ゲームから金融機関の基幹システムまで、あらゆるプログラムにはバグがつきもの。SHIFT(シフト)は多様な専門人材を集め、プログラムのエラーを発見する「品質の番人」だ。日本経済新聞社が13日更新した新興市場に上場する中堅企業の成長力ランキング「伸びる会社MIDDLE200」で、前回調査の14位から2位に急浮上した。
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■年収500万円のアルバイト
2月、一部のゲームファンに衝撃が走った。1994年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)が発売したゲームソフト「ファイナルファンタジー6」に、新たなバグが見つかったのだ。世界で340万本以上を売った伝説のゲームだ。
ゲームの進行上、必須のはずのイベントをクリアしなくても先に進めてしまう。発売から20年以上のゲームにバグを見つけたのは、シフトに勤める30代のエンジニア。業務ではなく趣味で見つけたが、丹下大社長(43)は「そんなすごい人材が集まってくる」と自信を見せる。
シフトが取り組むのは企業がサービスを投入する前のソフトウエアやシステムの「バグ取り」だ。単純なプログラムのミスだけではなく、ユーザーが使いやすいかなどもチェック。バグ取りにとどまらない業務だけに、人材が何よりも重要だ。
ピピッ――。指紋認証と顔認証の厳重なセキュリティーで守られた部屋は壁や天井が白く塗られ、白いブースがいくつも並ぶ。図書館の自習スペースか、もしくは高級なネットカフェのよう。携帯電話の持ち込みは不可。「ソフトウエアテストの効率を最大限まで上げるための部屋だ」。丹下社長がニヤリと笑う。
ブースには、パソコンのモニターが4つ。作業をしていた数人は近づいた記者にも気付かず、キーボードを一心不乱にたたいていた。彼らはアルバイトだが日給2万円以上、年収500万円以上稼ぐ人も。1600人いるエンジニアの中には、自宅に引きこもりがちだった若者もいるという。
テストのチェック項目をいくつこなすかで歩合で給料が決まる。決められた勤務時間内にやればやるだけ報酬が上がる。「徹夜が当たり前というIT業界の文化を変えたい」(丹下社長)という。
今回調査ではシフトの2017年9~11月期までの4四半期の営業利益の合計が6億円。前回調査の17年6~8月期までの4四半期合計の3.9億円から大きく伸びた。その要因を丹下社長は「特定の業界に詳しい専門人材を多数獲得した。彼らがプロジェクトマネジャーとして組織を強化し、20億円の売り上げを作った」と説明する。