
国立アイヌ民族博物館の地鎮祭「チセコテノミ」(白老・アイヌ民族博物館、文化庁主催、白老アイヌ協会共催)が20日、建設予定地の白老・ポロト湖畔で行われた。2017年度(平成29年度)中に着工、20年4月の一般公開を目指す。
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◆── 17年度内着工

この日の儀式実施に向けて昨年7月から白老・アイヌ民族博物館の若手職員、研修生を中心に研修を重ねてきた。チセコテノミの様子は映像資料として国立アイヌ民族博物館で活用される。
儀式前、野本勝信・白老・アイヌ民族博物館代表理事が「アイヌの伝統的作法にのっとりチセコテノミを執り行います。チセコテノミとは土地を清め、神々に使用の許可を頂くための地鎮祭です」とあいさつした。
いろりの上に木製の三脚が立てられ、ござの上に同博物館若手職員、研修生、道内アイヌ協会関係者ら約20人が座り、同博物館の新井田幹夫さんが祭主を務めた。「オンカミ」(拝礼)、「ホシキトゥキ」(開式の祈り)、「シラリエカムイノミ」(酒粕(かす)による祈り)、神々への祈り、「オシトゥキ」(閉式の祈り)が厳粛に行われた。開式前には「フッサカラ」(敷地の清め)、「エパカリ」(測量)、6本のイナウ(木幣)を立てる「イナウエプニ」などが行われた。
チセコテノミを見守った戸田安彦町長は「厳粛に行われ、意義深い儀式だった。アイヌ文化を白老から日本、世界中に発信したい」と話した。
建築、設備、展示、電気の全ての工事が17年度中に発注、着工される。工期は本体工事が19年11月まで、展示工事が20年2月まで。本体工事は竹中工務店・田中組JVが40億8千万円で受注した。
同湖畔南側に建てられる東方以北初の国立博物館となるアイヌ民族博物館は地上3階、延べ床面積約8600平方メートル。間口は約130メートル、高さ約20メートル、奥行き約40メートル。1階はエントランスホール、映像や音声でアイヌ文化の概要などを紹介するシアター、カフェ、ミュージアムショップ、研究交流室、ライブラリーなど。2階は基本展示室、特別展示室、テーマ展示室、収蔵庫、ポロト湖を眺望できるロビーなどを配置する。
(富士雄志)
【写真=国立アイヌ民族博物館建設予定地で厳粛に行われた「チセコテノミ」(上)、白老・ポロト湖畔に建つ国立アイヌ民族博物館完成予想図(下)】
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