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400年の歴史に幕…?今年の「阿波おどり」はやっぱり中止らしい

徳島市も「継続は極めて困難」と認めた

4億円超の累積赤字

徳島県の「夏の風物詩」阿波おどりが存続の危機に立たされている。日本三大盆踊りに数えられ、県内外から123万人もの観光客を集める徳島最大のイベントにもかかわらず、内情は火の車なのだ。

阿波おどり事業特別会計には、現在4億円超の累積赤字が積み上がっている。阿波おどりの主催は徳島市観光協会と徳島新聞だが、この赤字を理由に観光協会が徳島市から清算を迫られている。

昨年5月、本誌は阿波おどりの運営をめぐって主催者間で深刻な内紛が起こっていることを報じた。そこでは、「徳島新聞が自社やグループ企業だけが儲かるように運営を行っているため、観光協会に赤字が積み重なっている」という観光協会幹部の訴えを紹介した。

徳島市観光協会の花野賀胤事務局長が語る。

「昨年8月の阿波おどりは結局、徳島新聞の社長が委員長を務める実行委員会もろくに開かれないまま本番を迎えるという異例の事態でした。ところが徳島新聞がメディアからの批判を恐れて控えめになったためか、最終的に約2600万円の黒字決算になったのです」

 

今後、改革を進めれば負債も無理なく計画的に返済していける公算だった。

「ところが、徳島市は今年2月に入って、観光協会に『借金を清算しろ』と迫ってきたのです。観光協会は、阿波おどり以外に『阿波おどり会館』と『眉山ロープウェイ』の運営を主な事業としています。この2つは市から指定管理を受けて観光協会が長年請け負ってきました。

しかし、昨年9月の公募に突然、徳島新聞が応札してきて、結果、徳島新聞が2施設の指定管理を取ったのです。これで観光協会は大きな収入源を奪われました。事務所も3月末で阿波おどり会館から追い出されます」(花野事務局長)

徳島新聞が観光協会の収益源を奪った方法は、理不尽なものだった。

「徳島新聞が子会社と組んで指定管理に応募したのが昨年9月22日のこと。観光協会の理事をしていた徳島新聞の米田豊彦社長と吉村昇事業局長は、その前日に辞任届を出してきました。その後、情報公開請求により、実は9月11日に徳島新聞が市に対して入札に応募するという誓約書を出していたことが判明。

米田社長と吉村事業局長は観光協会の理事だったにもかかわらず、観光協会の不利益となることに携わっていたわけですから、これは明らかな背任行為です。現在、刑事告訴しています」(徳島市観光協会・近藤宏章会長)

本来は中立な立場の徳島市もそれに応えるように観光協会を追い込んでいく。徳島市の遠藤彰良市長は四国放送の元アナウンサーで、四国放送の筆頭株主は徳島新聞だ。遠藤市長は、県内シェア7割を超える徳島新聞と蜜月の関係とされる。

「昨年11月には市が協会の立ち入り調査を行い、2月に公表された調査報告書で『阿波おどり事業継続は極めて困難』と結論づけられました。その理由に不適正な会計処理が挙げられていますが、最大の支出先は徳島新聞のグループ会社です。にもかかわらず、報告書は徳島新聞の責任について何ら言及していません」(前出・花野事務局長)