メトロポリタン歌劇場が名誉音楽監督レバイン氏を解雇、性的虐待疑惑で
米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場は12日、名誉音楽監督のジェイムズ・レバイン氏(74)を解雇した。レバイン氏をめぐっては昨年12月、若い男性に対する性的虐待疑惑が浮上し、職務停止処分を受けていた。メトロポリタン歌劇場は今回、内部調査で「信頼できる証拠」が出たとしている。
メトロポリタン歌劇場は声明で「調査の結果、レバイン氏が同歌劇場での在職中やその後、性的虐待や性的嫌がらせに関わっていたという信頼できる証拠が明らかになった」と発表した。こうした行為が「キャリアを始めたばかりの弱い立場のアーティスト」に対して行われていた証拠も見つかったという。
同歌劇場は、この件について70人以上を調査したと説明している。
レバイン氏は40年間にわたり、メトロポリタン歌劇場の音楽監督を務めていた。健康上の理由から昨年引退したが、名誉音楽監督として同歌劇場の活動に関わっていた。昨年12月に性的虐待疑惑が浮上した際、同歌劇場はレバイン氏との関係を停止すると発表したが、同氏は疑惑を否定していた。
これまでに4人の男性が、数十年前にレバイン氏から性的虐待を受けたと名乗り出ている。うち数名は、事件当時に10代だったという。
米紙ニューヨーク・タイムズが確認したイリノイ州の警察調書によると、被害を訴える男性の1人は1985年から1993年まで虐待が続いたと話している。1985年当時の男性は15歳で、レバイン氏は41歳だった。
レバイン氏はこれまで疑惑を「事実無根」と否定してきた。「私を本当に知る人々が証明しているように、私はこれまで加害者、圧制者となったことはない」と声明で述べている。
性暴力被害を告発する「MeToo(私も)運動」で名指しされたなかで、クラシック音楽界ではレバイン氏が最も名高い。世界有数のメトロポリタン歌劇場で2500回以上の公演を手がけ、米国でも特に名高い指揮者の1人。パーキンソン氏病などを患ったことから、現在は電動車椅子で指揮を執っている。
昨年12月には英国王立交響楽団も、筆頭指揮者で芸術監督のシャルル・デュトワ氏を同様の疑惑で解任している。ドュトワ氏は疑惑を否定している。
(英語記事 Metropolitan Opera fires James Levine after sex abuse claims)