米National Geographic誌は3月12日、「本誌は何世代にもわたり、人種差別的なレンズを通して世界を報じてきた」とする反省の弁を公表した。上半身が裸の女性や褐色の肌をした素朴な部族民たちを、単純で知性に欠ける未開人として描写してきたことへの反省だ。
表紙の黄色い縁取りが特徴のNational Geographic誌。最新号となる4月号では人種について特集している。現編集長のスーザン・ゴールドバーグ氏はこの最新号についてAP通信の取材に応じ、「前に進むためには自分たちの過去と向き合う必要があった」と説明している。
National Geographic誌は1888年に創刊した。バージニア大学の写真歴史学者であるジョン・エドウィン・メイソン教授が編集部の依頼を受け、2017年秋に調査を実施したところ、1970年代までの同誌は、米国に住む有色人種を肉体労働者や召使いとして以外は事実上無視していたことが明らかとなった。さらに同誌は、米国以外の有色人種については常に「エキゾチックで、ほとんどの人たちが衣服を身につけておらず、狩猟を好み、高潔な野蛮人である」といった決まり文句で報じていたという。
例えばオーストラリアに関する1916年の記事では、2人のオーストラリア先住民の写真に「南オーストラリアの原住民たち:全人類で最も知性が低いとされる未開人」というキャプションが付けられている。
さらにNational Geographic誌は、先住民たちが欧米の最新テクノロジーに興味をかき立てられるというお決まりの描写を好んで使い、太平洋諸島の美しい女性たちの写真を多数掲載していたという。
自分たちの過去を批判的な目で検証しているメディアは、National Geographic誌だけではない。New York Times紙は先ごろ、同紙の過去の追悼記事が白人男性の生涯ばかりを取り上げていたことを認めた上で、「Overlooked(見落とされた人たち)」という欄を設け、偉大な女性たちの死を追悼する記事の連載を開始している。
National Geographic誌の4月号には、ゴールドバーグ氏が「何十年もの間、本誌は人種差別的だった。過去を乗り越えるために、私たちはそれを認めなければならない」と題した記事を掲載。同氏はその中で、自身がNational Geographic誌初の女性でユダヤ系の編集長であることを明かしている。
「かつての記事には、今なら決してあり得ないような内容のものがあった。今ならそうした記事は載せないし、誇れることではない。だが今回、人種について特集するからには、自分たちがこれまで人種についてどう語ってきたかを検証すべきだと考えた」とゴールドバーグ氏は語る。
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