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知的障害者、20歳の不安…児童施設後の移り先が不足
児童施設から成人施設に入り直せず、移り先が見つからない20歳以上の知的障害者が全国で500人以上いることが、公益財団法人「日本知的障害者福祉協会」(東京)の調査で分かった。児童福祉法の改正で、3年後には20歳以上の児童施設入所が認められなくなることから、施設関係者らは「多数の障害者が行き場を失う恐れがある」と危機感を募らせている。
今月末で500人超
調査は昨年12月、知的障害児が入所する全国235の同協会加盟の児童施設を対象に実施し、179施設から回答を得た。その結果、入所者計5124人のうち、20歳以上の577人全員が今月末の時点で、成人施設に移れないことが判明した。
同法は原則、18歳以上の障害者の児童施設入所を認めていないが、2年間の経過措置を設けたうえで、支援が行き届かない恐れのある場合は例外的に継続入所も認めてきた。同協会によると、協会加盟の成人施設は全国で2614施設あるが、入所希望者が定員を上回り、20歳を過ぎても移れない障害者は多く、児童施設で継続入所を容認していたという。
こうした状況に対し、厚生労働省は「児童施設では職業訓練などの支援が受けられない」などとして、2012年に同法を改正し、例外規定を撤廃。6年間の猶予期間を経て当初は今月末が20歳以上の退所期限だったが、成人施設に移れない障害者が多数いることが見込まれたため、21年3月まで延期している。
同協会の調査では、児童施設が抱える課題として、職員の確保や専門性向上の難しさに加え、退所後の移り先が見つからないという声も目立った。回答した179施設のうち、21年3月末で32施設が成人施設の併設を予定するなどの動きもあるが、20歳以上の障害者をすべて受け入れるだけの定員はなく、3年後には行き場のない障害者が相当数に上るとみられる。
同協会の太田和男常任理事は「地域の事情に合わせて成人施設を増改築するなど、入所枠を増やすことも必要で、国や自治体は実態把握や費用補助に力を入れてほしい」と話している。
家族の悩み大きく
退所を迫られている障害者の家族の悩みは大きい。
神奈川県相模原市のアルバイト男性(62)の長女(25)は現在、例外措置で同県内の施設に入所しているが、3年後には退所しなければならない。重度の知的障害があるという長女について、政木さんは「人をたたいたり、物を壊したりするため、家で暮らすのは難しい。遠方も含めて何とか入所先を見つけなければ」と困惑している。
遠隔地の成人施設に子どもを預ける保護者も多く、2016年5月に千葉県の児童施設から、青森県のグループホームに長男(20)を移した東京都内の女性(55)は取材に対し、「3年かけて関東周辺で探したが、受け入れ先は見つからなかった。交通費もかさむため、年8回ほどしか会えなくなった」と話した。