社会

山城議長に猶予刑 那覇地裁、業務妨害など認定 「不当」と即日控訴

判決を受け記者会見を開く山城博治沖縄平和運動センター議長=14日、那覇市松尾の沖縄弁護士会館

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設や東村高江の米軍北部訓練場ヘリコプター発着場建設に対する抗議活動を巡り、威力業務妨害や公務執行妨害・傷害などの罪に問われた沖縄平和運動センターの山城博治議長(65)ら3人の判決公判で、那覇地裁の柴田寿宏裁判長は14日、「米軍反対運動の中で行われたが、犯罪行為で正当化できない」として山城議長に懲役2年(求刑同2年6月)、執行猶予3年を言い渡した。

 山城議長らは「抗議活動の背景を見ず、行為のみに着眼して論じている。形式的な不当判決だ」と批判し、判決を不服として即日控訴した。

 山城議長と共謀し、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブの工事用ゲート前にブロックを積み資材搬入を妨害したとして、威力業務妨害に問われた稲葉博さん(67)に懲役8月(求刑同1年)、執行猶予2年の判決。北部訓練場へのヘリコプター発着場建設の抗議活動を巡って起訴された添田充啓さん(45)は懲役1年6月(求刑同2年)、執行猶予5年、一部無罪だった。稲葉さんも控訴した。

 山城議長らは辺野古新基地建設などに抵抗し、抗議活動を続けてきた。国が約500人の機動隊員を投入し、運動は激しさを増した。その過程で山城議長が逮捕、約5カ月長期勾留され、国際社会から批判が上がった。

 弁護側は公判で国際的な批判や注目を集めていることを訴えていた。

 判決理由で柴田裁判長はブロック積み上げ行為について「表現活動の面を有する」と正当性を認めたものの「単なる表現活動にとどまらず、憲法で保障される表現の自由の範囲を逸脱している」と判示した。

 ブロック積み上げや工事車両の前方に立ちふさがるなどの一連の行為は威力で妨害していると山城議長の罪を認定した。その上で「(行為は)正当化できない」と非難し、「反対運動のリーダー的存在として主導的役割を果たし共犯者らの犯行をあおった」と指摘した。

 添田さんが刑事特別法違反罪に問われた事案では、立ち入りを禁じる明示がなくても立ち入れば処罰の対象なり得るとした過去にない判断を示した。

 判決によると、山城議長は2016年1月に名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲート前でブロック1486個を積み上げ、資材搬入の業務を妨害したなどとされる。