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ダーク植物(ver.2011.3) デッキ解説



□メインデッキ
・モンスター(20枚)
ダーク・アームド・ドラゴン
トラゴエディア
冥府の使者ゴーズ
終末の騎士
キラー・トマト×3枚
クリッター
カードガンナー×2枚
BF-精鋭のゼピュロス
魂を削る死霊
ゾンビキャリア
デブリ・ドラゴン×2枚
ローンファイア・ブロッサム×2枚
ダンディライオン
グローアップ・バルブ
スポーア

・魔法(9枚)
死者蘇生
闇の誘惑
貪欲な壺×2枚
精神操作
サイクロン×2枚
おろかな埋葬
月の書

・罠(11枚)
リビングデッドの呼び声
リミット・リバース×2枚
神の警告×2枚
神の宣告
奈落の落とし穴×2枚
激流葬
ダスト・シュート
王宮の弾圧

□エクストラデッキ
虚空海竜リヴァイエール
インヴェルズ・ローチ
No.39 希望皇ホープ
イビリチュア・メロウガイスト
フォーミュラ・シンクロン×2枚
アームズ・エイド
TG ハイパー・ライブラリアン
A・O・J カタストル
氷結界の龍 ブリューナク
ブラック・ローズ・ドラゴン×2枚
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン
氷結界の龍 トリシューラ

□サイドデッキ
ライトロード・ハンター ライコウ×3枚
魔導戦士 ブレイカー×3枚
D.D.クロウ
パペット・プラント
ブラック・ホール
砂塵の大竜巻×3枚
昇天の黒角笛×2枚
連鎖除外


 1.基本的な考え方
 (1)なぜダークと植物なのか
 下級リクルーターを主軸としたリクルータースタンは,アースやガジェットといった小さい下級を安定して戦闘破壊することができ,ハイビートに対しても損をせずに場に出していけることから,現在のゲートボール環境では良い立ち位置にあります。しかし,所詮大したシナジーも持たないスタンダードはデッキパワーが低く,いかに2011.3環境といえど力不足の感は否めません。

 一方で植物系のデッキは,デッキパワー自体には非の打ちどころがありません。圧倒的なドローエンジン,ブラックローズ・トリシューラといったフィニッシャーへのアクセス,罠耐性,安定性,そのどれもが一級品のデッキです。しかし,大振りで防御の少ないこのデッキは高速デッキやワンショットデッキに対して脆く,また序盤は裏守備から入らなければならないカードも多いためアースやガジェットを安定して殴れないという環境的な弱点があります。

 そこで今回は,「パワーの高いリクルータースタン」あるいは「細かく殴れる構成の小さくまとまった植物」として,この二つを結び付けることを目指しました。この2種類のデッキは基本的に全く異なるコンセプトであるため,ただ半分ずつ合わせても不協和音を奏でるだけなのですが,ここで存在感を発揮するのが本リストの主人公であるキラー・トマトなのです。
tomato.jpg

 キラー・トマトはプールに存在するリクルーターのなかで最も恵まれた闇属性で,なによりもクリッターにアクセスできるという主張点があります。また,終末経由でゼピュロスやゾンビキャリアを利用することもできますし,場合によっては死霊でのハンデスを狙っていくことも可能です。

 一方キラー・トマトは,植物族としての一面も持っています。そのためローンファイア・ブロッサムでリクルートすることができたり,スポーアの除外コストになったりといった活躍が見込め,クリッターの利用価値も含めてデブリジャンドなどにも1~2枚採用されることがあります。

 今回はこのキラー・トマトを大胆に3枚投入し,これを結節点としてダーク要素と植物ギミックを連結して,防御罠採用の余地を残すため小振りにまとめてみました。

 (2)ゲームプラン
 自分自身そこまで明確にプランを固めているわけではなく,その時々でかなり変化して打っているので,あまり言語化して記述し得ることは多くないのですが,一応漠然とした指針だけ共有したいと思います。TG代行の解説記事と比較してクオリティは明らかに低いですが,オリジナルデッキは先行研究がないため,理解の深さにおいて環境トップのそれに劣後する点はある程度ご容赦ください。

 (a)序盤
 いわゆるロービートを原則とします。キラー・トマト,カードガンナーあたりでクロックを刻むことを基調とします。手札の状況によってはローンファイアもキラー・トマトに変換していきます。こうしたクリーチャー群はうまく運用すれば実質的にほとんど罠を受け付けないで戦えます。
 クリッターをリクルートしたり,墓地を肥やしたりといった形で,大きな展開の下地を作りつつ,ライフを詰めていくことを目指します。ある程度のプレッシャーをかけて相手に動き出させることができれば,デブリを絡めたカウンターを狙っていけるようになります(このあたりは2012.9のカオスに通ずる感覚です)。

 (b)中盤
 リクルーター絡みで準備が整い,相手の対応などを見ながら罠やハンド状況を読んで,「プレッシャーを追加すべき」と判断したら,植物ギミックを利用して大きめのアクションを繰り出していきます。ハンドの状況によってはいきなり植物ギミックによって動き出すことももちろん可能であり,その場合には逆にキラー・トマトやカードガンナーを追加のクロックとして展開していくこともあるため,序盤・中盤という区分は便宜的なものであり,実際にはこのあたりはかなりファジーなデッキです。

 蘇生札とローンファイアがある場合には定型的なシンクロ展開を行えます。3枚の蘇生罠はゼピュロスとも大きなシナジーを形成しますから,この点にもダークと合わせる旨味があります。激流葬などを踏んでしまっては惜しいのでタイミングはそれなりに見極めなければいけませんが,基本的にはこの動きも罠によって止まることはあれ損をすることはありません。
 参考までに植物の定型展開を例示すれば,
 (a)ロンファ+蘇生札
  (1)ロンファでダンディSS→蘇生でロンファSS→ロンファ効果でダンディをリリースしてバルブSS,綿毛2体SS→バルブと綿毛でフォーミュラ→フォーミュラとロンファでライブラ→バルブ効果でSS→バルブと綿毛でフォーミュラ(3ドロー,盤面フォーミュラ+ライブラ)
  (2)ロンファでダンディSS→蘇生でロンファSS→ロンファ効果でダンディをリリースしてロンファSS,綿毛2体SS→ロンファで綿毛をリリースしてスポーアSS→スポーアと綿毛でフォーミュラ→ロンファ2体でリヴァイエール→ダンディ除外してスポーア蘇生→リヴァイエールでダンディSS→フォーミュラとダンディでライブラ,綿毛2体SS→スポーアと綿毛でカタストル(2ドロー,盤面リヴァイエール+ライブラ+カタストル+綿毛)
 (b)ロンファ(バルブ)+おろかな埋葬
 バルブSS(NS)→おろかな埋葬でダンディを墓地へ,綿毛2体SS→バルブと綿毛でフォーミュラ→バルブ効果で蘇生→バルブと綿毛でフォーミュラ(2ドロー,盤面フォーミュラ+フォーミュラ。蘇生札を引ければ相手ターントリシューラ)
などのよく知られたパターンがあります。

 そこまでハンドが温まっていなくても,クリッターとチューナーで小出しのシンクロを狙っていったり,かぶったデブリでダンディやカーガンを蘇生した上で植物チューナーを合わせていったり,ロービート以上のプレッシャーを追加する手段は多くあります。

 その点で終末絡みのギミックは優秀であり,ゼピュロスを利用してアドバンテージを稼ぎつつ4エクシーズや5シンクロなどで探りをいれるなど,シンプルに「中くらいの脅威」を展開していくことができます。

 罠を踏んでしまう可能性があるのでいつでも狙うべきであるとは限りませんが,クリッター終末でのトリシューラという動きも,二の矢を用意しつつ十分なプッシュができます(というかばっちり通ってしまうとこれで決まってしまいます)。

 (c)終盤
 植物ギミックで大幅にアドバンテージを獲得することに成功すれば実質的にこの終盤というのは漫然と流していれば勝てますが,大局観のある対戦相手であればそうなる前に仕掛けてきます。

 相手のデッキによって大きく状況が異なるので抽象的な議論になりますが,大まかな方向としてはここでの相手の展開に対してデブリを使ってカウンターしていくことでアドバンテージの獲得を目指していくのがゲームプランの最終段階となります。したがって,キラー・トマト,クリッター経由でデブリによる返しを早い段階から準備しておくことが必要です。デブリ自体をサーチすることもあれば,カードガンナーをサーチすることもありますし,ローンファイアからダンディへつなぐこともあります(この動きはシンクロ展開を「一の矢」,デブリを「二の矢」とするパターンです)。

 ガバ伏せして突っ張ってくる罠デッキに対しては,常にデブリを狙うべき状態にあり,その意味ではデブリ→ブラックローズの準備ができた時点で終盤と分類すべきでしょう。

 大き目のカウンターに成功しアドバンテージ差をつけたあとは,中盤で植物展開が通った時と同様,漫然と打っていれば勝ち星が得られるという目論見です。その点で,大振りな展開によってこちら以上にアドバンテージを得つつ二の矢を準備してくるジャンド・カラクリといったデッキに対しては,プラン的な不利が発生します。
 
 最終盤においては,ゾンビキャリアを利用して返し・詰めを狙うことも重要になってきます。中盤にゼピュロス絡みで動いて終末が手札に残っている場合に,終末キャリアからブリューナク,スクラップ,トリシューラあたりで詰めていく展開は多々発生するもので,基本的なゲームプランの一つといって差し支えありません。終末キャリアほどの爆発力はありませんが,スポーアも同様の役割を持てます。


 2.個々のカードの採択

・メインデッキ
(採用したカード群)
●魂を削る死霊
 キラー・トマトからリクルートでき,積極的にハンデスを狙えるほか,罠デッキに対して場を固める役割を持っています。デブリの蘇生対象になる点も評価ポイント。

●BF-精鋭のゼピュロス
 終末の選択肢として非常に優秀で,蘇生罠や弾圧と強烈なシナジーを生み出します。このカードがあることで序盤から弾圧を表にすることができます。トマト→終末というアクセスはもちろん,デブリを抱えている際のリミリバクリッターからの終末サーチを活かすための1枚としても優秀です。ガジェットに対しては素の1600のボディも有用です。

●ゾンビキャリア
 終末の選択肢としてゲームプランに組み込まれています。リソースを投入することでブリューナクから最後のライフを詰めに行ける点は非常に魅力的で,従来のジャンドでは使い勝手の悪さが目立ち不採用のことが多かったですが,トマト3終末1によって無理のない採用が可能となりました。中盤でのクリッター+終末+キャリアのトリシューラも再現性の高い仕掛けです。

●スポーア
 1チューナーはバルブだけでも絶対的に困るということはありませんが,トラゴエディアや精神操作絡みではスポーアの方が強力な盤面を作れることも少なくなく,リヴァイエール展開も含めて1枚あると幅の広がるカードです。
 墓地にあると終盤の詰めでスクラップなどを送り出していくことが容易になります。

●サイクロン
 デッキの動きとしてはあまりかみ合ってはいませんが,代償と弾圧という明確に割るべきカードがあるため不採用という選択は取れません。リクルータースタンとして動く序中盤には,伏せの枚数を抑えめにしておいてこのカードを伏せに混ぜておくと,相手のバック破壊をかなり牽制することができます。奈落を読み易いデッキなので,ブレイカー召喚前に奈落をピンポイントで射貫くなど,能動的に発動していく使い方もまずまず有効です(とくにガジェットはジャンド系のデッキに対してサイド後も奈落を残すことが多い)。

●おろかな埋葬
 ローンファイア,バルブスポーア,デブリの計6枚が受けで,フォーミュラ・トリシューラともに環境的に非常に強いシンクロなので,ダーク部分との動きは必ずしも良くないものの,リターンは十分高いと判断しました。守備1500はガジェットで突破できず,次のターンに召喚権を行使してシンクロするところまでを見ることができます。むろんフォーミュラ×2を場に出す動きは蘇生札と合わせてトリシューラの構えに行くこともでき,イージーウィンを演出することもあります。
 終盤はスポーアを落として,ゾンビキャリアのように詰め札として運用することもできます。

●リミット・リバース
 一見するとダーク部分で蘇生できるカードが少ないため浮いてしまいそうに見えますが,ゲームプラン的に,このカードは中盤でアクティブになれば十分間に合っていると評価できるため,キラー・トマトを対応牌として数えることができます。
 ロンファ絡みの爆発的展開は事実上ゲームを決定づけてしまいますし,ゼピュロスでの再利用もアドバンテージ+2カウントとなり非常に強力(いわゆるゼピュロスマジック)なのですが,余り序盤にひきこみすぎるとTG代行などに対してトマトを支えられないというリスクもあるため,この枚数が限度という評価です。

●神の警告
 リクルーターで場をもたせられるため,通常のデブリジャンドやTG代行天使と比較すればまだライフ支出の厳しさには目を瞑れるという判断です。それでも2000が痛手になる局面もないわけではないので,鳳翼の爆風と差し替えるのも選択肢としてはあり得ます。ただし,このデッキは通常の植物ほどハンドコストが豊富ではありません(とくに,終盤不要牌になるライコウを還元するという役割が持てていない点は大きいです)。

●王宮の弾圧
 TG代行天使の弾圧に近いですが,このデッキはキラー・トマト,終末,ゼピュロスのパッケージが弾圧下でも機能し,能動的に弾圧を解除することができます。ガジェットなどロービート系のデッキに対しては,リクルータースタンの弾圧のように張りっぱなしで戦うこともできます。
 植物展開の蓋としても強いのはもちろん,スポーアなどを絡めての強引なスタダ弾圧も積極的に狙っていけるデッキなので,最初はサイドに入れていましたがメインに昇格させました。

(不採用のカード群)
●BF-疾風のゲイル
 ゼピュロスと合わせてブラックローズに行くことができ,キラー・トマトからリクルートできるレベル3チューナーということで試してみましたが,結論から言うといまいちでした。
 このデッキのゲイルは単体では機能しづらく,クリッターなどとシンクロするという役割も植物側で担えるため,強く使うにはゼピュロスルートに強引に持ち込まざるを得ないのですが,この点が思った以上に厄介な問題でした。せっかくトマトが植物とダークの橋渡しになっているにも関わらず,ゲイルを引いてしまうと植物部分への渡りがつかなくなってしまうので,ツーウェイを強みとする主張点が失われてしまうのです。その割にゲイルを用いること自体に唯一無二のリターンがあるわけでもなく,デブリがあればリセットカードは十分という認識に至りました。

●ワン・フォー・ワン,スケープゴート
 前者は浮く場面が多すぎてゲームプランと合いません。
 後者も植物チューナー4枚へのアクセスができないといけないので事故率が高いのですが,バルブと合わせて2ドローできるのは魅力的です。採用するのも選択肢の一つでしょう。ただ,この展開はおろかな埋葬経由と違って墓地にダンディを送れていないので,蘇生札と合わせてもトリシューラの構えを作ることができるとは限りません。

●強欲で謙虚な壺
 初手にあれば強いカードなのですが,3ターン目以降はほぼ発動できるターンがなく,謙虚贔屓の私もさすがに使い勝手の悪さに辟易しました。序盤もローンファイアからトマトにアクセスするパターンではタイムラグが発生します。序盤の「前後問題」は気になりますが,スタート札も多いですし,ジャンクやソーサラーのような事故要素も極力排除していますから,謙虚がなくてもまずまず安定するだろうという判断です。

●異次元からの帰還
 誘惑やスポーアがあることも踏まえて,ゾンビキャリア単体蘇生でもまずまず強かろうと思って試してみたのですが,プラン上キャリアを使うのは中終盤に限定されるので,そこからさらに帰還を打とうとするとかなりチグハグな動きになることが多く,事故要素になるため外しました。ただ,奈落はもちろん,サイド後は連鎖除外やD.D.クロウを投入されることも予想できるので,サイドカードとしては一考の余地があるかもしれません(たしか2010.3環境のインフェルニティはサイド帰還プランの人もいたように記憶しています)。しかし,デッキの動きとしてはD.D.クロウなどは大して刺さらないため,殊更意識することもないでしょうか(自分がこのデッキと当たってもD.D.クロウはサイドインしないでしょう)

・エクストラデッキ
 あまりこだわりはありません。ソーサラーが入っていないためアーカナイトはほぼ出ません。クェーサーは基本的にオーバーキルであると思っていますが,ライブラリアン2枚目はあるとだいぶ違うかもしれません。リクルータースタンの部分で最低限の4エクシーズは必要です。闇属性のシンクロはダムドの関係でなるべく採用したいです。ブラックローズ2枚目の枠はもともとディサイシブ・アームズを採用していたのですが,デブリから出せるシンクロが少ないために支障をきたす場面が少なくなく,また罠デッキに対してはブラックローズが明確なゴールとなるので,2枚目を確保すべきという結論になりました。いまのところ16枚目はC・ドラゴンです。

・サイドデッキ
(採用したカード群)
●ライトロード・ハンター ライコウ
 ガジェットとTG代行天使に弱いというのは再三強調しましたが,通常の罠デッキに対しては堅実な強さを誇ります。罠デッキに対してはなるべく通常のデブリに近づけるのが分かり易いでしょう。

●魔導戦士 ブレイカー
 環境的にとても強力な1枚であり,リクルータースタンの動きとも合っています。メイン段階では奈落が直撃するカードが無いためマトを作りたくないということもあり,サイド後の方が活躍できるという判断です。

●D.D.クロウ,パペット・プラント
 それぞれ使い方に説明は要らないでしょう。クリッターからのサーチを前提として各1枚に抑えてありますが,前者は枠の都合がつけばもう少し取りたいところでもあります。

●ブラック・ホール
 環境に有効でないデッキが多く,リセット能力の高いこのデッキではメイン段階に無理に積む必要はないと考えます。むろんサイドカードとしては優秀で,主にガジェ以外の罠デッキやカラクリ,ジャンドなどに対して投入します。

●砂塵の大竜巻
 血の代償を許さない市民の会会長に就任しました。どんなに罠を苦としないデッキでも55枚の中にサイク砂塵あわせて5枚を必ず採用するように。

●昇天の黒角笛,連鎖除外
 対天使の追加防御札です。カラクリ,ジャンドなどにも対応。

(不採用のカード群)
●聖なるバリア ミラーフォース
 リミット・リバースやリビングデッドの呼び声は,墓地にカードガンナーやクリッター,ダンディなどが落ちてから伏せると破壊に耐性ができますが,そのタイミングでのセットは読まれやすく相手のツッパを許してしまう面もあります。その点を逆利用して,ミラーフォースを「蘇生罠セット」のタイミングまで待ってから置くことで,ミラーフォースを蘇生罠に擬態させることができます。他の罠でも同様ですが,特に攻撃反応罠は擬態性能が高く,しかも蘇生罠による返しというプレッシャーを匂わせての全体除去なのでハマった時の威力も破格です。
 ただ,このような駆け引きは相手の力量がある程度高いことを想定しているため,カジュアル層の多いフィールドではあまり発生しないだろうと考え,今回は枠を譲りました。今後苦手とするカラクリなどが増えるようであれば採用したい1枚です。

 3.主要アーキタイプへの戦い方
 (1)対ガジェット
 有利なマッチアップです。
 TG代償ガジェットは,のちのクロス型と比べて4エクシーズを瞬発的に生成することができません。キラー・トマトはガジェットすべてを戦闘破壊できるため,メロウガイストによって処理されることは原則としてありません(死者蘇生が絡む場合と,レッド裏守備スタートの場合は,例外的にメロウガイストを繰り出される恐れがあります)。頼みの6シンクロもキラー・トマトを有効に処理することはできないので,とにかくキラー・トマトが生きるマッチアップです。
 植物エンジンによるシンクロ展開もフェアデッキであるガジェットの苦手とするところで,激流葬さえケアできればフォーミュラ系の展開も積極的に狙っていきたいところでしょう。
 構造的には非常に有利ですが,それでも1本目は代償によって相性差を覆されるケースが少なくありません。2本目以降はブレイカーや砂塵を投入できるため非常に有利になりますが,これらのカードは自分の罠の伏せ方などに配慮を要する点のみ注意が必要です。例えば,先手番で砂塵を伏せることは少ないです。

 (2)対TG代行天使
 通常のジャンドと比べてかなり改善されてはいますが,依然としてやや不利なマッチアップであると考えています(自分が天使びいきなのもあるかもしれませんが)。
アースを細かく潰し,基本的にはTG+代行者の展開を正面から罠で受けるゲームプランです。トマトを維持できれば球体展開は怖くないので,ストライカーが絡まない場合はヴィーナスに奈落を打たないことも多いです。
 相手がTGで粘り始めたら,トマトやカードガンナーによるビートを続けていては間に合わない公算が高いので,ある程度割り切って植物エンジンに手を出すことも許容されます。TGを戦闘破壊してからのトリシューラはゲームを決定づけることができますから,キャリア絡みの詰めも早めから狙って行ってよいと思います。「返し」をイメージしたデブリ・キャリアのギミックはワンショットに対して無力なので,少しプランを歪めて能動的に繰り出していくことが肯定されます。

 (3)対ヒーロー
 適当にやっていても勝てるでしょう。
 一応,カードガンナーを先出ししない,罠をなるべく伏せない,ヒーローブラストをケアする(デブリによる返しに依存しすぎない)などのコツはありますが,これらを遵守しなくても大体勝つと思います。

 (4)対六武衆
 やや有利なマッチアップであると考えていますが,サンプル数が少なく判断に自信はありません。
 キザンが1800ならカードガンナーも十分機能しますし,キラー・トマト裏守備から入るカウンターはテンポ負けしにくく,死霊リクルートの含みも見せています。トラゴ・ゴーズ・デブリなどはどれも一枚でゲームを決定づけ得る性能です。
 ただし,蘇生罠や貪欲な壺など悠長なカードが多いのも事実なので,引き合わせによっては一瞬で轢き殺されてしまう場合もあります。サイド後はこのあたりを罠やライコウに差し替えることができるので憂いがなくなります。

 (5)対ジャンクドッペル
 不利なマッチアップです。
 TG代行天使という抑止力がある環境において,ダーク植物は「相手より”少しだけ”大振りである」ことを目指したデッキでありますが,ワンショット負けを割り切ったジャンクドッペルは,ダーク植物と対峙した際にはその大振り具合を効果的に発揮することができます。
 ロンファ蘇生などのイージーウィンを除くと,ゼピュロス絡みのメロウガイストでポイントをあげるか,弾圧をクリーンヒットさせるか,どこかで一本相手を出し抜かないといけないので,技量のある相手にはかなり勝ちにくいでしょう。

 4.おわりに
 勝敗のみに着眼する限りにおいて独創性それ自体は評価されるべきではないですが,やはり自家製の70枚には愛着も湧くというもので,オリジナルデッキの解説にはどうしても恣意性が介在してしまいます。なるべく中立の立場から虚心坦懐に記述することを心掛けたつもりではありますが,無意識のうちに若干の贔屓が入っていることは否定できないかもしれません。また,分からん殺しの強みは大会結果とこの記事の公開とともに失われてしまいますので,今後も同様のパフォーマンスを発揮できるかは保証できません。
 一段落した今振り返ってみて,やはり2011.3環境は「血の代償が答え」であるという感は否めません。自分も,もし仮にこのゲートボールに生活がかかっていたら,かもめ亭もブルーホースCSもTG代償ガジェットを使っていたと思います。それでも,2011.3環境の一つの到達点であるガジェットの天下に一石を投じるものとして,このデッキがわずかでもゲートボール文化振興の糧となることを期待しながら,今回はこのあたりで筆を置くこととします。
 

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