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2018/03/15

ミーシャ・マンソー「ペリフェリーだけでは生活できない。バンドにいるなら複数の収入源を持とう」


10年を超えるキャリアを持ち、グラミー賞にもノミネートされた米国のメタルバンドPeriphery。

その中心人物であるミーシャ・マンソーが、バンドや音楽業界の現状について赤裸々に語ったインタビュー動画がYouTube で公開されました。

本記事では約50分に及ぶインタビューの中から、管理人が気になった部分を抄訳してご紹介します。




Q:ここ20年ぐらいの間に、ギターバンドを取り巻く環境は変わった?

ミーシャ:バンド以外のところから収入を得るようになったね。

自分の場合は色々なメーカーと契約し、シグネチャー製品の売上からロイヤリティ収入を得て、そのお金で生活してる。

多くの人がペリフェリーを成功したバンドだと思ってる。たしかに上手くやってる方だけど、大成功ってわけじゃない。というか全然儲かっていないんだけど、みんな信じてくれないんだよね。

たしかに売上は増えたけど、利益はゼロなんだ。ここ数年で音楽の利益率はとんでもなく下がってるのに、ツアーにかかるコストは変わらない。つまり儲けは減る一方ってこと。

こないだヨーロッパで5週間ツアーをしたんだけど、利益はゼロだった。これが現実さ。ヨーロッパのツアーはとんでもなくコストがかかるんだ。

アメリカでのライブは儲かるけど、大量のバンドが年中ツアーしてるから頻繁にはやれないんだ。市場は完全に飽和してて、出演料も現状維持か、場合によっては下がることすらある。

だからCD とツアーは、バンドにとって安定した収入源にはならない。うまくやってるバンドもいるけど、その手のバンドの大半はマーチ*で儲けてる。それも難しくなりつつあるけどね。

(*訳注:マーチ = Merch = Merchandise の略。T シャツなどのグッズのこと)

たとえばSpotify とかの配信サービスの影響で、利益がこれまでの十分の一になったとしよう。

つまり100万ドルの利益があった場合は10万ドルになる。まあ以前ほどの豪遊は無理だけど、それでも音楽だけで生活できるね。でも10万ドルが1万ドルになったら?厳しいよね。



僕は33歳になり、体力の衰えを感じつつある。20代の頃は車の床で寝ても平気だったけど、今は無理だね。そんなツアーからは卒業したんだ。

僕にとっての音楽は、単なる楽しみのひとつになりつつある。そうなることは分かってた。僕らはとても現実的なんだ。

僕がこのバンドを始めて、「オタク向けメタル」って感じの曲を演ってたときは、誰も興味を示さなかった。

だからライブの客が100人を越えたときは感動したよ。そのとき僕は「音楽は楽しむためだけにして、収入はそれ以外のところから探そう」と思った。今でもその考えは正しかったと思ってるよ。

収入源は多ければ多いほうがいいし、不労所得なら最高だね。そのぶん音楽に時間を使えるから。

何も考えずに音楽業界へ飛び込んで、いつの間にか音楽ビジネスという名の綱渡りをしている自分に気付く。そして大好きだった音楽が嫌いになる...僕はそうなるのを避けたかったんだ。ずっと音楽を楽しみたいからね。

そして今、ペリフェリーと僕の財布は完全に無関係になった。だから純粋に初期衝動のまま音楽に没頭できるんだ。

CD が売れようが売れまいが気にならないよ。始めた頃に戻るだけさ(笑)



あとメタリカみたいなモンスターバンドは絶滅したよ。スポティファイでとんでもなく再生されて儲けてるミュージシャンもいるけど、メタルは常にマイナーなジャンルだし、その状況がすぐに変わるとは思えない。

だからファンのみんなにも理解してほしいんだ。「音楽業界は厳しいみたいだけど、ウチの街でライブしてよ」って話は通らない。ライブにはコストがかかるから、計画的に動かなきゃいけないんだ。

そしてもし君が音楽業界で有名になりたいと思うなら、努力しよう。

僕らは10年近く努力した。そしてようやくやりたいことを自由にやれるようになったんだ。

僕らは世界中どこでもツアーできるし、出演するイベントを選べるし、やりたくないライブは断ったっていいんだ。



抄訳は以上です。グラミー賞にノミネートされるバンドですら、音楽だけでは生活できないというのは、なかなか衝撃的な話です。

ミーシャをはじめとしたペリフェリーのメンバーが、様々な楽器メーカーとエンドース契約を結んだり、エフェクターブランドを設立したり、ペリフェリー印のコーヒーを売ったりしたのは、自身の生活と自由な音楽活動のためだったということがよくわかります。

またミーシャは自身のフェイスブックで、このインタビューで伝えたかったことを以下のようにまとめています。

「僕が伝えたかったのは、バンドにいるなら複数の収入源を持とうってこと。自分を助けてくれるのはそれだけだよ。今の音楽業界にだってチャンスはあるから、正しいアプローチをしよう!」

「もし君が記事の見出しだけを見て、僕が文句を言っていると思ったなら、あまり賢いとは言えないよ」

ミーシャの言う記事とは、米国のギターフォーラムUltimate Guitar の記事のこと。初出時は釣り風味濃厚な見出しでしたが、ミーシャの指摘を受けて変更しています。

参考: Misha Mansoor (Facebook)
Ultimate Guitar - Misha Mansoor Says He Can't Make a Living From Periphery, Insists There's Still Opportunity in Music World

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