森友学園の決裁文書書き換え問題をめぐり、「ニューヨークタイムズ紙が安倍首相が文書改ざんで逮捕されるだろうと報じている」というツイートが拡散している。

結論からいうと、これは誤りだ。記事はこれまでの改ざんをめぐる経緯を、細かくまとめているものだ。

ツイートは、3月15日正午現在で5千リツイートを超えている。
メディア報道などのファクトチェックを推進するNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」はこのツイートの「疑義言説」とし、Facebookで警報を出していた。
3月12日付の記事には、逮捕(arrest)という言葉は見当たらない。
「財務省による内部調査の結果」というくだりや「野党が広範に調査を求めている」といった文脈などで「investigation」(調査、捜査)という単語が使われているが、捜査機関への言及は全くない。
記事の見出しは「改ざん文書をめぐり、安倍首相に再び注目」(Shinzo Abe of Japan Back in Spotlight Over Tampered Documents)。
Twitter上の見出しも「改ざん文書は安倍首相を陥れるだろう」(Tampered Documents Could Ensnare Prime Minister Shinzo Abe of Japan)だ。
当該ツイートをした人物は「Ensnareは(罠を使って)捕まえると言う意味」であるため、文脈から「逮捕」と意訳したとしている。
ジーニアス英和大辞典によると「Ensnare」は「(人・生物)を(わなに)かける / (〜で)誘惑する / (人などを)陥れる」という意味の単語だ。「わなで捕まえる」(新英和大辞典)という意味もあるが、政治家など公人の逮捕に使われる言葉ではない。
一方で記事は、安倍首相について「辞任を避けられたとしても、9月の総裁選で再選できる可能性は減った」という指摘をしている。

一連の改ざんに関しては、虚偽公文書作成などに当たる可能性があり、大阪地検特捜部が慎重に調べている。
麻生太郎・副首相兼財務相は、当時の佐川宣寿・理財局長の答弁に合わせて「一部の職員」が行ったとして、責任は佐川氏にあるとの見解を示している。
麻生財務相や安倍首相ら、政治家の関与や責任の有無については、まだ明らかになっていない。
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