2018年3月15日 21:36
スウェーデンEARINは、左右分離イヤフォン「EARIN M-2」を2月下旬に発売開始。初回出荷分は既に売り切れており、初代EARINに引き続き注目を集めている。3月15日、開発者の1人であるペア・ゼンストローム(Per Sennstrom)氏が来日し、M-2の特徴や今後の展開について説明した。
EARIN M-2(以下M-2)は、'15年発売の初代EARIN(M-1)とほぼ同じサイズや重量ながら、近距離磁気誘導(NFMI)に対応し、タッチセンサーや内蔵マイクを搭載するなど、大幅に機能強化。価格は29,800円で、3月下旬より販売を再開予定。カラーはブラックで、カラーバリエーションとしてスペースグレイを6月に追加する。
M-2の特徴のひとつが、NFMIを活用したNXPセミコンダクターズの「MiGLO」技術の採用により、左右イヤフォンの接続安定性を高めていること。オーディオ再生時の遅延を抑え、映像とのシンクロも改善し、より安定したステレオ再生を実現する。
ゼンストローム氏は、「MIGROの素晴らしさは磁界が使えること。伝送速度が圧倒的に速く、リップシンク(映像の口の動きと音のズレ)がかなり改善される。ゲームでもある程度は使えるのではないか。完全ワイヤレスイヤフォンでの採用例はまだ数社だが、M-2が一番」と自信を見せた。
デザインはM-1から一新。装着感を高めるだけでなく、耳周りで生じる風切り音も低減。付属のイヤーピースで遮音性も高めた。耳の外側にはタッチセンサーを搭載し、音楽の再生/一時停止、スキップなどの操作が行なえる。IP52相当の防汗機能も備える。
耳に装着する際の左右の区別を無くしたのも特徴。内蔵センサーでイヤフォン本体の向きを検知することで、どちらの耳に挿入されているかを判別し、左右チャンネルを正しく伝送できるとする。
内蔵マイクを使ったハンズフリー通話に対応し、ノイズリダクション機能で通話時の会話を聞き取りやすくする。
さらに、電車のアナウンスを聞きたい時など、周囲の音を取り込む「トランスパレンシー」機能も搭載。出荷時はオートに設定され、音楽を再生していない時に内蔵マイクで集めた外音を聞ける。同機能は、M-2専用のiOS/Androidアプリからオート/オン(常に取り込み続ける)/オフを切り替えられ、外音を聞く時の音量や、遠くの音と近くの音のどちらにフォーカスして取り込むかの調節が可能。
音声アシスタント操作にも対応し、タッチセンサーを長押ししてSiriやGoogleアシスタントを呼び出せる。
低域を強化したKnowles製BAドライバを左右に各1基搭載。Bluetoothは高音質コーデックのAAC/aptXもサポートし、音質も向上させている。内蔵バッテリで最大4時間連続再生可能。
手持ちのAndroidスマートフォンと接続してジャズを何曲か試聴したところ、M-1よりも低域がぐっと出る印象を受けた。M-1用アプリでは低域強調(BASS BOOST)を備え、M-2専用アプリでも製品発表当初は搭載予定としていたが、「低域が出るドライバを採用したのでBASS BOOSTは省いた」(ゼンストローム氏)。
M-2専用アプリでは、デバイス名の変更なども可能。イヤフォンのファームウェアアップデートにも対応し、アップデートが利用可能になるとアプリ内で通知する。
メタル素材のバッテリ内蔵ケースも新デザインに変わり、イヤフォンとケースを組み合わせて最大14時間使用できる。収納したイヤフォンを確実に充電できるよう、ケースとイヤフォンをマグネットでしっかり固定できる。
M-2を国内展開するモダニティでは今後、M-1/2どちらも使えるバンナイズ製ポーチを発売予定。発売時期や価格の詳細は未定。
なお、CES 2018において、ミュージシャンで実業家のウィル・アイ・アムが設立した「i.am+」がEARIN買収を発表したことについて、両社のコメントが発表された。
ゼンストローム氏は「EARINは今後もM1とM2をi.am+ブランドの下で継続してサポートする。EARINのチームは、200名以上いるi.am+のエンジニア部隊に加わる。i.am+はソフトウェア中心の企業で、EARINはハードウェアの企業。両者の強みを活かしていく」と話した。
i.am+は「EARINの買収には大きな意義がある。設計開発などの専門的分野を統合し、共にi.am+のミッションの達成、価値の向上、将来の成長を目指す。(既に買収済みの)スマートホーム用のハブメーカーWinkのホームコンシューマー事業とも関連し、EARINとのビジネスは今後のAIテクノロジー新製品開発にも勢い付く」(Chandra Rathakrishunan, Co-Founder)とコメントしている。
EARIN製品の今後の展開として、ゼンストローム氏は「他の音声アシスタント製品との連動も、可能性はある。ファームウェアアップデート機能でM-2に追加するのか、新しいデバイスになるかは今後検討したい」としている。