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 総務省は、2018年3月末をめどに携帯電話の新たな周波数を割り当てる。2月26日までに募集を終え、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイルネットワークの4件の申請があった。当初は既存の大手3社による平穏な決着と見られていたが、楽天の新規参入で予想外の展開を迎えた。

 総務省が今回新たに割り当てるのは、1.7GHz帯(Band 3)が3枠と3.4GHz帯(Band 42)が2枠の計5枠。とはいえ、1.7GHz帯の1枠は東名阪以外(東名阪はNTTドコモが使用中)の制約バンド。実質4枠の争いとなり、仮に新規参入の楽天が2枠を獲得すれば、1枠も獲得できない事業者が出る可能性もある。総務省が公表する割り当て指針(特定基地局の開設に関する指針)から争奪戦の行方を占う。

同点の場合は新規参入事業者を優先

 周波数の割り当ては、絶対審査基準ならびに比較審査基準に基づいて審査する。前者は申請者が最低限満たすべき基準に当たり、設備の調達をはじめ、基地局の設置場所や工事体制、運用保守に必要な技術要員の確保に関する計画などが挙げられる。

絶対審査基準の概要
出所:総務省
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 人口カバー率も一定の基準を満たす必要があり、1.7GHz帯で8年後に80%、3.4GHz帯で5年後に50%と定めている。さらに今回は周波数の移行・再編を伴い、「終了促進措置」として既存無線局の移行費用も負担しなければならない。このために最低限確保すべき金額は、1.7GHz帯で1950億円、3.4GHz帯で110億円となっている。

 もっとも、これらの基準は既存の大手3社にとって慣れたものであり、ここで脱落することは考えられない。脱落があり得るとすれば新規参入の楽天になるが、大手3社出身者を含む専門家を多数採用済み。ソフトバンクで総務省との折衝を長らく務めた人物も起用したとみられ、不備は考えにくい。3月6日には基地局の設備場所に東京電力グループの設備を活用すると発表した。