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オリンピックの動画配信で存在感示したKT
2018年2月の平昌オリンピックにおける5Gトライアルで世界の注目を集めたのが、韓国KT。MWC2018の同社ブースでは、トライアルで用いた韓国サムスン電子とノキアの5G BBU(Base Band Unit)および5G RFU(Radio Frequency Unit)、スウェーデン・エリクソンの5G RFUを展示した。オリンピックでは、11会場に28GHz帯を使用した最大3.2Gビット/秒の5Gネットワークを構築し、「5G ICT Zone」を設けた。
KTのトライアルでは、5Gのユースケースとしておなじみの大容量動画を活用したサービスが目立っていたようだ。例えば、サムスン電子がトライアル向けに用意した5G対応タブレット端末を持ってこのゾーンを訪れると、HD画質のライブビデオを視聴できた。トライアルでは、(1)Time Slice、(2)Omni View、(3)Sync Viewなどのサービスを提供した。
Time Sliceは、フィギュアスケート、アイススケート、アイスホッケーの会場に多数のカメラを配置して、いつでも360度の映像を見られるようにするサービス。クロスカントリースキー会場で提供していたOmni Viewは、タブレット端末で選手名をタップするとその選手の現在地や競技の様子を見られるものだった(テレビで放映されない後続の選手も見られた)。
ボブスレー競技で提供していたSync Viewでは、ボブスレーに小型カメラを取り付け、選手目線で「そり」の速さを体感できた。これらのサービスはインテルと協力して実現したもので、HD画質の映像を5Gネットワーク経由でタブレット端末にダウンロードして視聴するものだった。このほか、「5G Connected Car」と呼ぶ自動運転バスの実験も実施したという。
KTは、5Gの商用サービスを早ければ2018年末、おそらく2019年に提供を開始する見込み。周波数帯は3.5GHz帯または28GHz帯の利用を計画し、ノンスタンドアローン(NSA)のネットワークを構築する。5Gに向く用途を聞くと、真っ先に挙げたのが動画配信。4KのUHD(Ultra HD)動画を視聴するには下り30Mビット/秒の帯域が必要となるが、同じ基地局のエリア(セル)に多数のユーザーがいると、LTEではこの帯域を確保するのが難しく、大容量の5Gのほうが適するという。
さらに「5Gは遅延時間のレベルが全く異なる。LTEがだいたい40ミリ秒に対して、5Gは4ミリ秒程度。3GPP標準仕様の技術性能要件は1ミリ秒になる。こうした5Gの低遅延は自動運転に向く」(KTのSenior Manager Mobile Access Network Technology DepartmentであるKIM Shin-Hwan氏)とした。