早く仮想世界に連れてってー。
見てる人は見てる360°動画、視線を動かすことができてリアルですよね。右を見て後ろを見て、忘れた頃に上を見てみたりと。でも既存の360°動画は「視線(目の方向)」は動かせても、「視点(目の位置)」を動かすことはできませんでした。なんせ、撮影されたときにカメラがあった位置が唯一の視点ですから。でももし、360°動画で視点が動かせたらどうでしょう。そんな、かゆいところに手がとどきそうな最先端の映像技術を体験できるVRアプリを、Google(グーグル)が公開しています。
その名も「Welcome to Light Fields」。訳すと「ライトフィールドへようこそ」になります。本アプリでは「空間に溢れているすべての光は数式であらわせる」というライトフィールドの概念を映像技術として取り入れていて、それに近しいことを最新のカメラ器具とアルゴリズムで再現しています。
Googleはライトフィールドを再現するために、下動画のような専用のカメラ(?)を開発しました。16個のGoProは1回転する間に1,000もの視点を捉え、その膨大な画像データは様々なアルゴリズムに処理を施され、最終的にゲームエンジンのUnityが(専用のプラグインを通じて)読み込めるデータセットに圧縮されるのだそう。実際にどういったアルゴリズムや処理がされているのかは詳しく書かれていませんが、Googleの本気度は伝わりました。

視点(頭)を動かせる範囲はこのカメラの軌道が描く球の直径に比例するらしく、Welcome to Light Fieldsでは直径60cmほどの球になっています。あなたが動いたときに生じる視点の動きに合わせて、前述のデータセットから視差(視点の位置の違いによって生じる視界の違い)を再現できるのです。頭を動かすとそれに応じて(高度なVRゲームのように)視界が変わるから、より現実味を帯びるというわけなんですね。
アプリはSteam VRにてゲットできるので、HTC Vive、Oculus Rift、Windows MRのいずれかのヘッドセットをお持ちの方は、ぜひお試しあれ。いろいろな名所が詰め込まれています。


あと、ライトフィールドといえばあの最先端ARヘッドセットのMagic Leap Oneも取り入れていましたね。Magic Leap社が集めた約20億ドルもの巨額の投資金は、Googleが一部出しているので、これはなにかしらの関係(協力にせよ競合にせよ)がありそう。動き回れるVR・AR・MRは長らく求められていたコンテンツだと思うので、大いに期待しています。次の展開は動ける範囲の拡大と、それを可能にする撮影器具の開発でしょう。
個人的な解釈と予想になりますが、将来は昆虫のようなカメラを持ったドローンが飛び回るのだと思います。今回のライトフィールド用カメラのように、ライトフィールドを記録するためには複数の視点(今回は1,000)からの光データが必要です。なので、視点の集合体をひとつのカメラで取れて、それが移動できればいいですよね。この説明は「複眼」を持ったトンボのそれと似ている気がします。将来はそういった「複眼カメラ」が開発され、ドローンに搭載されるじゃないでしょうか。
脱線してしまいましたが、Welcome to Light Fieldは現在公開中です。試せた方、ぜひぜひご感想をSNSで教えてください!
Image: Google, Magic Leap
Source: Google
(西谷茂リチャード)