非常食(防災食)にはどんな種類がある?
地震や台風などの自然災害は、いつ・どこで起こるかわかりません。それ故に、日頃から防災意識を高め、水や食料も備蓄しておくことが大切。家庭でできる防災対策として、防災リュックと同じく、非常食も準備しておきたいものです。
非常時に備えて準備するものだけに、少し前までは“非常食=おいしくない”というイメージが定着していましたが、東日本大震災や新潟県中越地震、そして東日本大震災と大規模な災害を機に、“おいしい非常食”が次々に登場しています。
それではまず、非常食のタイプを見てみましょう。
- レトルト系
- アルファ米系
- フリーズドライ系
- お菓子系
- 缶詰系
1レトルト系
非常時でなくても、コンビニやスーパーでよく目にするレトルト食品。賞味期限も1〜2年と長く、衝撃にも強い軽量パッケージなので、一見非常食に向いていると思いきや、実はあまりおすすめできません。
レトルト食品は、湯せんや電子レンジなどで温めが必要になります。被災時は、ライフラインが止まり、水道やガス、電気が使えない状況。そんなときに、お湯をわかして温めて……なんてことはできません。
「少しでも食べ慣れた味がいい」という人は、市販のレトルト食品なら、温めなくても食べられて水分も多い「レトルトおかゆ」が◎。また、「美味しい防災食 サバの味噌煮」のように、非常食(防災食)として販売されているものなら、常温でもおいしく食べられ、賞味期限も3〜5年と普通のレトルト食品より長くなっています。
なかには、「レスキューフーズ 一食パック おかゆ&とりそぼろ」のように、発熱剤や発熱液体とセットで販売され、火も水も使わずにあたたかい食事が食べられる優れものもあります。
2アルファ米系
アルファ米は、炊きあげたお米を乾燥させたもの。お湯か水を注ぐと、煮炊き不要でお米が食べられます。もともとは、アウトドア用品として知られた存在でしたが、阪神大震災のとき、被災地に届けられ「おいしい」と評判になり、今では非常食の代表格になっています。
白飯、おかゆ、おこわ、五目飯、ピラフ、チャーハン、ドライカレーなど、味のバリエーションが幅広いので、飽きにくいのも嬉しいところ。しかも、乾燥させて水分を含んでいないため軽量で、非常用リュックに入れておくのに適していますが、お湯だと5〜15分くらいで食べられるものの、水だと40〜60分待たないと食べられないものが多いので注意が必要です。
3フリーズドライ系
非常時のみならず、お味噌汁やスープなどでおなじみのフリーズドライ製品。
あらかじめ加熱して味付けした食品をマイナス30度で急速冷却し、真空状態で乾燥させてつくられます。フリーズドライが非常食の定番になった理由のひとつに、乾燥させる前後で栄養価がほぼ変わらないことがあります。
災害時には、栄養価よりもカロリーを摂取することが重視されるため、どうしても栄養が偏りがち。レトルトおかゆやアルファ米、パンの缶詰などの主食と一緒に、ぜひフリーズドライの野菜も用意しておきたいものです。
また、アルファ米同様、軽くて持ち運びに優れているので、女性や子供のいる家庭にはとくにおすすめです。
4お菓子系
食事としては物足りなさがありますが、食べやすくて素早くカロリーを摂取できるお菓子系非常食もあなどれません。
なかでもポピュラーなのが「カロリーメイト(ブロック)」でしょう。カロリーメイトの賞味期限は製造から1年間と長く、体に必要な11種類のビタミン、6種のミネラル、タンパク質、脂質、糖質がバランス良く含まれています。とくに、ビタミンは1日に必要な量の約半分が含まれており、栄養が偏りがちな災害時の食生活にはピッタリです。
そんなカロリーメイトの特徴をいかし、非常食用として賞味期限が通常のものよりも長い「カロリーメイト ロングライフ」にも注目。含まれる栄養素は通常のカロリーメイト同様ですが、賞味期限は約3年。加えて、耐水性に優れたアルミフィルム包装なので、水害発生時における耐久性・保存性にも適しています。
サイズも1箱48.5gとポケットサイズで軽量なので、省スペースで効率の良い備蓄ができると、自治体や企業の備蓄用としても支持されています。
最近では、5年間の長期保存を実現した羊羹「えいようかん」や「チョコえいようかん」も人気。
1本で171kcal(ご飯小盛り1杯分)のエネルギー補給が可能で、アレルギー物質(特定原材料等)不使用というのも◎。子供からお年寄りまでが食べやすく、親しみやすい味なのもポイントです。
5缶詰系
そして最後に、ここ数年の進化が著しい缶詰系の非常食。25年間保存でき、しかも“おいしさ”も追求してNASAにも採用された世界最大規模の凍結乾燥食品メーカーが手がける「サバイバルフーズ」も人気ですが、ここで注目したいのはふんわりやわらかなパンをそのまま閉じ込めた「パンの缶詰」。
火も水も使わず、子どもやお年寄りでも食べやすく、なかには、賞味期間が迫る前におやつとして食べきってしまう……という人もいるほど。
パンの缶詰は被災時に必要なエネルギーを摂取するため、100gあたり300〜350kcalのものがほとんど。
商品によって数値に違いはあるものの、栄養成分は100gあたりタンパク質7〜8g、脂質13〜15g、炭水化物30〜50g、食塩相当量0.5〜0.6gです。これだけで必要な栄養素が補えるわけではありませんが、普段以上にエネルギーを必要とする被災生活では“おいしくて食べやすい”パンの缶詰がきっと活躍してくれるはずです。
また、きちんと甘さがあり、チョコやミルクなど味のバリエーションも豊富なので、被災時のストレスを軽減する効果も期待できます。
非常食(防災食)はスーパーよりネット通販がおすすめな理由
「おいしくておすすめの非常食(パンの缶詰)」の話の前に、非常食(防災食)を購入する上で知っておきたいお得な買い方や、賢い保存術を知っておきましょう。
災害発生直後は、支援物資が届くまで時間がかかることを想定して、備蓄する水や食料は3日分が目安になります。具体的に量をあげると、飲料水9L・アルファ米などのご飯4〜5食分・ビスケット1〜2箱・板チョコ2〜3枚・カンパン1〜2缶・缶詰2〜3缶ほど。
これが家族分となると、かなりの量になります。しかも、いざというときに「賞味期限が切れている!!」とならないように、定期的に賞味期限のチェックも必要。
非常食(防災食)を購入するときに、ネット通販がおすすめなのは、圧倒的に種類が豊富かつ、好みのものを探せるところ。「あまりにも数が多くて選べない……」という人には、1食分や1日分のご飯やおかずがセットになったものもあります。
また、賞味期限切れを防ぐためにも、保存方法は「ローリングストック」がおすすめ。定期的に消費して、新しいものと入れ替えることで、賞味期限切れを防ぐことができます。
「ローリングストック」に便利なのが、Amazon定期配送サービス「定期おトク便」。例えば、配送頻度を6ヶ月に設定しておけば、うっかり忘れることなく半年に一度非常食(防災食)を入れ替えることができます。
賞味期限が近づいたカンパンのおすすめアレンジ法
非常食(防災食)のロングセラー商品といえば、「乾パン(カンパン)」ですが、買い換え時期になると「食べなきゃ……でも全然減らない……」と頭を悩ませる人も多いのでは?
乾パン(カンパン)は、もともと軍隊用の保存食として食べられていた固く焼いたビスケットです。サクサクのビスケットを食べ慣れている人とっては、かなり固くて粉っぽいので最初は食べにくいと感じるかもしれません。
被災時に乾パンをアレンジして食べるのは難しいのですが、買い換え時期なら可能です。ここでは、乾パンをおいしく食べるアレンジ方法をいくつか紹介します。
【乾パン・オン・ザ・チョコ】……板チョコを1切れ乾パンに乗せ、少しチョコが溶けるまで電子レンジで加熱。冷蔵庫で再びチョコを固めれば完成。溶けたチョコの上に、もうひとつ乾パンを乗せてチョコサンドにしても◯。
【サラダに乾パン】……乾パンを砕いてサラダに乗せればクルトンいらず!
【サクサク衣に】……フードプロセッサーで乾パンを砕き、揚げ物の衣にすると、いつもとは少し違うサクサク食感を楽しめます。
【乾パングラタン】……牛乳に浸した乾パンをグラタン皿に敷き詰め、具やホワイトソースをかけてオーブンへ。
このほかにも、砕いて強力粉やバターを加えてタルト生地にしたり、インスタントコーヒーに漬け込んでクリームチーズを混ぜてティラミスにしたり……。
乾パンは料理からデザートまでアレンジ可能な食材として利用できます。
賞味期限が迫っている乾パンが眠っていたら、ぜひ活用してみてください。
パンの缶詰テッパンおすすめ人気ランキング10選【非常食】
調理&加熱不要、お皿も不要、開けてすぐ食べられて、しかも「おいしい」と話題なのがパンの缶詰。
以前、防災イベントで試食したとき「えっ!これが非常食?普通においしいんですけど!!」と、あっという間に間食してから、我が家の備蓄食料にもパンの缶詰が仲間入りしています。
東日本大震災以降、全国的に防災意識が高まったこともあり、パンの缶詰もバリエーションが豊富になってきました。
賞味期間が数年単位なので、一度購入すると数年は買わないものですが、だからこそ食べ比べをする機会がありません……。
個人的に「おいしい」と感じることは「生きる活力」に繋がると考えているので、“事前に準備”をするなら、なるべくその活力を得られるものを選びたいのが本音です。
そこで、
「おいしい」と話題沸騰中のものから、
缶詰パンのパイオニアともいえるもの、
ネットショップの人気商品などから10銘柄をセレクトして食べ比べを決行!!
評価ポイントは、【おいしさ】やパンならではの【しっとり感】はもちろんですが、非常食なので【保存のしやすさ】【ボリューム感】、そして【コスパ】も無視できません。
10商品を実際に食べて、下記の点に注目しながら独断と偏見で評価してみました。
【おいしさ】「パンの缶詰」であることを差し置いても「おいしい」「食べたい」と思えるものがベスト。つまり、「パン」としておいしいかどうかを★で評価。
【しっとり感】少し前の「パンの缶詰」はボソボソしていて「非常食だから仕方ないか……」というイメージ。パンはやっぱり、ふっくら&しっとりがおいしいので、しっとり感があるほど★を多くしました。
【ボリューム感】「パンの缶詰」はおやつではなく、非常食。1食が貴重な状況で食べるからこそ、きちんと満足感を得られないと困ります。おいしくても、食べ終わったときに物足りなさを感じては非常食として役不足なのです。
【保存のしやすさ】賞味期間の長さ、保管がしやすい形状、防災リュックに入れて持ち運びできるなど、保管のしやすさも評価ポイント。ひと工夫されているものほど、★を多く評価しています。
【コスパ】「パンの缶詰」は1缶(約100g)あたり428円が平均価格。いくらおいしくても、平均価格を大きく上回るものは購入するのを躊躇してしまいます。★が多いほど平均価格より安く、少ないものは平均価格より高くなります。また、賞味期限が長いものも★の評価が高くなります。
10位: 東京ファインフーズ 5年長期保存 紙コップ保存パン バター 1個
¥425
¥445
他1ショップ
9位: パンですよ レーズン味 100g
¥404
¥406
8位: 紙コップ保存パン チョコレート 1個
¥428
¥12,861
7位: あすなろパンパン 災害備蓄用パン アルミパック 3食アソート
¥1,205
6位: アキモト 缶入りパン バニラミルク味 100g
¥397
¥446
5位: パン缶マフィンタイプT1号 95g
¥385
¥385
4位: アキモト パンの缶詰 チョコクリーム 100g
¥418
¥428
3位: アキモト 缶入りパン バター味 100g
¥415
¥428
他1ショップ
2位: アキモト 缶入りソフトパン オレンジ味 100g
¥417
¥428
他1ショップ
1位: 缶deボローニャ12缶セット 12個
¥4,296
今回比較した10商品のパッケージは、大きく4つのタイプに分類されます。それぞれ中身の大きさにも違いがあり、写真で比較するとこのような結果に。
左から、袋に入ったもの(「東京ファインフーズ 5年長期保存 紙コップ保存パン バター」)、背が高めの缶に入ったもの(「アキモト パンの缶詰 那須高原バター」)、ツナ缶よりやや大きめの缶に入ったもの(「パン缶マフィンタイプT1号」)、箱入りのもの(「あすなろパン 災害備蓄用パン アルミパック 3食アソート」)です。
10商品のなかでパッケージが特徴的だったのは、5位の「パン缶マフィンタイプT1号」。缶切りがセットになっており、コリコリと自力で開けなければなりませんでした。
耐久性はイージーオープン式よりも高いそうですが、開けるまでに力と時間がかかる上に、切り口が尖ってしまうので指を切りそう……。
パン自体はおいしく、衝撃にも強い安心感があるのでリピートしたいところですが、途中で挫折しそうなほど開けるのが大変だったので、もう少し開けやすい(力が伝わりやすい)缶切りがついていれば1位にしていたかもしれません。
メーカーによって、パンの密度もかなり異なっていました。
やはり「おいしい」と感じるのは、ふっくら&しっとり感のあるものでしたが、断面を見てもわかるように、ふっくらしていると空気もたくさん含んでいるので満腹感が得られにくいというデメリットもあります。
単純に100gあたりのコスパで比較すると下記のようになりますが、災害備蓄用を目的にするなら、賞味期限の長さもコスパの良し悪しに関わります。
そこで、購入した10商品を賞味期限の長さで並べ替えてみました。
一見、100gあたりの価格で見ると高くなっていた「あすなろパン 災害備蓄用パン アルミパック 3食アソート」や「東京ファインフーズ 5年長期保存 紙コップ保存パン バター」、「東京ファインフーズ 5年長期保存 紙コップ保存パン チョコ」ですが、賞味期限が長いので、一概に価格だけでコスパが悪いとは言えません。
価格と賞味期限の長さで比較すると、コスパが良いのは「パンですよ!レーズン味」と言えそうです。
めんどくさがり屋の私は、賞味期限が長いと入れ替えのタイミングを忘れてしまいそうなので、大掃除とあわせて1年に一度まるっと入れ替たいのですが、あんまり味が好みでないと、入れ替えのタイミングで食べるのが億劫になります……。
そのため、購入条件は賞味期限はそこまで長くなくても良いから、とにかく好みの味であること。そして、1年くらいで入れ替えるのでコスパもそこそこ良いものであること。
今回比較した10商品のなかで、この条件に当てはまるのは「缶deボローニャ 12缶セット」でした。
自宅で備蓄用として保管するには不向きでしたが、軽くてゴミもコンパクト、さらに賞味期限も長い「東京ファインフーズ 5年長期保存 紙コップ保存パン チョコ」も防災リュック用に購入しようと思います。
“その日”は突然やって来ます。
予期せぬ災害を防ぐことはできませんが、最低限の備えをしておけば、被害を少しでも減らす“減災”は可能です。
「あのとき準備しておけばよかった……」そんな後悔をしないように、もう一度、自宅の防災リュックや備蓄用の食料をチェックしてみてください。