東京スカパラダイスオーケストラが、通算21枚目となるアルバム『GLORIOUS』を3月14日にリリースする。前作『Paradise Has NO BORDER』から1年ぶりとなる本作は、昨年のラテンアメリカ・ツアーを経て制作された、生命力みなぎる内容。ブラジルを代表するラッパーEmicidaや、プエルトリコ出身の女性シンガーiLeらが参加するなど、現在進行形のラテンパワーと東京発スカグルーヴのガチンコ対決が存分に堪能できる。また、UNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介や、BRAHMANのTOSHI-LOWをゲスト・ヴォーカルにフィーチャー、さらにFPM RemixやMONDO GROSSO Remixで参加するなどコラボ相手も相変わらず豪華絢爛(ごうかけんらん)だ。
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実は、この日のインタビューの前日にTOSHI-LOWとのコラボ曲「野望なき野郎どもへ feat. TOSHI-LOW(BRAHMAN / OAU)」のMV撮影をおこなったとのこと。まずはその撮影秘話を披露してもらいつつ、アルバムの全貌や、来たるべき全国ツアーへの意気込みまでたっぷり話してもらった。
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※3月14日18時~生配信! Yahoo! JAPAN トークバラエティー「おさわがせします」にスカパラ&TOSHI-LOWが出演>>
■ TOSHI-LOWのために書いたとしか思えない楽曲に仕上がった(沖)
──このインタビュー(3月初旬)の前日はなんと、TOSHI-LOWさんとのコラボ曲「野望なき野郎どもへ」のMV撮影だったと聞きました。
川上: そうなんです。都内某所の屋上に、でっかい土嚢(どのう)を80袋くらい運んで土をまいて。コンクリートの床を、まるで地上のようにしてそこで演奏シーンを撮りました。いつものように番場秀一監督にお願いしたんですが、正直彼の頭の中にある完成形がどうなっているのか、僕はまだ想像ついていないです(笑)。
沖: そうだね。でも、建物の屋上で撮っているから、見晴らしもいいし普通に地面で撮影したのとではかなり雰囲気が違っていて。映像の最後の最後に、あるものが画面に映り込んで初めて「あ、ここは東京だったのか!」って分かるという。それが何かは、MVを観てのお楽しみです(笑)。
──今回、TOSHI-LOWさんとのコラボはどのような経緯で実現したのですか?
川上: 前から僕ら仲が良くて、会うたびに「いつ、僕のためにスーツ作ってくれるんですか?」って言われていたんです(笑)。で、今回のコラボが決まったのは本当に偶然というか。TOSHI-LOWと谷中が別で対談をやっていて対談した場所に谷中が革ジャンを置きっぱなしにしてしまったんです。そうしたら、わざわざTOSHI-LOWがスカパラのスタジオに届けに来てくれたんです。
──へえ!
川上: ちょうどその時、アルバム用の楽曲を練習していたんですけど、TOSHI-LOWが革ジャンを置いて「じゃあね!」って帰って行った後に、「あれ? 今やってるこの曲、TOSHI-LOWが歌ったらバッチリじゃない?」って加藤(隆志)が言い出して。それですぐTOSHI-LOWに連絡したら、「やるやる!」って二つ返事で決まったという......。
──ちょっと、エピソードとしては出来過ぎじゃないですか?(笑)
沖: ねえ? そう思いますよね(笑)。でも本当にそういう流れで決まったんです。だから、最初からNARGOがTOSHI-LOWのために書いた曲というわけじゃなくて、本当に偶然の産物。なのに、TOSHI-LOWのために書いたとしか思えない楽曲に仕上がっていたんです。あるライターさんは「BRAHMANよりBRAHMANらしい曲」って言っていました(笑)。
──歌詞もTOSHI-LOWさんっぽいですよね。レコーディングはどうでしたか?
沖: とにかく、いい声なんです。で、彼ってすごくパンクなイメージだし、実際にパンクだし(笑)、コワモテなイメージもあるじゃないですか。でも、実は声を聴くとすごくキャッチーだなって今回改めて思いましたね。人を惹(ひ)きつける声の持ち主というか。
川上: すごくチャーミングな人なんですよ。この曲は最後、ラップみたいになるんですけど、それはTOSHI-LOWのアドリブで。「こういうの、欲しいんでしょ? 期待してるんでしょ?」なんておどけて言うんですよ(笑)。もう、人間としてもアーティストとしても魅力的だなと改めて思いました。
──さて、この曲も収録されたアルバム『GLORIOUS』が3月14日にリリースされます。中南米ツアーの総決算というか、南米のリズムをフィーチャーした曲が多く含まれていると思いましたが、コンセプトやテーマなどはありましたか?
川上: 「中南米」と聞いてみんながイメージするような、古典的なリズムだけではなくて、今の彼らのリズムを積極的に取り入れました。実際に現地の若者たちが奏でる音楽って、そういった自らのルーツが基盤にありつつも、パンクやレゲエやヒップホップなどをガンガン取り入れて、ものすごくミクスチャーなサウンドを奏でているんです。「ラテン・オルタナ」っていうのかな、例えばレジデンテなんかもそうだし、スカパラも向こうではそのジャンルに括られるんですよね。
■ 1曲の中でリズムパターンがどんどん変わって行くんですよ、めまぐるしいくらい(川上)
──プエルトリコ出身の女性シンガーiLeの楽曲を、本人と一緒に演奏した「Te Quiero con Bugalu ( テ・キエロ・コン・ブガルー) 」あたりは、まさに「ラテン・オルタナ」という感じですよね。(「Te Quiero con Bugalu」の最後の「u」はアキュート・アクセントつきが正式表記)
川上: そうですね。この曲はかなり時間をかけて作りました。というのも実は、オケを丸々録り直しているんです。最初に録ったテイクは、iLeの原曲にかなり寄せたアレンジだったんですけど、彼女から「もっと思いっきり崩して、スカパラらしさを全面に出して欲しい」って言われて。お互い納得がいくまで、何度もメールでやり取りしながら完成させました。
沖: それにしても、今って本当に便利ですよね。地球の裏側にいたってこうやってコラボが出来ちゃうんだから。
──あと、今回はFPMの田中知之さんと、MONDO GROSSOの大沢伸一さんのリミックス(それぞれ「Believer」、「白と黒のモントゥーノ」)が入っています。どちらも素晴らしい内容だったのですが、田中さんも大沢さんもスカパラと世代も近いし、デビューした年もさほど離れていない、三者とも20年という月日を「くぐり抜けてきた」という印象なのですが。
川上: ほんと、それは強く感じています。ジャンルこそ違うものの、それぞれの道で戦ってきたからこそ今がある、と。
沖: そうだね。これまで、一緒に仕事してきたことは何度もあるし、会わない間もどこかでその活動を意識していたところはあります。
──中南米ツアーを経てのレコーディングということで、メンバー同士で何か「変わったな」と思うところはありますか?
川上: 今までだったら「はい、ここでOK」と言ってたのが、そのさらに向こう側を目指すようになりましたね。特にそれを感じるのはリズムの部分。とにかくドラマティックになったというか、1曲の中でリズムパターンがどんどん変わって行くんですよ、めまぐるしいくらい。以前の僕らはどっちかというと、同じフレーズの繰り返しや、リズムパターンの反復による気持ち良さみたいなことを追求していた時期もあったんですけど、今、ライブでそのままのアレンジを演奏すると、変化を求めちゃう(笑)。「一本調子だな」って。「ああ、自分の中の感覚ってだいぶ変わったんだな」ってしみじみ思いますね。それは、中南米ツアーの影響だけじゃなくて、最近よくフェスなどで共演するバンド......マキシマムザホルモンとか、10-FEETあたりに触発されている部分も大きいですね。
沖: だから、次のライブでは前の曲のリズムもいろいろ変えていこうかなと思っているんですよ。今のモードのスカパラで挑みたい。
──そのツアーですが、すでに年末までのスケジュールが一気に発表されました。
川上: 普通、もうちょっと小出しにするものですけど、「予定が立てやすくて助かる」と評判をいただいております(笑)。前半はライブハウスを回るツアーなので、踊れる曲中心というか。このアルバムからの楽曲をがっつり演奏したいですね。
沖: 僕らの汗が、お客さんに飛びちるくらいの距離でね(笑)。
川上: 後半のホールツアーは、意外な場所を結構入れたし、僕らも初めて行くところが多いので楽しみです。初めて見に来る人も多いと思うから、ちょっと「入門編」的なセットリストにするかも......まだ先なので、これからどうなるか分からないですけどね。
沖: で、クリスマスイブに行われる大阪城ホールのファイナル公演は、「あの人もこの人も大集結」な内容になると思うので、今から楽しみにしていてください!
・・
このアルバム発売を記念して、3月14日18時よりYahoo! JAPAN トークバラエティー 「おさわがせします」に出演。番組では、なんとTOSHI-LOW(BRAHMAN / OAU)がMCに挑戦し、ゲストに東京スカパラダイスオーケストラを迎える。アルバムの内容を楽しめることはもちろん、トークの掛け合いに注目。生配信ならではの盛り上がりにも期待だ。
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※3月14日18時~生配信! Yahoo! JAPAN トークバラエティー「おさわがせします」にスカパラ&TOSHI-LOWが出演>>
◆東京スカパラダイスオーケストラ
ジャマイカ生まれのスカという音楽を、自ら演奏する楽曲は"トーキョースカ"と称して独自のジャンルを築き上げ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南米と世界を股にかけ活躍する大所帯スカバンド。
アメリカ最大のフェスティバル"Coachella Music Festival"では日本人バンド初となるメインステージの出演を果たし、またSKAのオリジネイター"SKATALITES"から全米ツアーへの同行を誘われ、さらにマトゥンビのリーダー、DUBエンジニアの巨人"DENNIS BOVELL"に「スカパラのためならいつでもスケジュールを空ける」とまで言わしめた東京スカパラダイスオーケストラは、オーセンティックなSKAからジャズ、ロックまでをも提示できるミュージカル・パフォーマンスで世界中のSKAバンドの中でも特筆すべき存在であり、海外のアーティスト・音楽関係者も来日の際にはスカパラの音源を手に入れるためレコード店に足を運ぶなど、世界中のSKA愛好家たちにとってその名は憧れの対象であり続けている。1989年インディーズデビュー。幾度となるメンバーチェンジを乗り越え、現在のメンバーは合計9人。今なお常に最前線で走り続けている。座右の銘は、川上「郷に入れば郷に従え」、沖「おいしく食べてよく眠る」
※ 「Te Quiero con Bugalu」の最後の「u」はアキュート・アクセントつきが正式表記。
【リリース情報】
ニューアルバム「GLORIOUS」2018年3月14日(水)発売。
[CD+2DVD]
価格:¥5,200 (本体価格)+税
[CD+Blu-ray]
価格:¥5,600 (本体価格)+税
[CD only]
価格:¥3,000 (本体価格)+税
<収録内容>
-CD-
01. Glorious
02. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)
03. The Battle of Tokyo
04. Te Quiero con Bugalu ( テ・キエロ・コン・ブガルー) feat.iLe
05. 恋して cha cha cha
06. Believer feat. Emicida and Fioti FPM Remix
07. 野望なき野郎どもへ feat. TOSHI-LOW (BRAHMAN / OAU)
08. True Heart
09. 白と黒のモントゥーノ feat. 斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)MONDO GROSSO Remix
10. The Ring
-2DVD & Blu-ray-
・From 2017 Hall Tour"TOKYO SKA Has No Border" at 中野サンプラザ/東京エレクトロンホール宮城
・LATIN AMERICA TOUR 2017 "NO BORDERS" ライブドキュメンタリー(完全版)
(取材・文・撮影/黒田隆憲)
トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。
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【関連リンク】
・3月14日18時~生配信! Yahoo! JAPAN トークバラエティー「おさわがせします」にスカパラ&TOSHI-LOWが出演>>
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