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黄巾無双 作者:味の素

黄巾の章

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第一話 第二の人生、そして新たな外史

救済法をあれこれ持ちだして、一体どういうつもりだ。
最上の救済法は、この現在の瞬間を精一杯生きる事だ。

~ゲーテ~

どうも、私は波才と申します。

歴史的には黄巾党に属し、指揮官やってました。

みんなもよく知っている三国志の世界にいたんですよ!!









三国が成立する前に戦死しましたけど。

いやぁね。

そもそも黄巾党自体がなんの変哲もない民(農民)で大部分が構成されてましたから数で押すしかないんですよね。
難しい戦略とかは訓練しないとダメだし。
それ以前にそんな戦略立てられるほど私頭良くないんですよね・・・。

それでもがんばって右中郎将の朱儁を撃破!

皇甫嵩・朱儁の連合軍の籠る長社を包囲!

これで勝つる!!








って思ってたら
あれです。ある夕方、大きな風が吹き始めたんですよ。


おかげで皇甫嵩による火計で大変な目に!!


あれ、張角様?
天は俺たちの味方じゃないんすか?

蒼天已死 黃天當立 歲在甲子 天下大吉(訳:俺たちの時代が来たんや!!)じゃないんですか!?

おかげで敗走。
その後参戦した人物マニヤのチート野郎のせいで更に追い詰められて戦死しました。
それが私、波才という人間の一生です。





それでもやっぱり神様っているんですかね?
その記憶を持ったまま転生して日本という所に生まれました。

生まれたときはびっくりしましたよ。
なんせ周りにある物は意味が分からないものばかりでしたし。
あまりにも別世界すぎてどこにいるのか解りませんでしたし。

でも、私を産んだ両親はとてもいい人達でした。
私のことを愛し、育ててくれました。


生前の私、結構荒れてたんですよね。


国は何も助けてくれない。
重い税を課して私達を苦しめるだけ。
そして家族を殺されました。
そんな国ではいけない!
そう思い張角様率いる黄巾党に入り漢に反旗を翻しましたが・・・。



ここはすごい。

一般の私のような者まで教育を受けられて、食べ物に困らない。
この世界の全員ではありませんが、少なくともこの国の人たちはそうです。
それに世界の料理が食べられるんですよ!!
「すぱげってぃ」とか「ぴざ」とか「ふらいどちきん」とか!!
もう感動の連続ですよ!!

私はこの私を育てている両親に恩返しがしたいと思い、一心に勉学に励みました。
私は勉強などという者は生前には受けられませんでしたが・・・なるほど楽しいですね。
あの時代にはこんなにもすばらしい知識はないとは思いますが、なにも学んでいなかった私達が負けたのは当然かも知れません。
こんなすばらしい軍略や政策や医学、農学をあの時の私が持っていたら・・・いえ、もはや叶わぬ夢です。

他にも調べるうちにその後の黄巾党のことが解りました。
民がこのような巨大な情報の塊を自由に出来るなんて・・・すごいですね「いんたーねっと」って。
この世界に来てから驚きが絶えません。
ついつい毎度のこと子供のようにはしゃいでしまいます。

まあ今は子供なんですが。


張角様・・・まさか病でお亡くなりになるなんて。
さらに漢の将軍達は張角様の墓を暴いてその首をはねたそうです。

そのことを知ったとき、私は歯を噛み締め、爪が肉に食い込み血が出るほど手を握りしめました。

確かに私達はなんの罪もない民から物を奪い、殺した。
それは許されざること。
この時代に生きていて強くそれを感じます。
でも、その私達も元は民なのです。
最後はあのような賊となりはてましたが、それでも最初は私達は国を憂い、立ち上がった。
戦った。








・・・いまさら何を思い、考えても変わりませんね。
もはや1800年も前のこと。
波才という人間も過去の死んだ人間。
もう終わった話です。

でもあの人材マニアが国を立ち上げるとは・・・それも最終的は晋となって滅びたんですね。


劉備。
かなりの不良でしたが人望はすごかったようで。黄巾の仲間だったものもこの人の下に行ってますしもし違う形で会えてたらって考えてしまいます。なかなかの粋な心を持ってたみたいです。

曹操
人材マニア。内政・軍略共にチート。これ知ってたらあの頃戦いませんでしたね。なんかもう調べれば調べるほど別格なんですが。

孫堅
勇猛な武。噂には聞いてましたが会ってみたかったなぁ。彼の息子達もなかなかだったみたいですね。呉という国には彼の心が受け継がれていたのでしょう。

孔明
有名ですが内政が一番強かったんですね・・・。この人がいたらうちの軍も兵糧とかに困らなかったろうに。ちなみに某ゲームのせいでビームで戦ってたって最近まで勘違いしてましたよ。

周瑜
何故か孔明の影に埋もれちゃってますが赤壁って実質この人がやってましたよ?他にも病気で死ぬまで呉の大切な主柱でこの人があと五年生きてたらと思うと。

荀彧
あの人材マニアの懐刀。いろんな人材を推挙したそうです。この人があの人材マニアの病状を悪化させたんじゃ・・・。知略もあるし「王佐の才」は伊達ではないって事ですか。


私が死んだ後たくさんの英雄が生まれ散っていった。

何を思い、戦い、散っていったんでしょうね。

それを知ることはもう出来ないですけど。


こちらに来てからはさまざまな分野の勉強をしています。
おかげで学校での成績は常に三位以内。
他にも戦死したという嫌な思い出が有るせいかさまざまな武術を習っています。
この間、弓と柔道の大会で優勝しました。
父と母は

「「流石私達の子供!!」」

と人前を気にせずにいちゃいちゃしていますが・・・いや、かなり恥ずかしいです。

そう言えば前世の私がゲームに登場しているというので見てみましたが・・・。


某アーケードカードゲームでの私のステータス
武3 知2
特技
復活:撤退したときの再生時間が早い
暴乱:他の味方が暴乱系の計略を使用したら自分も同時に効果を受ける
大軍:最大兵力が1.3倍、城の中での回復速度も1.3倍

うん、なかなかの高評価です。
知力が壊滅的にあれですが。

某戦略ゲームでは

統率:71 武力:74 知力:52 政治:25 魅力:33

です。
内政面が死んでますね。
そしてやっぱり脳筋。
それに魅力ってなんですか?
そんなに私はあれなんですか?
ケンカ売ってるんですか?





決めた。
もっといろんなことを勉強しよう。
そしておしゃれしよう。





そしてなんだかんだで私ももう大学生。

そういえば妹が出来ました。
妹は素直でいい子です。
小学3年生になりやんちゃな時期。
あどけない笑顔でお兄ちゃんと甘えてきます。
私と同じ転生者ではないみたいですね・・・。

でもとってもかわいいです。
私、家族には甘いみたいで。
前の家族はみんな役人に殺されたからでしょう。
税金が払えず、しかたなく食べるための物を底に隠していたのを見つかって見せしめに家族は殺されました。
だからかどうも兄ちゃん、兄ちゃんと話しかけてくる妹がかわいくてなりません。
初めてのバイトの給料も妹の靴を買ってあげました。
すごく喜んでくれてこっちまで笑顔になっちゃいましたよ。


今、十字路の交差点で私達兄妹は信号が変わるのを待っています。
休みの日なので妹を近くの遊園地に連れて行った帰りです。
早く家に帰って笑点見たいですねぇ。
私、笑点とヘビメタがすごい好きなんですよ。
妹はアニメのDVD(プリキュアってやつですか?)を見たいと言っていますが・・・こればっかりは妹といえども譲れません。

信号が青に変わり妹が走って渡り始めたとき




車が横からすごい勢いで走ってきました。


「(信号無視!?)」


運転手が携帯をいじってる姿を確認、そしてその先には







「え?」

呆然と立ち止まっている妹が。


やばい!!


私は駆け出します。


早く!!早く!!







「(もう私は・・・)」


妹の2メートル近くまで車が迫る







「(もう私は・・・)」


運転手の女性が気づき驚きの顔をするがもう間に合わない









「(大切な人を失いたくはない!!)」


間一髪で妹を突き飛ばす。

ごめんね、急だから優しくできない。


そして私に体が吹き飛ぶような衝撃が襲いました。









ああ、目がかすみます。

妹が私に駆け寄り、おにいちゃんおにいちゃんと泣いている。

近くの男性が携帯に向かって慌てるように声を張り上げ話をしている。

あ、ありがたいですけどたぶん無駄です。

もう私は数分も生きられないでしょう。

私が前世で槍と弓で体を貫かれたときと感覚が似ています。

死ぬがすぐ近くにあるという感覚。

私を死が飲み込む。

ああ、結局親孝行出来ずに死んじゃいますね。

かわいい妹の花嫁姿見れませんでしたね。

あの時の私は死ぬことに未練は有りませんでしたが今の私は未練たらたらです。

妹が私の顔を見ながら泣き叫ぶ。

ああ、そんなに泣かないでください。

かわいいお顔が台無しですよ?

笑った顔を見せてください。

私は妹に笑いかけます。

でも妹は笑ってくれません。

前世では私の死を誰も惜しみませんでした。

死んでも将が消えただけ。

反乱に加わった賊が消えただけ。

でも今目の前の妹は私の死を惜しんでくれている。

父や母も悲しむでしょう。

それが何故か嬉しくてたまりません。

涙が目からこぼれます。

そうだ。

死ぬ前に一言残すのがいいですね。


「ま・・・」


妹がくしゃくしゃになった顔で私を見つめる。

ホント、死にたくなかったなぁ。

でもしょうがない。

だから一言言わせて欲しい。









「また生まれてよかった。みんなありがとう」




そういって私は今度は笑顔で第二の生を終えました。

本当にいい人生だった。




































はずなんですがここはどこでしょう?


なぜか荒野のど真ん中にいるんですが?

今、私は荒野のど真ん中にいます。

おかしいですねぇ。
さっきまで町中にいたはずなのに何でこんな所に?

周りを見回してもなんにもありません。
体を調べて見るも傷も何もありません。



ってちょっとまってください?
着ている服がさっきまでの服と違います。
どうみても大河ドラマとかで見る山賊の服装なんですが。
てかこれ私の黄巾党時代の服なんですが。

頭には黄色い布

黄巾党の証と言える布だ。

腰には剣もあるが体つきはさっきまでの自分と同じだ。
もし、前世の波才である私なら体には傷が複数ついているはず。


「・・・ほんとになんなんでしょうね」


思わずそうつぶやきます。
独り言なんて久しぶりにしましたね。
てかほんとここなんですか?
どこですか?




「おい、おまえ」


声が聞こえたと思い後ろを向くと
そこには





「なにこんな所でぼうっとつっ立ってんだよ」


頭に黄色い布を巻いた三人の男がいました。


「(まさか、ここは!?)」


ははは、神様?
貴方って本当に何を考えているんですか?

「ああ、すいませんちょっといいですか?」

「ん?なんだ?」

「今のこの国の名前は?」








本当に本当に









「何いってんだお前。漢に決まってんだろうが」



なにがしたいんですか。
波才って結構指揮能力があったのではないかと思ったり思わなかったり。
次はあの人達との出会いです。
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