熊本のソウルフード、ニンニク高騰で運営に限界

山中禅氏[熊本ラーメン社長]

2018年3月14日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

時に時勢に見放され、時に敵襲に遭い、時に身内に裏切られる――。栄華興隆から一転して敗戦に直面したリーダーが、おのれの敗因と向き合って問わず語りする連載「敗軍の将、兵を語る」を、「日経ビジネス」(有料)では原則毎号掲載しています。連載の魅力を知っていただくために、2018年3月の月曜から金曜まで、過去2年間に登場した「敗軍の将」たちの声を無料記事として転載・公開します。

(日経ビジネス2017年11月13日号より転載)

熊本の老舗ラーメン店「こむらさき」が7月31日に本店を閉店した。熊本を代表するソウルフードを苦しめたのは、ニンニクをはじめとする原材料費の高騰。人手不足が深刻化する中、コスト増から十分な人件費を捻出できず、苦渋の決断を余儀なくされた。

[熊本ラーメン社長]
山中 禅氏

1952年生まれ。80年ごろ、家族が経営する熊本ラーメンの前身の有限会社こむらさきに入社。88年に熊本ラーメンを設立し、社長に就任。通販事業やコンビニエンスストア向けカップラーメンなどを手掛けてきた。65歳。

SUMMARY

「こむらさき」本店閉店の概要

「こむらさき」本店は、1954年に創業。3年後に現在の場所に移り、営業を続けてきた。しかし、2016年1月から人手不足が原因で休業に追い込まれた。その後、1年間にわたって、人材募集を続けてきたが、熊本地震の復興需要などで人は集まらず、原材料費の高騰もあり16年暮れに閉店を決意。17年7月31日をもって、63年間の歴史に幕を下ろした。

 当社は1954年に創業した熊本ラーメンの店です。創業以来、営業を続けてきた本店を2017年7月31日に閉店しました。県外からのお客さんを呼び込むために、当社にとって知名度のある本店は必要な店舗でした。皆様に愛された本店の閉鎖を発表し、多くの方から驚きのご連絡をいただきました。ご心配をお掛けしました。

 本店を閉店する大本の背景にあるのは、人手不足です。実は、熊本地震が起きる前の16年1月から本店は休業していました。人が足りなくなり、1年間ずっと募集をかけていましたが、なかなか確保できませんでした。採用さえできれば、すぐにでも店を再開できましたが、どうしようもありませんでした。閉店を決めたのは、昨年の暮れぐらいです。

地元の時給上昇についていけず

 特に集まらなかったのは、昼間のパートさんです。いま熊本市では時給が上がっていて、ついこの間まで時給は700円ちょっとだったのが、いまは800~900円になっています。我々が採用したい主婦の方は、コールセンターに流れているようですが、時給1000円で募集しているそうです。それに対し、私どもが提示していた時給は、例えば研修期間が明けたバイトの場合で、750円でした。

本店には閉店を知らせる張り紙が

 もっとバイト代を上げれば、あるいは人材を確保することができたかもしれません。しかし、当社には、それができない経営的な問題がありました。原材料価格の上昇です。

オススメ情報

「証言」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

親が子供に習得してほしいと考える知識やスキルなんて、AIが代替してしまいますよ。

澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長