
その姿は母親が愛する我が子をいつくしむ姿そのものだ。自らの体の中にスプリングボックを入れ、やさしく抱くメスライオン。
image credit:dailymail
ドノヴァンは自然界の掟に従い、メスライオンが幼いスプリングボックの命をこれから奪うだろうことを予測し、カメラを構えていたが、その瞬間が訪れることはなかった。
image credit:dailymail
メスライオンは、その小さく華奢な命を奪う代わりに、やさしく丁寧になめ上げてグルーミングを行っていた。
image credit:dailymail
飢えた同族から2時間以上「わが子」を守り続けた
予想外の光景に驚いてたドノヴァンだが、そこに別のメスライオンたちがやってきて、スプリングボックを狙い始めた。
妊娠中のライオンたちは獲物を探していたのだ。だが先ほどのメスはその子を守り抜いた。同胞に渡すことを拒んだ。
その攻防戦は2時間以上も繰り広げられたが、メスライオンはスプリングボックを守り抜いたのだ。
メスライオンは実の我が子をオスに殺されていた
そしてドノヴァンはガイドからこんな話を聞いた。
このメスライオンにはかつて血を分けた子どもたちを連れていたが、新しく群れに入ってきたオスに地位を奪われ、わが子を殺されたという。彼女が産んだ幼いオスたちはすべて同胞に襲われて亡くなったのだ。
以来、彼女はこのスプリングボックの子をわが子のように育てているだという。その子を優しく抱きしめ、毛づくろいし、遊ばせたりするメスのライオンは、飢えた仲間が近づくことも許さない。
image credit:dailymail
本来獲物になるはずの幼い子を慈しみ育て上げようとするメスのライオン。
この光景に魅了されたドノヴァンは「自然の神秘というべきか、誰もが予想ができない展開があるものです」と語っている。
時に母性は種の違いを超える。もしかしたら我々人間が気が付いていないだけで、自然界ではわりと頻繁にある光景なのかもしれない。たとえそれが気まぐれでも。
References:dailymailなど /written by D/ edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
記者は感情に訴える様な美談にしようとしてるが
実際の所は歪んだ依存の発露だよねこれ
野性動物にだっていろいろしがらみが有るのよ
とかで〆た方が逆に深いハナシになりそうだと思うけどなぁw
2. 匿名処理班
これを美談扱いするのはおかしいだろ
人間が同じことしてたら狂ってるかのように扱うくせに
このライオンも子供失ったショックでおかしくなってるだけじゃねぇか
3. 匿名処理班
メスライオンって子供をころされるとすぐに発情するのが
一般的なのにこのライオンって別の異生物を子供にするって
結構珍しいぞ
そりゃこの写したカメラマンや他のライオンじゃないが
非常食に思うのも仕方ない
4. 匿名処理班
心が折れて心を持ったライオンかな
5. 匿名処理班
これ感動する話みたいな記事にしてるけどおかしいように思うな
このスプリングボックってのはもうライオンに育てられたら
スプリングボックとしては生きていけない訳だし
他のライオンから守れても大きくなったらふとした拍子に
このメスライオンに食べられる可能性もあるだろうに
目先のことだけ見た感動ポルノを求める危うさみたいなのがある気がする
6. 匿名処理班
ところでそのスプリングボックの母親は・・・?
7.
8. 匿名処理班
そも子供の方はなんで一匹はぐれてんだ?
9. 匿名処理班
この子の親を殺して奪ったなら狂ってるがそうでないなら養子みたいなもんだから別におかしくはないだろ
10. 匿名処理班
ライオン母さんのざらざらの舌で2時間も嘗め回される草食赤ちゃんカワイソス。
11. 匿名処理班
人間だって小動物慈しむでしょ
12. 匿名処理班
2013年12月30日の記事
私が守る!ライオンに狙われている仔牛を必死に守るライオン
とか、ヒョウの赤ちゃんに授乳するメスライオンなんかも発見されてるし、他にもけっこう似た例はあるので、さほど特別な状況じゃないと思う
あと依存が「悪い」「異常」「おかしくなってる」というのは人間の考え方の一例にすぎない
13. 匿名処理班
たぶん生理学的なレベルで自分の子どもと勘違いしてるんだろうね
残念ながらライオンの育児方法じゃ草食動物は育てられないし、
この母ライオンもさっさと次の子ども産む方が得策なのにそれも出来ないし、
悲劇以外の何物でも無い光景だと思うよ
14. 匿名処理班
人間になぞらえて美談にするのも違うだろうし
動物だからあり得ないとするのもまた違う気がする
このライオンにはライオンなりに思うところがあったんだろう
15. 匿名処理班
このスプリングボックの子がちゃんと餌食べられてるのか気になる
ミルクは合わないだろうしちゃんと離乳してんのかな
ライオンはみんな安全みたいな認識持っちゃうと危険だなあ
16. 匿名処理班
悲しい愛