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かつて、日本の総合電機メーカーは、ほとんど例外なく半導体事業を持っていた。日本の半導体産業は、自社製コンピューターや家電製品の競争力を高めるために立ち上げられたのだ。しかし、標準仕様の半導体チップを外部調達して作るパソコンが電子産業のビジネスシーンを一変させ、いつしか半導体事業は金食い虫の不安定事業とみなされるようになった。そして、総合電機メーカー各社は次々と半導体事業を分社化していった。
日本の総合電機メーカーは、重要なことに気付いていなかったように思える。大型汎用コンピューターの時代を制した覇者は、みんな半導体事業を持っていた。そして、パソコン時代の覇者は、半導体専業の米インテル(Intel)だった。NECでもなければ、米コンパック・コンピュータ(Compaq Computer)でもなかった。半導体は、電子産業の覇者が被る冠ではなかったのか。
皮肉なものである。日本で半導体事業を持つ最後の総合電機メーカーである東芝が手放したのと時を同じくして、世界の名だたるIT業界の巨人や自動車メーカーが独自チップの開発に注力するようになった。奇しくも世界の潮流に逆張りする格好になった日本の総合電機メーカー、そして大口顧客が独自チップ開発へと次々と走る市場の中で独立して生きることになった日本の半導体メーカーは、これからの時代をどのように生きていくことになるのだろうか。
半導体の大口需要家による独自チップ開発の動きによる波及効果と、この動きに対峙する企業の身の処し方について議論している今回のテクノ大喜利。2番目の回答者は微細加工研究所の湯之上 隆氏である。同氏は、現在の独自チップ開発の潮流を作り出したと言える米アップル(Apple)の故スティーブ・ジョブズ氏を範とし、今半導体を武器にしてシステムやサービスで競争力を高めるための抑えどころを指摘。そして、潮流の外にいる企業が、これから何をすべきかを示唆した。
微細加工研究所 所長