トランプ米大統領、ティラーソン国務長官を更迭

Rex Tillerson in Chantilly, Virginia, October 5 2017 Image copyright Reuters
Image caption ティラーソン国務長官には辞任もしくは解任観測がつきまとっていた

ドナルド・トランプ米大統領は12日、レックス・ティラーソン国務長官を更迭し、後任に中央情報局(CIA)長官のマイク・ポンペオ氏を指名すると発表した。大統領はさらに、国務長官との食い違いは「相性」の問題だったと話した。

トランプ氏はツイッターで、「マイク・ポンペオCIA長官が新しい国務長官になる。素晴らしい働きをするはずだ! レックス・ティラーソンのこれまでの貢献に感謝する! 新しいCIA長官にはジーナ・ハスペルがなる。この職に選ばれる初の女性だ。みんな、おめでとう!」と書いた。

トランプ氏はさらにホワイトハウスの外で記者団に対して、ティラーソン氏との食い違いは結局のところ、「相性」の問題だったと話した。

「実際、かなり馬が合っていたけれども、意見の食い違いがあった。イラン合意について言えば、僕は最悪だと思うが、向こうはいい内容だと思っていたんだろう。僕は(合意を)取り消すか何かしたかったけれども、彼の意見は少し違っていて、だから意見が一致していなかった」と、トランプ氏は述べた。

さらに大統領は、後任に指名したポンペオ氏について、「マイクに関しては、マイク・ポンペオは、僕たちは考え方がすごく似てる。とてもうまくいくと思う」と述べた。

その上でトランプ氏はティラーソン氏について、「レックスはとてもいい人間だ。レックスのことがすごく好きだ」と話した。

大統領がCIA長官に指名したジーナ・ハスペル副長官は、CIA捜査官出身のベテラン。

一方で国務省は、ティラーソン長官は大統領と会話していないし、更迭理由についても「承知していない」と明らかにした。スティーブ・ゴールドスタイン国務次官は、「国家安全保障についてきわめて重大な進展があったため、長官は完全に職に留まるつもりだった」と話した。

ティラーソン氏は就任前まで、石油大手エクソン・モービルの最高経営責任者だった。

ホワイトハウス高官はBBCに対して、このタイミングでの国務長官交代について、「大統領は、北朝鮮との間で控えている協議や、継続している様々な通商交渉について、新チームが準備万端で備えている状態にしたかった」と説明した。

トランプ大統領が北朝鮮との首脳会談を受け入れたと韓国代表団が8日に発表した際、アフリカ各国を公式訪問中だったティラーソン氏は、決定を知らされていなかったように見えた。

国務長官の側近は10日、ティラーソン氏が体調不良だと話していた。さらに国務省はその後、長官がアフリカ歴訪の日程を1日短縮すると発表していた。

さらにティラーソン氏は12日には、英南西部ソールズベリーで起きた元ロシア情報将校と娘の殺人未遂事件について、英政府の見解と同様、神経剤攻撃は「明らかにロシアによるもの」で、「間違いなく対応する」と発言した。一方で、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官は同日、記者団の質問を受けても、ロシアの関与について言明を避けた。

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ティラーソン国務長官、「間抜け」発言報道に「そんなつまらないこと」

トランプ政権内で、ティラーソン氏とトランプ氏の間にすきま風が吹いているという報道は、これまでも繰り返されていた。昨年10月には、ティラーソン氏が同年7月の時点でトランプ氏を「間抜け」呼ばわりしていたという報道を受け、国務長官自身が記者会見を開き、辞任観測を否定していた。ただしこの際、本当に「間抜け」と呼んだのかどうかについて、はっきりと否定もしていなかった。

これに先立ちトランプ氏は昨年10月、北朝鮮の核開発について交渉継続を重視するティラーソン氏に対して、「時間の無駄」だとツイートしていた。

報道によると、ティラーソン氏はトランプ氏が外交の基本についてあまりに無知だと驚いていたとされる。米紙ニューヨーク・タイムズは、ティラーソン氏がトランプ氏の発言にあっけにとられたり、賛成しない場合、あきれた表情をしたり、背中を丸めるなど姿勢を崩したりしており、トランプ氏がそれを不快に思っていたと伝えている。

(英語記事 Trump sacks Tillerson as secretary of state

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