両親の遺伝子は子どもに引き継がれていく。それは体の健康から精神に影響するものまでさまざまだ。
特に父親から子どもに受け継がれる遺伝子があるという。
歯の質や顎、瞳の色や身長といったものから、心臓疾患や精神疾患にいたるまで、父親の遺伝の可能性が高くなる7つの特性がまとめられていたので紹介しよう。
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1. 心疾患
息子は父親から冠動脈心疾患のリスクを50パーセント高める遺伝子を受け継ぐことがある。この遺伝子によって炎症を制御する機能が損なわれ、動脈内のプラーク発達を止められないことが原因だと考えられている。
この冠動脈の病気の特徴は、血管が狭まり心臓に送られる酸素が減ることだ。レスター大学の研究もまた、それが父から子へ遺伝することを裏付けている。
2. 遺伝性の精神疾患
両親ともに精神疾患を子に遺伝させるが、父親の年齢が高いほどに受け継がれやすい症状もある。特に多いのは、統合性失調症とADHDだ。
念のため言っておくと、母親もそうした症状や双極性障害を遺伝させる。ただ父親の年齢が高いほどリスクが高まりやすい理由がある。
それは父親が年齢を重ねても精子を作り続けることだ。一方、母親の場合、卵子は出生の際にすべてが作られる。このために父方のDNAに突然変異が生じる確率は母方の4倍にも達する。
3. 歯や歯並び、顎のサイズ
深刻さは若干低いが、父親が歯の問題を抱えている場合、子供にも同様の問題が生じるリスクが高まる。
歯のサイズ、顎のサイズ、歯の形状はみな遺伝性で、子はそれらを親のどちらかから受け継ぐ。それが父親から遺伝しやすい理由は遺伝的優位にある。
顎のサイズを決める遺伝子については、父親のものは母親のものより発現しやすく、結果として歯並びが悪かったり、柔らかいエナメルに起因して虫歯になりやすいといったことになる。
4. 精子の数
精子の数が少ない父親は子供を授かるために体外受精に頼るかもしれない。これに関する研究によれば、そうした父親の問題は子供にも遺伝するそうだ。
特に顕微鏡受精で生まれた男性の最年長グループから集めたデータは、男性の不妊症が受け継がれた特性であることを示している。そうした男性は、父親と同じく、精子の数が少ない傾向にあった。
5. 子どもの性別
子供が男の子か女の子かも父親によって決まっている。実際、父親の家系図を調べれば、どちらの子が生まれてくる可能性が高いかまで予想することができるという。
高校の生物の授業をおさらいしよう。赤ちゃんの性別は父親の精子によって決まる。精子がX染色体を持っていれば、母親のX染色体と組み合わさって女の子が生まれる。また精子がY染色体を持っていれば、男の子が生まれる。
これはご承知のことかもしれない。が、面白いことに、男性の家系図から生まれてくる子供が男の子か女の子かを推測できる。このことから、父親の精子にX染色体とY染色体を割り当てている未発見の遺伝子があるのではないかと仮説が提唱されている。
6. 瞳の色
父親が目の色を決めると言ってしまえば少々大げさかもしれない。実際は、両親どちらの遺伝子も影響している。しかし父親に特定の特徴がある場合は、子供の瞳の色を予測しやすくなる。
ある目の色は潜性遺伝子と顕性遺伝子によって決まる。ブルーやグリーンのような明るい色は潜性遺伝子、ブラウンは顕性遺伝子によって生じる。
つまり、両親が明るい目の色をしていれば、子供もまたそうである可能性が高いということだ。だが、親の片方がブラウンの瞳だった場合、子供の目はダークカラーである可能性が高い。
したがって間接的に、ダークカラーの父親は子供の目の色により大きな影響を与える。
7. 身長
いろいろな家族を観察すれば分かるだろう。子供の身長はお父さんとお母さんから受け継がれている。身長は主に遺伝子によって決定されるが、そのメカニズムはまだ研究が進められている最中だ。
最新の報告では、人の身長を決める役割を担った遺伝子配列が700も見つかったという。しかも、そうした配列の大多数は、身長に小さな影響しか与えないありふれた変異である。ただし、ずっと大きな影響を与えるより珍しい変異もあるそうだ。
自分の遺伝子に不安があったら?
アメリカの小児科正看護師のアマンダ・ゴーマンさんと夫のライアンさんの娘が、家族性高コレステロール血症であることを知ったのは、同僚の助言がきっかけだった。この病気は両親から遺伝される遺伝子疾患で、若いうちから心臓血管系の障害を引き起こすことで知られている。
アマンダさんによると、夫の家族は50代以前に死んだり、心臓の問題を抱えたりする人が多かったため、夫にも何らかのリスクがあるだろうとは思っていた。
事実ライアンさんは40代前半から高コレステロールの治療を受け始めた。彼女の同僚はこうしたことを知って、子どもの検査を勧めることにしたのだ。
その結果、3歳の娘にコレステロールの上昇が発見され、何かが起きていることが判明した。
深刻な状態ではあったが、幸いにも早期の発見だったので、きちんとした治療計画を立てれば、しっかり生きることができる。娘の食事を管理して、ある程度まで成長した段階で投薬を始めることになる。
家族に遺伝性の疾患を持つ親たちが子供の将来に不安を抱くのは当然だ。瞳の色や性別はいいにしても、家族性高コレステロール血症のような命に関わる病気が伝わっては大変だ。
まず、可能なら子供を作る前に家族の既往歴を確かめよう。体の健康と心の健康の両方の情報を集める。ここから何か危険なパターンが見えてくるかもしれない。その時は医者に相談してみるといい。
References:7 Surprising Traits Kids Inherit From Their Dads : Conscious Life News/ written by hiroching / edited by parumo
自分を振り返った場合、私が確実に父親から受け継いだものは身長と近視、ADHDだな。あと歌が下手とか、食べ物の好みなんかもそうだな。
娘の場合と息子の場合でも差があるように思うのだが、みんなはどうだろう?
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コメント
1. 匿名処理班
「青き清浄なる世界のために」
とかなっちゃうと嫌だなあ
2. 匿名処理班
>一方、母親の場合、卵子は出生の際にすべてが作られる。このために父方のDNAに突然変異が生じる確率は母方の4倍にも達する。
全ての卵子が出生時に既に作られているため、母親の年齢が上昇するごとに卵子も劣化し、突然変異が生じるともいわれているよね。それに対して父親の方は常に新鮮だって。
3. 匿名処理班
癌はどうなの……(深刻)
4. 匿名処理班
親父がチビでも諦めずに成長期にメシたくさん食ったほうがええで
そうすりゃ少なくとも親父よりは背高くなれる
5. 匿名処理班
「可能なら子供を作る前に家族の既往歴を確かめよう。」とあるが、不都合が判明したら子供作るなって結論になるのかな?
遺伝子の研究も行き過ぎると、劣悪遺伝子排除法につながりそうで怖いなぁ。
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