極端な糖質制限はNG 臓器の負担増す恐れも

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2012/9/24付
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50グラム以下は要注意

 過剰な糖質制限によって脂肪が分解してできるケトン体が増えすぎ、意識がもうろうとして病院に運ばれる例も報告されている。「1日50グラム以下だと、ケトン体が増えるとする研究もある。極端な糖質制限はしないでほしい」と、北里研究所病院の山田悟糖尿病センター長は助言する。薬物治療をしている糖尿病患者は低血糖に陥る危険もある。

 では、どんな食事がよいのか。専門家が勧めるのが、穏やかな糖質制限だ。北里研究所病院の山田センター長は大人の場合、1回の食事でとる糖質を20~40グラムにすることを推奨する。目安は小さめのおにぎり1個で、食事からとる総カロリーの3~4割という。1日にすると糖質は60~120グラムに抑えられる。糖質は果物などにも含まれることを考慮した方がよい。

 穏やかな制限なら健康に心配はないが、血糖値や脂質、尿素窒素などの定期的なチェックは必要だ。国際医療研究センターの野田部長は「たんぱく質や脂質のとりすぎになっていないか注意してほしい」と話す。

 せんぽ東京高輪病院の足立室長は「食べる順番にも気をつけてほしい」という。オリーブ油などをかけた野菜サラダや肉魚料理を先に食べると、糖分の吸収が抑えられ、血糖値の上昇が緩やかになる。比較的早く満腹になるため、全体の量も抑えられるという。懐石料理のような食べ方が理想だ。

(吉野真由実)

ひとくちガイド

◆糖質制限食を知るには「糖質制限食のススメ」(山田悟著、東洋経済新報社)
ホームページ
◆糖質制限の詳細は「せんぽ東京高輪病院ホームページ」(http://www.sempos.or.jp/tokyo/press/press_kurashitokenko.html)

[日本経済新聞朝刊2012年9月2日付]

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