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2018-03-15

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・博多の、いい具合のビジネスホテルにいて、
 いまお風呂に入ってきたところです。
 いつもは原稿を書き終えてから入浴するのですが、
 お風呂を先にしたのは、気仙沼の旅のおかげです。
 クルマで旅をしてたチームの田中泰延さんが、
 朝8時に原稿締め切りだというのに、
 早朝6時の段階でなにも書いてないのみならず、
 温泉につかってご機嫌だったと、聞いたのです。
 たしかに原稿は落としてませんし、
 とても見事な内容でありましたから、
 それをつまりは、湯上がりの2時間で書いたのです。
 この事実を教えてくれたのは、古賀史健さんです。
 古賀さんとぼくは考えました。
 田中泰延は、どうしてそういうことができるのか。
 「それは才能のゆえである」、という答えは
 ぼくらの役に立たないので採用しません。
 とにかく、いったん田中マジックについて、
 仮の答えを探してみることにしました。
 そのために、ぼくらの原稿書きの遅さを吟味します。
 「あれを書こうか、やっぱりやめようか」という、
 実際に文字を書き始める以前の時間を、
 パソコンの前にいてグダグダ考えている。
 実は、この時間がけっこうというか、最も長い。
 これを、お風呂でやればよいのではないか…。
 つまり、田中泰延名人は温泉につかっていながら、
 なにを書くか、どんなふうに書くかを、
 すでに決めていたのだと考えてみたのだった。
 それさえできていれば、もう書けたようなものだ。

 湯船でスマホやら本やら読んでないで、
 もっと漠然として、なにかを書き始めようそうしよう。
 古賀さんはどうかしらないけれど、ぼくはそう決めた。
 そう決めて初めての入浴が博多のビジネスホテルだった。
 シャンプーしたり歯を磨いたり、つい、やってしまった。
 しかし、ちょっとだけど漠然もした。
 思いついたよ、書くことがあった。
 「お手柄を立てようという考えがよくないよな」
 というようなことだった。
 これは前々から考えていたことで、このことを
 書けばいいと思ったら、もう終わりの行になっていた。

今日も「ほぼ日」に来てくれてありがとうございました。
起きたら、前川清さんと汽車に乗って、対談の旅をします。


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