1人家電メーカーUPQが直面した焼損事故

中澤優子氏[UPQ(アップ・キュー)代表取締役CEO]

2018年3月13日(火)

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時に時勢に見放され、時に敵襲に遭い、時に身内に裏切られる――。栄華興隆から一転して敗戦に直面したリーダーが、おのれの敗因と向き合って問わず語りする連載「敗軍の将、兵を語る」を、「日経ビジネス」(有料)では原則毎号掲載しています。連載の魅力を知っていただくために、2018年3月の月曜から金曜まで、過去2年間に登場した「敗軍の将」たちの声を無料記事として転載・公開します。

(日経ビジネス2017年6月12日号より転載)

家電を中心とする低価格・ユニーク商品を取りそろえ、“1人家電メーカー”として話題を集めたUPQ。今年5月、同社の低価格スマートフォン「UPQ Phone A01X」の焼損事故が計4件あったと公表。バッテリーの交換や品質評価の体制見直しなど、対策を急ぐ。

[UPQ(アップ・キュー)代表取締役CEO]
中澤優子氏

1984年生まれ。2007年、カシオ計算機入社。携帯電話・スマートフォンの企画部門などに所属。カシオの携帯電話事業からの撤退を機に退社、13年に東京・秋葉原でカフェをオープン。15年、新興家電メーカーのUPQを起業。

SUMMARY

UPQの概要

低価格のスマートフォン、4Kディスプレーから、電動バイク、バッテリー付きスーツケースなど、家電を中心としたユニークな商品の企画・販売を行う。設計や生産管理は家電ベンチャーのCerevoが支援、製造は中国の受託生産企業に委託。2015年8月、約2カ月の準備期間で17種類24機種を発表し、“1人家電メーカー”として話題を集めた。

 昨年2月に発売したスマートフォン「UPQ Phone A01X」の焼損事故について、最初の報告があった昨年9月末から半年強、消費者庁や経済産業省などにご相談をしながら原因の解析や対策をしてきました。事故に遭われたお客様には、本当に申し訳ないという気持ちで対応させていただいております。

 出荷台数は公表できないのですが、ご購入者様との対応を一つひとつ丁寧にやっており、コミュニケーションの方法も以前より進んでいる状況です。

 これまで計4件の焼損事故の報告があり、うち(昨年10月公表の事故に続いて)重大製品事故にあたる報告は2件となり、手順に従って消費者庁にご報告しました。その公表が5月9日になるということでした。ちょうど同時期に、充電に関するソフトウエアの制御部分とバッテリーそのものに問題があるのではないか、という検証結果が出たので、その旨も併せて5月9日にリリースを出し、お知らせしました。

 もちろん、検証結果を受け、交換できるバッテリーを作りましょうという動きを早々に掛けたのですが、PSE(電気用品安全法)の適合性検査や、輸送に時間がかかり、まだ出来上がらないという状況です。同時に、ファームウエアのアップデートでバッテリーの劣化や負荷を抑える処理をする準備もしていましたが、それも5月9日時点では間に合いませんでした。

 その時点では対応策について「準備をしています」ということしか言えない状況で、電話とメールによる「購入者専用窓口」というのができました、というだけのご案内になってしまいました。なぜ、それだけを発表したのかと思われた方もいらっしゃると思いますが、お客様に何も言わないまま、2件目の重大製品事故が起きたというふうになってしまうのは不誠実であり、対応策の準備が整うまで口をつぐむのは間違っていると考え、そうした次第です。

不祥事続いた“1人家電メーカー”
●UPQ(アップ・キュー)を巡る主な出来事

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川越 厚 医療法人社団パリアン理事長 クリニック川越院長