同人の常識、社会の非常識

殆どの人には話していないが、自分は申告名目上8年ほど「一級建築士事務所の研修生」となっていた。
実際には?というと、概ね10年以上一級建築士の持つ知識と見聞を叩き込まれていた。何故申告と実態に差があるのかについては「就業制限年齢の都合」としか言えない。ただ、高卒時点でとある専門学校から「全科取らなくても1年目の単位だけで受験資格になる」と強く二級建築士育成コースを薦められたのは事実だ。姉歯事件を理由に「取るなら直接一級建築士だ」と反対されたため実現しなかったが。
本人が昭和43年(旧改正)の大改正を把握しておらず100尺規制時代の知識で試験を受けて学科に落ちた経験があり、その後も昭和55年改正やバブル期の手抜き造成、阪神淡路大震災でのせん断破壊被害とそれを受けた大改正が立て続けに起きたのを見てか、ある時期から士業としての仕事を一切請けなかったため自分も「経験年数」では不足する部分があるが、その分知識は徹底的に叩き込まれた。
その中には当然「自営業としてのイロハ」と「業界のイロハ」も含まれる、申告書類作成は何度も手伝わされたし領収書の名義や細目を見て経費に使えるか否かを把握する癖もついてしまった。

さて、同人では「中傷ビラ騒動」が時折起きるが、あれが何故起きるのかが自分には理解できない。何故なら土建業では「トラブったら一先ず飛べ」が鉄則だからだ。
最近の東京都の工事入札の落札率が低下したのも「自社or他社がトラブった客先には高値指しでわざと飛んでる」という見方をするべきであり(ry
話がズレた。兎に角一旦飛んでからやり返した方が喧嘩をより高く吹っ掛けることができるのに、何故短絡的な視点でやってしまうかな、というのがある。
過去には国土計画株式会社(かつての西武グループ総親会社)が伊豆箱根鉄道駿豆線延伸計画線の区間内で新幹線の通る区間だけ先行買収・造成して、国鉄新幹線局が気付く直前に担当者を「ヨーロッパ方面に外遊(数ヵ月音信不通)」させてしまった実例もある。
この時は流石に土地転がしにも限度があるし工期が決まってるのにそれはやり過ぎ、と国中から叩かれてそれなりの値段で収まったが。
兎に角、暴れるよりも一度飛んでしまった方が確実に有利になるのだ。短絡的に暴れるべきではない。……このブログ?安全な飛び先を確保してから始めましたが。

同様に「学級会案件」も割と意味不明である。裏取りもしなければ普段ろくに情報アンテナも伸ばさない人間がここぞとばかりに片方を誹謗中傷する。
あれ、やられた人間が本気で民事案件にしたら界隈が壊滅することは某方面の情報で公知の事実だろうに、と。
自分が今回「二発目の空薬莢」を隠し持ちつつシラを切り通している間に随分有責ゲージを増やしてくれたものだ、と言いたくもなるがそれも置いといて。
何しろ学級会案件では大抵の場合「提起する側は自身に不利になる情報を隠蔽した状態で発表する」というのは基礎知識だ。これを真に受けるのは裏取りの意味も知らない馬鹿、となる。今回「事前にトラブルが起きて誠実に自己責任を被って契約の円満取消をした人」と「中止理由についてこちら側からテクニカルタームの観点から問題点の開示を受けた人」が揃って沈黙しているのはその証左と言える。
この点を無視するか軽視して表向きから得た情報で斜め上(本人にとっては正確と考えるだろうがほぼ100%的外れ)の観点から情報収集に勤しむ人間ほど深掘りを一切しない、あれなら文春砲の方が遥かに威力があるだろう。
流石に今回はネタを売るつもりは一切無い……いや、売ってもいいかも知れない。

さて、一番意味不明なのが「どんな件名・名義でも領収書さえ切れば経費認定」信仰だ。
自営業の間では「100%経費にしたければ上から下まで屋号で通せ」が合い言葉なのに、何故か彼らは領収書さえ合わせれば申告が通ると思い込んでいる。
予約名義白紙のところに後から書き加えた領収書で経費認定されるのは交通機関と宿だけ、しかも宿はチェックイン時に社名で領収書を切るか法人カード決済でないと通らないというのも常識である。
それ以外は、というと「経費認定率」というものになる。これの計算が文字通り地獄だ、個人事業主でもぶっ倒れそうになるレベルで面倒くさい。
自宅兼事業事務所なら室内占有率で○%、電気代他は事業の性質によって○%、渉外費と営業費は明細を店や相手事業者と突き合わせ照合して○0%~100%(達成すると他社から「上手くやりやがったな、今度教えてくれ」と言われる)、接待費は予約名義から突き合わせ照合して○0%~100%(達成するとry)、事業費は「発注・予約名目さえ間違えなければ」ほぼ100%、人件費は100%(ここが異常に高かったり低かったりすると疑われる)、備品代は有効利用率に応じて○0%、消耗品費もまず100%は難しい(大体在庫の数が合わなくて期末に減損処理)、事業に関係ない遊興費?0%で当然、10%認定もらえれば幸運、等々……
こんなのを予め覚えておいて一件一件の領収書と照合した上で数字を均すのだから大変だ。だが、これを全件完璧に申告すると翌年以降が楽になる……と、思いきやこれが大間違い。意外と税制は細かく改正されるので、常に把握しておかないと落とし穴に嵌まる事になる。今年であれば仮想通貨がまさにそれだ、一旦消費税として受けてきちんと追跡調査しつつ申告名目を考えていた所に運悪くバブルが到来したので「分離課税の対象にするのが間に合わないまま雑収入に算入」という最悪の事態となった。
これは社会人の副業でやっている同人サークルも同じである。雑損益の経費認定は実は他の名目に比べて少しだけ緩めではあるのだが、それでも「本のおまけに高額グッズを数量限定で付けて、ついでにそれを原稿料+α」なんてことをやったら確実に「高額グッズの製作料」は遊興費認定となる。
大手サークルでよく見かける「実質的にグッズセットに本を付けつつ本も売る」頒布スタイルは「グッズセットを有償にしないと経費認定されない」という大人の事情も見え隠れしている。
抱き枕カバーが爆発的に流行したときは経理に慣れているサークルでもかなり苦労したらしい。ただ、あれも上手いこと発注数を実売数に近づけるようコントロールできれば全額経費になるので、とある人は抱き枕カバーの利益で独り暮らしの上で自営業としての独立にまで成功?している。

実は自分の経理関係の知識は「ほぼ同時期に一級建築士事務所の確定申告書類作成代行や再計算の実務と、過搬入で苦労していたサークルの手伝いの報酬代わりに打ち上げ等で色々聞いて覚えた知識」で構成されている。
その上で「サークル分割の上でおまけ関連の発注は本と名義を分離(これは名目上だけでもいい、屋号を変えるのが重要)して、ついでに『"それ"を事業目的での発注にできるよう』に企画を(こちら側の屋号名義での発注・予約・支払で)立てた上で、企画終了後に『余剰在庫を未開封新古品として全数本側のサークルに8掛け(2割引、新古品を事業目的で回す際の概ねの経費認定率)で差し戻して』当初予定通り本と『"それ"を事業目的にするための企画物』を出して本の限数おまけと原稿料への付加も『新古品だから』で済ませることができるようにして、おまけ関連のサークルは終わったら年内に清算する」という複雑きわまりない事業スキームを何とか捻り出すことに成功した辺りは本来であれば称賛されて然るべきものである。
普通であればこのような複雑な取引を行う場合は「実際の発注元は同じでも名義を分離する」のが常識である。そのためだけに契約書を手交したり事業目的口座を2件に分けて金の出入りを管理する事例は多々聞く(一人で生計費のみ1口座+事業目的兼用1、2口座+証券会社の特定口座1口座は割と普通に見られる。二番目の内一つが法人名義カードになるパターンで考えれば分かるかと)し、今回自分もそれを常識と考えていた。
発注・予約名義を屋号抜きの個人名にしていたと聞いたとき、本気で「その場で殴り倒したい」衝動に襲われたのは言うまでもない。
本人は全く気付いていなかったが「個人名義での発注」にしたことで交渉当事者が発注者本人に限られることになったし、個人の遊興費認定を受ける確率が大幅に上昇したからだ。屋号名義にしていれば交渉当事者を増やすことができ、適切な工程確認を行うことができ、納品日再設定が素早く行え準備期間に差し障りが出なかった事を考えると忸怩たる思いだった。
「殴り倒したい」衝動を思い止まれたのは「その場で殴る奴はただの馬鹿、後日高い請求書を投げつけてこそ一流」という言葉を思い出したからであった。
ここでいう「高い請求書」とは「お前の発注ミスでこっちでは決算が成立しない、屋号ごと事業と債権債務を売却するからそっちで処理しろ。あ、買取費用はもう○月○日に受け取ってるから以後自分の分の労働債権も発生してるから支払よろしく」という性質の「事業の強制売却」である。
ただ単純に「記載額面を高くする」のではなく「記載額面は安くしつつ結果的に高くつく」ようにするのがコツだが、このカラクリに気付く人は多くない。気付く人が少ない根拠は色々な会社でこういう案件に四苦八苦した事例が散見されることからも窺える。

鬼、悪魔、人でなし?事業主にとっては誉め言葉です、本当にありがとうございました。時には非道を貫けなければあっという間に事業破綻するというものだ。
但し、法だけは犯してはいけない。幾ら支払時期が同じでも名目を分けているのであれば清算時は名目ごとに請求可否を分ける必要があるし、労働債権や相談料というものは相場を常に頭に入れて人に物事を頼む必要がある。
これは同人だろうが「ボランティア」だろうが商業活動と一緒である。その人に対して相応と思われる対価を払わなければ「相手が頭の中でつけている帳簿の債権欄」にどんどん記載額が溜まっていくことを念頭に置いて動くべきだ。
意外と「情報」は金になる。特定個人情報の事ではない、知識や社会情勢、問題が発生する可能性がある案件等の情報の事を指す。自分が飛べたのも「持っている情報を上手く活かした」からだったし、一方で問題が発生した原因も「情報に対する価値の認識の相違」にあった、と言えば分かりやすかろう。

そして、最悪の問題は「相互の意見衝突を好まず言い値で片付けてしまう側」と「学級会ノリで内容証明に反応しないからと『学級会ノリで自身の過失を意図的に隠蔽した状態で』少額訴訟に踏み切る側の両方がいる」と言うことだ。
確かに簡易裁判所からの特別送達は一般人にとっては驚くし、少額訴訟の請求を飲んでしまう人が居ることも事実だが、きちんと反論・反訴をした上で証拠開示請求を行えば一気に被告人の有利不利が引っくり返る場合が多い。
こう言うときは「波風を立てない」「穏便に片付ける」という考えは捨てるべきだ。徹底的に戦い抜いた方が(非常に手間と時間はかかるが)今後のためとなる。界隈の浄化にも繋がると考えて敢えて鬼で居続ける必要もある、ということだ。

追伸:ようやっと書ききれた……(移送申し立ての手続きに追われていた、こういう時に祖父の叔父の弁護士事務所を誰か継いでいればと恨み節も出るというものだ