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問題は対応パッケージがほとんどないこと

 問題は、現状では企業向けのe-Gov対応のパッケージがほとんどないことです。社会保険労務士が使うパッケージはe-Gov連携の機能を備えていますが、人事管理の機能がありません。一般企業では採用、異動・昇格から退職に至るまで履歴データとして管理する必要があります。つまり、既存パッケージはe-Gov連携の機能が乏しい、社会保険労務士用のパッケージは人事管理の機能がないといった状況でした。

 人事給与パッケージ分野は今後、激戦区になるでしょう。国は電子申請化を進めたい思惑から、e-Govの普及に力を入れています。外部連携用にAPIを公開するなど、人事や給与データと連携させて普及を図ろうとしています。

 企業向けに販売してきた人事給与業務のパッケージベンダーも、いずれe-Gov対応を実施するでしょう。社会保険労務士向けのパッケージを企業向けに展開するかもしれません。今後は選択肢が増えるので、今のような悩みは減るはずです。

 むしろe-Gov導入に伴い、人事総務部門の業務変更を推進する必要があります。質問者の場合は、業務部門からe-Govの導入を求められているので、そうした心配はないようです

杉本 一裕’(すぎもと かずひろ)
1985年メーカー系IT企業に入社。多数の大手中堅企業における勤怠・給与・人事制度の業務コンサルティングを手掛ける。在職中の2007年には総務省年金記録確認/大阪地方第三者委員会の専門調査員を兼務。退職後、社会保険労務士事務所のSRO労働法務コンサルティングを開業。IT企業をはじめ、製造業や病院、大学、鉄道、販売流通業など幅広い業種のコンサルティング業務に従事。労務リスク回避や労務管理に関する専門家として、 講演や執筆活動も行っている。