新生活を始めるコストとして多くを占めるのが生活家電の購入費。いっそ家電を買わずに、もっと安いモノで代用する方法はないのだろうか?
そこで今回は、洗濯機、掃除機などの定番生活家電を買わずに別の物やサービスで代用する方法と、その“コスパ”を徹底比較。初期費用を抑えてお得に新生活を始めるヒントとして活用してもらいたい。
とにかく安く新生活を始めたい! そう思ったら生活家電の必要性を見直そう
お気に入りの部屋を見つけたら、いよいよ新生活のスタート! そこで必要になってくるのが家電製品だ。
特に初めての一人暮らしでは、洗濯機に電子レンジ、炊飯器……といろいろ買いそろえたくなるはず。全部買うと、それだけでもかなりの出費になってしまう。なんとかしてコストを抑える方法はないものだろうか。
そこで、ふと思い浮かんだのが、そもそも家電製品を「買わない」という選択肢。洗濯機を買わずにコインランドリーでまかなう、掃除機を買わずにフロアワイパーで代用する、炊飯器を買わずに土鍋で米を炊く……といった具合に、家電なしで生活することができれば、新生活を始めるにあたっての初期コストを大幅に抑えることができそうだ。
今回は料理・洗濯・掃除の3つのシーンで使う家電について、「買う」or「買わない」のボーダーラインを徹底調査! 初期費用と2年分のランニングコストを割り出し、検証してみた。
コインランドリー VS 洗濯機 どちらが安上がり?
共働き世帯の増加などを受け、都市部のコインランドリーの店舗数は急増中。サービス内容も一昔前より進化しているという。日々の洗濯をコインランドリーで済ませた場合、自宅で洗濯する場合とどちらがお得なのだろうか。
今回は、一人暮らしで週に2回洗濯する場合を仮定。コインランドリーの利用料を300円、洗濯機は購入費用としての5万円に日々の使用にあたっての電気代などのランニングコストを加えて試算。
すると22ヵ月目で洗濯機を超えてしまう計算に。2年以上使うなら、費用面では洗濯機を購入した方が安上がりといえそうだ。
22ヵ月以上使うのであれば、コインランドリーよりも洗濯機を購入したほうが得ということがわかった
条件
□ 一人暮らし
□ 週に2回使用する
コインランドリー
・利用料金 300円/回
洗濯機
・購入費用 50,000円 ※一人暮らし用容量60Lのもの
・水道代 11.7円/回 ※2回すすぎを行い、92L使用
・電気代 0.9円/回 ※59Whで35分間運転
・洗剤 16.6円/回 ※900円/1,300gのお徳用液体洗剤を24gずつ使用
除湿器 VS 浴室乾燥機 どちらが安上がり?
物件についているとうれしい浴室乾燥機。雨の日も居室に湿ったものを干す必要がないのが魅力だが、電気代が高いという噂も……。むしろ除湿機を購入してしまった方が、結果的に安上がりかも?ということで調べてみた。
浴室乾燥機(電気式)の消費電力は1,180W、1時間あたりの電気代は約60円。週に2回、2時間使用すると、電気代はなんと年間6,000円にもなる。とはいえ、2年間では除湿機の購入費用までは及ばない計算となった。
2年間では除湿器購入費を取り返せないという結果に
条件
□ 一人暮らし
□ 週に2回2時間使用する
除湿器
・購入費用 20,000円
・電気代 20円/時間 ※消費電力385W
浴室乾燥機
・購入費用 0円 ※元から物件に備付けの想定
・電気代 60円/時間 ※消費電力1,180W
炊飯器 VS 土鍋+ガスコンロ どちらが安上がり?
基本的には、お米を炊くのにしか使わない炊飯器。わざわざ購入しなくても、他の方法で代用できるのではないか。そこで、今回はガスコンロを使って土鍋でお米を炊いた場合のコストを調査。炊飯器の場合と比較した。
日々の光熱費については炊飯器の圧勝! ただ、2年間では初期費用の差は埋まらず、土鍋に軍配があがる結果となった。ちなみに、今回の条件だと5年以上使えば炊飯器の方がお得になる計算。使用頻度によって検討を。
2年間では炊飯器よりも土鍋のほうがお得。しかし炊飯器の光熱費は年間わずか450円と格安!
条件
□ 2日に1回、1合の白米を炊く
炊飯器
・購入費用 10,000円
・電気代 2.4円/回 ※消費電力93.7W/回
・水道代 0.02円/回 ※200mlの水を使用
土鍋+ガスコンロ
・購入費用 3,000円
・ガス代 6.8円/回 ※中火1.68Wで20分加熱
・水道代 0.6円/回 ※500mlの水を使用
電気ケトル VS やかん+ガスコンロ どちらが安上がり?
料理をはじめとして暮らしのさまざまなシーンで活躍するのが電気ケトル。価格も安く、あっという間にお湯が沸くが、光熱費はどのくらいかかるのだろうか。ガスコンロを使ってやかんでお湯を沸かす場合と比較してみた。
今回の検証では、1回あたり500mlを沸かすと仮定。結果、初期費用・ランニングコストともにやかんの方が安いという結果に。ただ、少量を早く沸かしたい場合には電気ケトルの方が便利。賢く使い分けを。
電気ケトルよりもやかんの方が、初期投資も光熱費も安上がりだった
条件
□ 1日1回、500mlのお湯を沸かす
電気ケトル
・購入費用 1,800円
・電気代 1.6円/回
※消費電力1,250Wのケトル、3分で沸騰
・水道代 0.6円/回 ※500mlの水を使用
やかん+ガスコンロ
・購入費用 750円
・ガス代 0.8円/回 ※中火1.68Wで2分30秒加熱
・水道代 0.6円/回 ※500mlの水を使用
掃除機 VS フロアワイパー どちらが安上がり?
最後に調査するのは「掃除機」と「フロアワイパー」。初期費用だけでみればフロアワイパーが安価だが、使い捨てのシートを都度取り替えなければならない分、ランニングコストが高くつく可能性もありそうだ。
今回は週2回の掃除。1回の掃除で、掃除機は20分運転、フロアワイパーは1枚使用という条件で試算した。
結果、今回の条件ではフロアワイパーが圧倒的に低コストという結果に。掃除機の購入費用を1万円と見積もっていたが、懸念点だった使い捨てシートの費用は1回あたり25円と圧倒的に安価。一人暮らしの部屋であればシート1枚で十分きれいになるため、そこまで割高にはならなかった。
掃除機とフロアワイパーの開きはなんと約7,000円!
条件
□ 掃除の頻度は週2回
□ ワイパーのシートは1回につき1枚消費
□ 掃除機は20分間運転
掃除機
・購入費用 10,000円 ※紙パック不要タイプとする
・電気代 5.2円/回
フロアワイパー
・本体購入費用 1,000円
・シート費用 25円/回
※40枚入り1,000円のドライタイプを使用
今回の検証結果は、あくまでもシミュレーションによる一例。家族構成や生活スタイルによって、「買う」or「買わない」の境界線は異なってくる。
例えばフロアワイパーも、相当頻繁に掃除をする人にとっては割高になる可能性もある。引っ越し時に家電を一気に買いそろえるのではなく、生活スタイルに応じて少しずつ買い足していくのも賢い方法だ。
初期コストがかかる家電製品は、長く使えば使うほどお得。もし購入するなら、現在の生活スタイルだけでなく、将来設計も視野に入れておくとよい。
今は一人暮らしでも、恋人との同棲を考えているなら、洗濯機などは少し容量の大きいタイプを選んでおけば長く使うことができるだろう。
イラスト=KOH BODY
文=編集部
※「CHINTAI2018年2月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
※光熱費の試算条件は以下
電気代=1kWhあたり25.91円で計算(東京電力ウェブサイトを参照)
水道代=1㎥あたり128円で計算(東京都水道局ウェブサイトを参照 月あたりの使用量6〜8㎥程度、呼び径13mmで計算)
ガス代=1㎥あたり151.74円で計算(東京ガスウェブサイトを参照 種別は都市ガス、発熱量は45MJ/㎥で計算)
※雑誌「CHINTAI」2018年2月24日発売号の特集は「実働5日! 引っ越し完璧マニュアル」。こちらから購入できます(毎月24日発売)
https://www.chintai.net/magazine/