「債券自警団」がひそかに活動再開か-インフレ再燃の兆候かぎつける
Liz Capo McCormick-
「幾つかの不安が頭をもたげ始めている」-元祖自警団のコーツ氏
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1970-80年代には放漫財政の是正なければ利回り上昇リスク突き付け
E・クレイグ・コーツ氏は「債券自警団」の一員に戻るつもりはない。
元ソロモン・ブラザーズの米国債デスク責任者として、1970-80年代に世界最大の債券トレーダーを率いた同氏にとって思いも寄らなかったこととは、米政府の積極財政と闘うことだった。同氏には「生き残る」という極めてシンプルな課題があった。
インフレ高進により米国債利回りがわずか数日で何百ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)も急上昇し得る局面で、債券市場の流れを読み誤って動きが取れなくなれば職を失いかねない。だからこそコーツ氏にとって消費者物価が上昇へ向かう兆しは何でも、もろ手を挙げての売りシグナルだった。米国の放漫財政に期せずして厳しい態度で臨み、インフレ加速につながる政策を自制しなければ資金調達コストの上昇スパイラルを招くリスクを当局者に突き付けたのも、極めて自然な成り行きだった。
コーツ氏にようなトレーダーが米政府や金融市場に対して自らの意志を最後に示してから一世代がたつ。市場のプレッシャーから政治家を遮断してきた数年に及ぶ異例の金融緩和策の解除へ世界各国・地域の中央銀行が向かう中、財政支出の急増を厳しく懲らしめてかつて恐れられた人々が、拡張的な財政政策やインフレ再燃の兆候をかぎつけ、ひそかに活動を再開しているように元祖自警団のコーツ氏には見える。
現在リタイア生活を送るコーツ氏はフロリダから、「過去のインフレ局面での経験からくる幾つかの不安が実際に頭をもたげ始めている」とコメント。その当時「人々は米国債の観点から赤字とコストに対してもっと注意を払っていた。今はそれ程でもないが、そのような日が戻りつつあると私は思う」と語った。
Ballooning Burden
U.S. borrowing is forecast to keep on rising
Source: Congressional Budget Office
原題:Bond Market’s Most-Feared Traders Threaten Treasuries Once Again(抜粋)