社会前脚上げて出発進行! 長良川鉄道、犬の駅長岐阜県中濃地方を走る第3セクター「長良川鉄道」の美濃太田駅(同県美濃加茂市)で毎週土曜の朝、帽子とネクタイを着けた犬の「駅長」がホームに立つ。真っ白なゴールデンレトリバーの「雪之丞(ゆきのじょう)」。前脚を上げ「出発進行」のポーズを取って汽車が走りだすと、車窓から見守る乗客たちに笑顔が広がる。 「おっきな犬だ!」「かわいい!」-。週末の美濃太田駅は名古屋方面からJRを乗り換え、関や美濃などに向かう観光客が目立つ。ホームで雪之丞を見つけた乗客たちは、おそるおそる頭をなでたり、記念撮影をしたり。愛知県安城市の会社員中西次美さん(53)は「お利口さんでびっくり。ネクタイがりりしい」とカメラで撮影。向かいのJR高山線ホームでも特急列車が到着すると、窓際の乗客が一斉にカメラやスマートフォンを向けた。 雪之丞は11歳の雄で、飼い主は岐阜県多治見市下沢町の会社員香住(かすみ)輝雄さん(68)、好江さん(64)夫妻。子犬の頃から輝雄さんがしつけ、今では40ほどの命令を聞き分けることができ、競技会で優勝歴もある。 雪之丞が人気者になったのは2012年5月、同県美濃市の旧名鉄美濃駅で開かれたこどもの日のイベントに頼まれて参加したのがきっかけ。 その後、別のイベントの際に、長良川鉄道の関係者の目に留まり、14年8月、同鉄道の全38駅の「ときどき駅長」に任命された。週1回、美濃太田駅に“出勤”するほか、各駅でのさまざまなイベントに登場する。 好江さんは「自分の仕事を分かっているのか、帽子とネクタイを身に着けると仕事モードになる。ホームへ向かう階段の足取りが軽いんです」と笑う。輝雄さんは「お客さんの喜ぶ顔を見るとこちらも楽しい。やめるわけにはいかないね」と愛犬の頭をなでた。 (関支局・本間貴子)
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