レジェンド洋食店はやっぱり凄い…!神戸元町「サンセール」のカツレツとシチュー肉の深い味わいに感動した

神戸には歴史的な洋食店がいくつかありますが、今回紹介する「サンセール」(兵庫県神戸市中央区元町通1-3-7)もレジェンド店のひとつです。このお店では丁寧に仕込まれた「牛すじ肉のカツレツ」、サーロインを使った「ビーフカツレツ」、そして歯がなくても噛み切れるほど柔らかい「ビーフシチュー」など、手間のかかりまくった洋食をリーズナブルにいただくことができる名店です。ランチでもディナーでも同じメニューが食べられるのもうれしいですね。レジェンドと呼ぶにふさわしい深い味わいとご堪能ください。 (南京町・旧居留地のグルメランチ

レジェンド洋食店はやっぱり凄い…!神戸元町「サンセール」のカツレツとシチュー肉の深い味わいに感動した

まいど憶良(おくら)です。

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神戸市は元町にやって来ました。

 

神戸には歴史のある洋食屋さんが数多くありますが、今回取材した「サンセール」さんは1984年創業のレジェンド店のうちの一つ。

 

この記事で紹介するのは手間がかかりまくった看板メニュー「牛すじ肉のカツレツ」と、サーロインを使った「ビーフカツレツ」、さらに歯茎で食べられるほど柔らかい「ビーフシチュー」の3品です。

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神戸元町中華街・南京町がまだ中華街となる前から店を構えている、レジェンド中のレジェンド店です。

 

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外の喧騒とは切り離された、ゆったりとした時間が流れている店内。そう、今回の隠れたテーマは「時間」です。

 

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この窓の下は賑やかな中華街ですが、この店にいる間はそれを忘れてしまいます。

 

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メニューの一部。

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メニューは豊富です。単品だけでなく、定食もありました。

ちょっとメニューではわかりにくいですが、11:30~17:00までではなく、定食が出来るのが11:30~と、17:00~の、2部構成になっています。

 

夜でもこの値段で定食が食べられるのも魅力ですね。

 

抜群の味、食感が凄い牛すじ肉のカツレツ!

今回はどうしても食べたかった牛すじ肉のカツレツを頼みました。

それに、ステーキに使われているサーロインを揚げるビーフカツレツと、歯がなくても食べられるというビーフシチューが一度に食べられるセットがあるというので、

ビーフカツレツとビーフシチューの盛り込みも頼むこととしました。

 

この牛筋が絶品のカツに変身します。

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これをトロトロになるまで時間をかけて煮込んだものに、再度時間をかけて味を染ませて仕込んだすじ肉。

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これを揚げていきます。

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こちらはサーロインステーキに使うお肉。

仕入れた肉はすぐに使う事は出来ないと言います。

必ず店で熟成させてからでないと調理しないという事なので、予定数が出てしまうと売り切れで終了となります。

 

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注文が通ってから揚げて行きますので

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出来上りまでは時間がかかります。

 

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これについては、いくら混雑時であったとしても、

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決められた手順をしっかり守って作ります。

 

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手抜きや雑に作ったものを出すことは絶対にできないというマスターが

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作る牛すじカツレツ。

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さぁ、カラリと揚がって来ました。

 

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こだわりの塊のような自家製のブイヨンと、こちらも自家製のグラス・ド・ビアンにワインを合わせて仕上げたソースをかけて。

 

自家製の「グラス・ド・ビアン」とは?

フォン・ド・ボーはよく聞く言葉だと思います。

フォンは土台となる物・ソースの意味で、ボーは仔牛の事。

その名の通り、仔牛の骨、筋などに野菜を加えて長時間かけて作るソースなんですが、グラス・ド・ビアンはそのフォンドボーをさらに何度も濾しながら煮詰めて作る、超濃厚ソースのことだそうです。

フォン・ド・ボーを自家製で作るというだけでも手間がかかると言いますから、グラス・ド・ビアンを作って、それを使ってソースを作る、なんて、気が遠くなりそうな工程ですね。

 

牛すじカツレツの唯一無二の食感と奥深い味わい

そしてやってきました。

これが噂の牛すじカツレツ定食860円。

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神戸元町南京町の中にある洋食店で、しかもこの値段で定食が食べられるというだけでもちょっとした驚きですが、

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初めて味わう、牛すじカツレツに期待が高まります。

 

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断面を見ると、トロトロになったスジ部分と、下部分にはサーロインのお肉部分も見えます。

 

そのお味は、決してくどくない、上品なすじ肉の物。

そして、なぜかとてもクリーミー。

それがソースの味と相まって、奥深い味わいになっています。

何がどうなって、どんな化学反応が起こってこの味なんだ、なんていう無粋な事は言わ

ず、ただただ黙って味わいたい。そんな味です。

そして、このお店の空気感が、とてもこの味に合うというところがまた不思議です。

 

独特の食感も唯一無二だと思います。

衣のカリッと感と、ソースの掛かった部分のしっとり感。筋のトロりと、肉の感触が口の中で賑やかに踊る感覚。

これに似た食感と言えば・・・。牛のテール煮込み・・・に、ちょっと似てるかもしれません。

いや、どうかな。とにかく、食べてみてください。 ←(あっ、諦めた)

 

そのコスパの良さに驚く人、そして固定ファンになる人が多いというのも頷けます。

 

もともとはパーティで、ちょっと変わり種のメニューとして作った物が好評だったために定番化したメニュー。

すじ肉を自家製ブイヨンで、含め煮のように、時間をかけて、じっくりと仕上げる事でこの独特の味を作り上げているんです。

 

サーロインのカツと歯茎で食べられるほど柔らかいシチュー肉も凄い

そしてビーフカツと、ビーフシチューが一度に楽しめる「ビーフカツレツとビーフシチューの盛り合わせ」1230円。

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そのお肉はサーロイン。

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中心部にはほんのりピンクの部分も残ります。

もちろん特製ソースとの相性もばっちり。

値段を考えると、信じられないお肉です。

 

そして、このシチュー肉のクオリティが凄い。

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ナイフを使うと、ほぼ抵抗なく切れるシチュー肉。

もちろん箸でも、すっと切れます。

 

口の中で優しくホロっと崩れるお肉。

これも絶品物でした。

 

マスター「牛すじカツレツは・・・あまり褒めんといて欲しいんや」

憶良 : どれもこれも美味しかったです。

特に牛すじカツレツは、本当に食べてみないと想像のできない味と食感ですね。

マスター : いや、でも、あんまり牛すじカツレツの事は褒めんといてほしいなぁ。

憶良 : えっ! 何でですか。

マスター : いや、牛すじは、手間がかかるから、大変なんよ。

 

憶良 : でも、牛すじだけでなくて、ソースひとつにしてもメチャクチャ手間がかかっているじゃないですか。

マスター : そうやねぇ、でも、その手間がかかるやり方しか出来へんからなぁ。

見た目の通り、職人さんにありがちな口下手のマスターを補完すべく、奥さまが言葉を添えてくれます。

奥さま : ソース作りなんか、休みの日とか店が開いてない時間に、ずーっとやってますねぇ。

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それだけ料理が好きという事なんでしょうけど。

 

マスターは、何でも自分のやり方を曲げずにやる人なんです。

ドレッシングも、ステーキのタレも、デミグラスソースも、一から自分で作らないと納得できなくて、結果、大量に作る事はできなくて・・・。

注文が偏った時なんかは早々と売り切れメニューが出来たりして困ってしまいます。

 

マスター : 昔はミンチカツレツのネタなんかも、大量にこねれたんや。

最近は、あかんなぁ。そんなに、こねられへん。

これには、体力がなくなったなぁと、思う。

そやから、その分(の力を使って)丁寧に仕込むようにしているんや。

 

「儲けの事はもうあんまり考えられんようになってきた」

奥さま : 良くも悪くもお金より自分の納得の行く仕事をしたい、というのが優先で。

原価率が60%なんて、無茶するし、本当に無頓着で困ってしまいます。

マスター : それでも常に、高い基準でやりたいというのが、欲としてあるんよ。

出来る限り、その基準を守りたい。

だから、時としてはお客さんの回転率が悪い方が助かる事もあるんよ。

慌てる事で料理が荒れるより、回転率が悪い方がまだ気が楽にしてられるから。

お客さん、どうぞゆっくりしていってね、と言っている時は、本当にそう思っていたりするんよ。

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サンセールとは、フランス語で「誠実」。

マスターもそれを支える奥さまも含めて、正に誠実という言葉がぴったりのお店でした。

そして。

 

いつまでも、頑なにいつまでも変わらない味。

今でもゆったりと時間の流れる、この店で、10年も、20年も前に味わった、その同じ味をもう一度味わえば、きっとその時間も蘇る。

そんな気がする、不思議なお店でした。

 

メニューなど、最新情報は公式ページでチェックを。

 

サンセールまでの道のり

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神戸南京町の象徴ともいえる、南京町広場に面したビルの2階に隠れ家的名店があります。

 

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この店を目指して来ても迷う人がいるとの事ですので、しっかりとご案内しましょう。

 

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看板の2階のところにありました。「サンセール」の文字。

 

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ところがエレベーターで2階に上がると、途端に不安がつのります。

大丈夫です。あの角を曲がれば・・・。

 

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たどり着きます。

 

 

プロフィール

憶良(おくら) : 元ゲームプランナー、元ゲームプロデューサー。

ゲーム企画講師や駄菓子屋店長などを経て現在に至る。

休日は高速道路を使わずに名古屋から鳥取あたりの温泉に行って浸かり、道中や行先の地元スーパーで珍しい食材を買い込むと例え深夜に帰ったとしても料理する。

その際食べ歩きにも積極的と、食に対してはかなり貪欲。

「美味しいものを食べている時、美味しいものについて話している時に悪いことを考える人はいない。」という持論を持っている。

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