ゲーム音楽のコンポーザやシンガーなど100名以上が集まった「東京ゲーム音楽ショー2018」をレポート。来年はさらに拡大してステージを追加
今回の会場は例年以上の大きさということで,出展者も50組以上と最多。非出展の来場者を含めると100人を超えるゲーム音楽界のコンポーザや関係者が集まった。会場では各出展者によるCDやグッズの販売と,2つのステージによるライブおよびトークショーが行われた。
東京ゲーム音楽ショー2018(名前50音順・敬称略)
出展者
- 相原隆行
- rPSG(増子津可燦/沼田出穂/Yasko/並木 学/Mikittxx)
- 石田雅彦
- いとうかなこ
- 岩垂徳行
- WAVEMASTER
- EGG MUSIC RECORDS
- 海田明里
- 片霧烈火
- 川田宏行
- 菊田裕樹
- 清田愛未
- クラリスディスク
- 慶野由利子
- ケイブ
- ゲーマデリック
- COSIO
- 佐々木宏人
- 佐藤 豪
- 佐野電磁
- 塩田信之
- ZIZZ STUDIO
- 霜月はるか
- シュウ・ナカザワ
- SweepRecord
- ZUNTATA
- 高田雅史
- 谷岡久美 ※本人不在
- でか大
- TECHNOuchi (inisJ)
- 中潟憲雄
- 中島享生
- なかやまらいでん
- 並木 学
- なるけみちこ
- ノイジークローク
- 橋本彦士
- 葉山宏治
- hally / 田中宏和 / Diggin In The Carts
- 樋口秀樹
- 5pb.Records
- Blind Spot
- 古川もとあき
- BETTA FLASH
- 細井聡司(hosplug)
- 三宅 優 a.k.a. eutron
- momo
- 柳 英一朗
- 山佐
- Yamajet
- 山田一法
- Yu_Asahina
- ヨナオケイシ
- 来兎
- Ryu☆
- WASi303
- 渡部恭久
特別出展
- 荒木游莫(ゲーム書道)
- 小野 Mr.Dotman 浩
Aステージ
MC:ヤマグチクエスト(人力舎)
出演者:
いとうかなこ&ZIZZ STUDIO
片霧烈火
でか大
blind spot
ノイジークローク
BETTA FLASH
Bステージ
MC:
土屋昇平
hally
Hiro
※ほかゲスト多数
来場者
- アイリ(桜羽萌子)
- あきやまかおる
- 阿保 剛
- 上村建也
- Uyu(ACRYLICSTAB)
- えくす(EtlanZ)
- 尾上秀樹(HIDE-HIDE)
- おぎの 稔
- 小沢純子
- 柿埜嘉奈子
- 郡 正夫
- 児玉明日美
- 小寺可南子(コテカナ)
- G.I.HOLOGRAM(雪田将司)
- しらぴー
- 相合谷由馬
- 高見 龍
- 時田貴司
- 半井香織
- 新田竜一
- 深見誠一(プロフェット深見)
- 福井健一郎
- 牧野忠義
- 増野宏之
- 弓削雅稔
- 義達桜祐
「東京ゲーム音楽ショー2018」公式サイト
イベントの最後には,次回「東京ゲーム音楽ショー2019」の開催が告知された。来年度は2019年2月23日に開催され,今回と同じく大田区産業プラザPiOが会場となる。規模はさらに拡大され,今回の大展示ホールだけでなく小展示ホールも使用されるという。そして,ついにステージ数まで増加して3ステージ制でのイベント進行になるとのことだ。出展者は現時点で,特別出展を含めて45組が発表されている。出展者は開催ギリギリまで追加される可能性があるとのことなので,最新情報を知りたい人は公式Twitterをフォローしておくといいだろう。
東京ゲーム音楽ショー2019(名前50音順・敬称略)
出展者
- 青木秀由基(姉妹物語)
- アマギセーラ
- 石田雅彦
- いとうかなこ
- 岩垂徳行
- WAVE MASTER(セガサミーグループ)
- 片霧烈火
- 川田宏行
- 菊田裕樹
- 清田愛未
- クラリスディスク
- ゲーマデリック
- COSIO
- 佐々木宏人
- 佐藤 豪
- 佐野電磁
- 塩田信之
- ZIZZ STUDIO
- SweepRecord
- ZUNTATA/タイトー
- 高田雅史
- 谷岡久美
- でか大
- TECHNOuchi (inisJ)
- 中潟憲雄
- 中島享生
- 仲野順也
- なかやまらいでん
- なるけみちこ
- 橋本彦士
- 葉山宏治
- hally
- 樋口秀樹
- 古川もとあき
- BETTA FLASH
- 細井聡司(hosplug)
- 三宅 優 a.k.a. eutron
- 柳英一朗
- Yamajet
- Yu_Asahina
- ヨナオケイシ
- 来兎
- WASi303
特別出展
- 荒木游莫(ゲーム書道)
- 小野 Mr.Dotman 浩
「東京ゲーム音楽ショー2019」公式サイト
Aステージ
続いては多くの美少女ゲームの主題歌などを手掛けている片霧烈火さんが登場。同氏とのコラボレーションで本イベント用のミニアルバム「ちょコちょコっ、はにゅ~ん!」を手掛けた細井聡司氏と共に,ミニライブを披露した。
BLINDSPOTの並木晃一氏と松前公高氏はトークショーを実施。1987年にセガ・エンタープライゼス(現セガゲームスおよびセガ・インタラクティブ)が開催した“アフターバーナーパニック”への同社サウンドチームによるバンド出演から,1988年のS.S.T.BAND結成,後の解散,そしてBlind Spotとしての再始動から2月12日に発売されたばかりのCD「BLINDSPOT II」まで,長い歴史が紹介された。また,並木氏のプロデュースでメガドライブ用ソフト「時の継承者 ファンタシースターIII」と「ファンタシースター 千年紀の終りに」のアレンジCDをリリースすることが発表された。
さらには「Fate/Grand Order」(iOS/Android)などでおなじみのメジェド様も登場。大田区議会議員・おぎの稔氏に代わって「行政として,こういったイベントを共に盛り上げたい」と,来場者の心に直接語りかけた。単に,おぎの氏が被り物をして中からマイクを通して喋っただけなのでは……と思わなくもないが,「中の人などいない」とのことなので気のせいだろう。
ノイジークロークのステージでは同社代表の坂本英城氏と,加藤浩義氏,いとうけいすけ氏が登壇。「会社説明会」と題して,事業内容や制作実績,フットサルチームを紹介。「マリオテニス」を用いた打ち合わせやオカマバーでのエピソードなど,ノイジークロークの活動を語った。いろいろなライブ幕間のトークで突出したフリーダムさを見せるノイジークロークだが,トークだけの出演だと一層際立つ。
いとうかなこさんとZiZZ Studioは,アコースティックスタイルで「スカイクラッドの観測者」や「fake me」,「One's Rock」など5曲を披露。終盤ではいとうさんもギターを持ち,弾き語りスタイルで歌い上げた。
Aステージのラストを飾ったのはTAMAYO氏とCyuaさんのユニット・BETTA FLASH。ユニットの表題曲「BETTA FLASH」や「レイストーム」エンディング曲である「CERAMIC HEART」のオンボーカル版,「ナイトウィザード The VIDEOGAME」OP曲の「6th body」,会場販売の新譜「WATER LILY」表題曲などを披露した。
Bステージ
Bステージでは,「Hiro師匠と昇平兄さんのトークショー」と題してセガ・インタラクティブのHiro氏とタイトー(ZUNTATA)の土屋昇平氏が,ゲストを招いてのトークを繰り広げた。
最初に呼び込まれたゲストは,“オカジモネ”こと岡島俊治氏&アネモネ・モーニアンさん。復活したJAPAN Game Music Festivalやファルコムjdkバンドの話題など,VGMファンには色々と気になる話題が語られた。なお,オカジモネは同日夜に「オカジモネ~JGMFへの道~」というイベントを実施していたのだが,そちらは別途紹介したい。
続いては「ゼビウス」のサウンドなどを手掛けた,日本国内におけるゲーム業界初の音楽専門スタッフである慶野由利子氏が登場。ゲーム黎明期のタイトーとナムコにおけるBGM演出の違いなどについて,土屋氏と語り合った。
ファミリーコンピュータに移植した海外製PCゲームが好評で繁忙を極め,Ubisoftからの持ち込みすら断るほどだったという,かつてのケムコを語る増野宏之氏。同氏はケムコのファミリーコンピュータ用ソフト全作でサウンドを手掛けていたとのことだが,現在はCRI・ミドルウェアで楽曲解析ミドルウェア「BEATWIZ」を制作するなど,開発環境の面からゲームサウンドに携わっている。
コーエーテクモゲームスの「アトリエ」シリーズや美少女ゲームなどに楽曲を提供している霜月はるかさんは,自身が作曲活動を行うようになった経緯を紹介。知人の家で宅録環境に触れたことから同人音楽活動を始め,そのうちに自身も同人音楽活動を行っていたガスト(現コーエーテクモゲームス)の土屋 暁氏から「イリスのアトリエ エターナルマナ」への楽曲提供というアプローチを受けたことから,ファンタジー色を押し出した現在のスタイルへと移っていったという。
バンダイナムコスタジオの柿埜嘉奈子氏は,現在の業務としてはサウンドディレクションが中心となっているが,最近は「アイドルマスター」シリーズのボーカル曲も何度か手掛けている。同シリーズでは「アイドルマスター ワンフォーオール」の「静かな夜に願いを…」や「アイドルマスターSideM」の「DRIVE A LIVE」において作詞も行っており,作詞が苦手なHiro氏はそれを知って「俺は絶対に無理!」とひっくり返っていた。
また,柿埜氏からは先日リリースされた「鉄拳」(iOS / Android)の紹介が行われた。このアプリ版「鉄拳」は開発がヨーロッパで行われていたりと,メインシリーズとは趣が異なったタイトルであるため,サウンドもKAN TAKAHIKO氏やANAGRAM(Nhato氏,Taishi氏, Blacklolita氏),Carpainter氏など新進気鋭のダンスミュージック系コンポーザを呼び込んだ一味違ったものになっているという。
「モンスターハンター:ワールド」(PC/PS4/Xbox One)や「ファイナルファンタジーXV」(PC/PS4/Xbox One)の楽曲を手掛けた,スピンソルファ代表の牧野忠義氏は,シリーズとしては初めてワールドワイド展開となった「モンスターハンター:ワールド」の楽曲に関して,世界的なトレンドではなく,むしろ日本人らしいメロディラインや感性を重視して作曲したことなどを語る。
ちなみにモンスターハンターと言えば,Hiro氏は「モンスターハンター 10周年 コンピレーション・アルバム」(関連記事)で,ナルガクルガ戦のBGM「闇に走る赤い残光」(「Hiro ReMix WorKs」にも収録)をアレンジしている。しかし,当初「ナルガクルガは空を飛び回るモンスターなのだろう」というイメージを持っていたために,3人くらいから「それは違う」と総ツッコミを受けたとか。
Aステージでの記念写真撮影を挟んで再開されたBステージでは,今回のイベントで「電脳爆破 vol.02」を販売したゲーマデリック,なかやまらいでん氏,細井総司氏,Yu_Asahina氏が登壇し,それぞれのアレンジの方向性などを紹介した。「電脳爆破 vol.02」とは,各参加者が1つずつ自身の楽曲を持ち寄り,それぞれ他参加者の楽曲をアレンジした3曲と自身の1曲を収めたミニアルバムを作って,その売上を競うという企画盤の第2弾だ。例えばYu_Asahina氏のCDには,ゲーマデリックによる「カルノフが街にやってきた」のアレンジ版,なかやまらいでん氏による「フロンティア」のアレンジ版,谷岡久美氏による「マユモリのうた」のアレンジ版,自身による「Trickstarz」のオリジナル版といった4曲が収録されている。
ちなみに戦いの結果としては,ゲーマデリック,なかやまらいでん氏,Yu_Asahina氏が同点優勝。売上にはブース配置による人の流れなど不確定要素も関係していると思われるので,細井氏のリベンジに期待したい。なお,細井氏の公式サイト・hosplugでは,参加者各位の感想コメントが公開されている。
後半の“Hiro師匠&兄さん”トークショーは,土屋氏からHally氏へと兄さん枠がバトンタッチされ,「Hiro師匠とHally兄さんのトークショー」として進行された。最初のゲストは「ギャプラス」や「ドルアーガの塔」など黎明期のナムコサウンドを手がけた小沢純子氏で,「一打逆転」や「ファミリーボウル」といった着目される機会が少ないエレメカ用の音楽に関する話題でトークが弾んだ。ちなみに小沢氏は現在,音楽活動のほか大田区の非常勤職員として子供たちに田植えや物作りなどの実体験を教える仕事をしているそうだ。
ZUNTATAの下田 祐氏は,以前のインタビューでも片鱗を見せてくれたが,Hally氏とチップチューン方面でのマニアックなトークを展開。その中で,メガドライブの発売30周年を記念して,Hiro氏がメガドライブ音源による企画盤を制作するというアイディアが飛び出した。どれくらい実現の可能性があるのかは不明だが,実現するならば是非とも聞いてみたいアルバムだ。
TECHNOuchi氏は本イベントでリリースした「GALAXY VOYAGER ORIGINAL SOUNDTRACK」(関連記事)を紹介。会場販売分の初回限定ジャケット版は完売しているが,ディスクの在庫自体はあるので参加者が出展するイベントなどで販売される可能性があるとのこと。また,ヨナオケイシ氏主催による同CDをフィーチャーしたクラブイベント「ザ・シューティング」が,4月8日に東京・中野heavysick ZEROで4月8日に開催される。ここでは同CDのリミックスバージョンが販売される予定となっている。
中潟憲雄氏は,詳細は諸事情により伏せるものの,1980年代のアーケードゲームをフィーチャーしたイベントを開催したいと語った。1980年代と言えば,もちろんHiro氏が「ハングオン」や「アフターバーナー」などで頭角を表した時代でもあるので,同氏の動向も気になるところ。その返答は“否定的ではない”といったレベルだったが,どうなるだろうか?
「スターラスター」や「妖怪道中記」などの時代から長くナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)タイトルでサウンドを担当してきた川田宏行氏。ゲーム音楽の世界で長く活動しており,「エースドライバー」などでは“Hiro”という名義でクレジットされている川田氏だが,セガのHiro氏とは今日まで出会う機会がなかったとのこと。そんな訳で,“ゲーム音楽のHiro同士”による名刺交換が行われた。
そして閉幕にあたって,来年度の開催発表が行われた。記事冒頭で紹介した通り,次回はさらに規模を拡大しての開催となる。相対的にレポート記事では,会場内のほんの一部を記すだけに留まらざるを得ないと思われるので,興味がある人は直接足を運んで,自身の目と耳に焼き付けてほしい。
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