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はかまで卒業式、小学校でも人気

卒業式前にレンタルしたはかま姿で記念撮影に臨む小学6年生の女児=名古屋市天白区のアクエリアスで

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 別れの季節の風物詩ともいえる女子学生のはかま姿。大学の卒業式では以前から定番だったが、最近は小学校の卒業式でもみられるようになってきた。ただ、「一生の思い出になる」という声の一方で「レンタル料が高く、着られない子は寂しい思いをするのでは」などと心配する意見もある。

◆予約いっぱい

 名古屋市西区の会社員女性(41)は二十日の卒業式に備えて、長女(12)の着物とはかまのレンタルを十カ月も前に申し込んだ。レンタル料は六万円。最近は一万円ほどでもあるが、刺しゅう入りなどは値が張る。髪のセットも必要だが、美容院に行くとさらに一万円ほどかかる。「たった一日のために何万円もかけるのはどうか」とも思ったが「門出の日くらい、好きな服を着させてあげたい」という気持ちが勝った。

 値段以上に驚いたのが人気ぶりだ。昨年五月で既に、人気の柄は予約済みばかり。当日の着付けも朝の五時台しか空きがなかった。結局、着付けの仕方を店に教わり、髪のセットと一緒に自分ですることにした。

 同市天白区の写真スタジオ「アクエリアス」でも、記念撮影と貸し出しをしている。料金は三万~五万円だが、用意した百人分が昨年三~四月でほぼ予約済みとなった。和服レンタルの京都さがの館新宿店(東京都新宿区)も、今年は昨年の五倍にあたる約五十人が予約した。

 「五年生のときに、一学年上の子のはかま姿を見てあこがれる子が多い」と、同店店長の井出千栄子さん。児童向け雑誌に特集が載ったことや、競技かるたを描く漫画「ちはやふる」の影響もあって、ここ数年で人気が高まったという。

◆自粛の要請も

 保護者に自粛を求める学校もある。一人ではトイレも難しく、教諭が付き添わねばならないし、帯の締め付けで気分が悪くなる子もいるからだ。さらに、階段で裾を踏んで転ぶ危険もある。家庭の経済事情で着られない子もおり、卒業式の服装にそのまま表れてしまうとの懸念もある。

 愛知県春日井市の柏原小学校では、二年前からはかまを控えるよう、六年生の学年便りで通知している。卒業生は毎年百人以上。以前ははかまの子が各クラスに何人かずついたが、昨年はゼロだったという。名古屋市教育委員会も方針を検討しており、月内に公表する予定。

 娘が柏原小の五年生という女性(42)は「一人だけ着られなかったら娘がかわいそうだけれど、値段が高い。通知のおかげで悩まずに済んだ」と話す。

◆着られない子を思う力を養って

 関西学院大人間福祉学部(兵庫県西宮市)の桜井智恵子教授(子ども論)は「学校に答えを求めるのは楽だが、親子で話し合う問題だ」と言う。「親がもったいないと思ったことを率直に子どもに投げかけることで、子どもの考える力が養われる」と話す。

 教育評論家の尾木直樹さんは「普段着の中にも、正月など特別な日に着る服装があると思う。卒業式もそうした普段着の延長上にあるお気に入りの服装がいい」との考え。「はかまの子が多いと親は横並びで着せたくなるかもしれないが、全員が着られるわけではない。着られない子のつらさに共感する力を養うのも親の務め」と話す。

 (添田隆典)

 

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