suzu@kick diary

とあるキックボクサーの九転び十一起きな物語が現在、進行中です。

笑日

先日、とある街の劇場ホールで開催された
お笑いグランプリを観に出かけた。
そのグランプリは今回4年ぶりの久々の開催となり、
昔から付き合いのある友達が出場することになっていた。

以前までその友達はお笑い芸人になるべく、東京で活動していた。
事務所にも所属していて、何度かお笑いのライブに足を運んだこともある。

ここ数年は完全にお笑いを辞めたわけではないものの、
施設などで仕事をしていて、それが生活の中心となり
ライブなどの活動からはしばらく遠ざかっていたのだ。
ずっと会えずだったので、久々のライブとあって観るのが楽しみだった。

いざお笑いグランプリが開演となり、最初のグループから観始めた。
マチュアとはいえ、出演者みんな笑いをしっかりととっていて、
次から次へと持ち時間が終了していった。
僕もたくさん笑わせてもらって、楽しい時間が続いた。

友達の前に出場したコンビの芸人もお客さんの心をばっちりつかみ、
会場は笑いに包まれて、熱が盛り上がった状態であった。

さあ、いよいよ次は友達の出番だ。
とにかく思いっきりやってくれ~!と念を送った。

ここまで7組終わった時点で会場は良い雰囲気に包まれていた。
つまり、舞台に立ったどの出演者も気持ちが伝わる面白さを発揮して、
それぞれ芸の披露を終えていたということである。

友達はブランクもあるし、舞台に出るのも数年ぶりだ。
先述したように、会場は熱と期待に包まれている。いやがうえにも
次はどんな面白いコントがみれるんだろうという期待が
高まるこのステージ上で緊張しない方が無理であろう。
普段は全然緊張しないタイプだけど、果たして大丈夫かなと
気が落ち着かないのであった。

だがしかし!
心配は杞憂に終わった。ほっとした~、というのが一番だろうか。
本当に面白かった。
彼の芸を観て、ここまで楽しませてもらったことは
始めてといっても良いくらいの出来であったのだ。

紙芝居をリズムよく歌うようにめくっていき、
紙がめくられるごとに会場に笑いが広がっていった。
一緒に観た人と「面白かったよね」「よかった~」
という言葉を何度も口にした。

審査員の評価も高くて、プロの芸人の方が、
「あなたの世界観に引き込まれて
もっと見たいと思わせてくれる内容でした」と褒めていた。

もしかしたら、上位にいけるのではないかなと期待した。
そして結果発表となり、グランプリではなかったものの、
見事に賞の一つを獲得したのである。
僕が覚えている限り、今までこうゆう賞をもらったことが
なかったと思うので、この快挙にすごく喜んだ。

大会が終わり、一旦家に帰って用事を済ませたあとで、
友達が打ち上げをしている家へと出かけた。
芸を無事に終えた友達は、顔を真っ赤にして
気持ちよく酔っ払っていた。目を細め、もうすでに眠たそうだ。

「おめでとう、乾杯!」とグラスをあわせた。
数年ぶりに会う友達は昔と全然変わっていなかった。
どうしたの、なんであんなに面白くなっちゃったの!?
みたいな話をしながら笑って、飲んで、食べた。

お笑いから離れていたようだけど、
働いている施設の仕事で紙芝居を使うことがあって、
面白く読んでみたら、うけがよくて今回のネタを思いついたようだ。

周りのお客さんもみんな笑ってたんだよと教えたら、
「ほんとに!?それはうれしいな」と満更でもなさそう顔つきだった。

そしてほどなくして友達は眠ってしまった。
緊張から解放され、さぞ今夜は気持ちの良い眠りにつけるだろう。

寝息をたてて眠る赤い顔は、本当に気持ちよさげだ。