How to build a unique deck? -2011.3環境を事例として-
- 2018/03/11
- 21:27
お久しぶりです。16bonbonです。
しばらくぶりにイベントに参加しましたので,それを機にちょろっと記事を書いてみました。
1.Introduction -What is the benefit of building a unique deck?-
突出したトップメタの存在しない「群雄割拠」の時代には,オリジナルデッキを作成するに十分な誘因が存在します。オリジナルデッキは,満たすべき最低限の水準を備えておらず大敗を喫する可能性もあれば,環境のエアポケットに入りこみ大勝をおさめる可能性もあり,リスクは高いながらも魅力的な選択肢として常にそこに存在しています。
オリジナルデッキには新規性・独創性があります。この点はまさに過小評価されてはならない最大の長所です。厳密には,勝負の世界に限定すれば「新しいこと」「オリジナルであること」それ自体には何の意味もありませんが,大会で勝つことを目標として設定する場合に,新規性・独創性は以下のような効果を発揮します。
(1)メタゲーム上の優位
新規性や独創性がメタゲームにおいて有利に働くことは分かりやすくオリジナルデッキの武器となります。
通常,「環境的に○○が強い/弱い」などという個別具体的なカードの強弱といったレベルでのメタゲーム認識はひろく持たれますが,メインギミックの固定枠が大きい既存のアーキタイプでは構造そのものの強さといった議論には発展しにくい側面があります。
また,具体的なカードに関しても,それを反映させるのは主にサイドデッキの選択であり,メインではせいぜい罠の採択などのディティール部分でしかなく,勝率5割を5割5分に変えることはあっても,根本的な変更にはなり得ないことがほとんどです。
一方,オリジナルデッキでは個別具体的なカードもかなりの自由度で採用することができますし,構造上の強みも形成しやすいです。制圧型の展開デッキが多いならカウンター力の高い構成に,順当な罠ビートが多いならリクルーターを軸にしたアドバンテージ獲得力の高い構成に,ワンショット系が多いなら小振りで防御力の高い構成に,といった具合に。先にかたちづくられているメタゲームに対して,ソリューションとしてデッキ自体を一から作っていけば,メタゲーム上の優位を築けることは確実で,オリジナルデッキのわかりやすい武器となります。
(2)情報の非対称性
経済学の世界では,「レモンの原理」と呼ばれる法則が一般に知られています。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの学者アカロフは,市場を分析するにあたって「情報の非対称性」に注目したことで一世を風靡しました。その内容はこうです。
「中古車市場で,外見からはわからない欠陥車(レモン)と優良車(ピーチ)が混在していると,買い手が高い金額で欠陥車を買うことを恐れ,欠陥車に相当する金額しか払わなくなるため,市場に優良車を出す売り手がいなくなる。売り手・買い手の情報格差が原因で,質の悪い商品しか市場に出回らなくなる「逆選択」が起きるという理論。」(『デジタル大辞泉』)
売り手と買い手で情報が不均衡であるために,買い手は安物相当の値段を予算とする「安定戦略」を取らざるを得なくなり,結果として売り手も買い手の「安定戦略」に合わせて仕入れを行わなければならなくなるというものです。
「売り手」を「デッキ製作者」,「買い手」を「対戦相手」と読み替えると,オリジナルデッキの製作においてもこの「情報の非対称性」が大きな意味を持っていることに気づかされるのです。この「情報の非対称性」は,二つの武器を生み出します。
(a)プレイング精度上の優位
プレイング精度上の優位とは,ありていに言えば「初見殺し」の性能が高いということです。「初見殺し」に期待するのはいかがなものかという主張もあるでしょうが,私は「情報の非対称性」からくる「初見殺し」は期待すべき当然の現象であると考えます。オリジナルデッキ製作者とその対戦相手とではデッキに関して得られる情報量が非対称であるため,仮に対戦相手が,その人の持ちうる情報を前提とする限りにおいて100%正しいプレイをおこなったとしても,オリジナルデッキは相手をして「(神の視点から見た)プレイミス」を犯せしめることができるのです。
(b)構築戦略上の優位
「レモンの原理」を念頭に置くと,相手のプレイ精度が下がることが期待できるばかりでなく,相手の「分からなさ」につけ込めるように構築することも肯定されます。これは相手を過小評価するおごりゆえに生じる態度ではなくて,客観的に見てオリジナルデッキ製作者がとるべき最善の選択です。
例えば,「よくわからない地雷デッキと戦っていて有利だったのにメタモルポッドを踏んで負けた」というような経験は,古くからのプレイヤーなら誰しも一度はあるでしょうが,その時あなたはその敗因を「自分のプレイミス」と括っていないでしょうか?

しかし冷静に考えてみると,あなたがそのメタモルポッドを予想してケアするということは情報上ほとんど不可能だったはずです。これはあなたがメタモルポッドをケアするに足るプレイスキルを持っていなかったという話では必ずしもなくて,情報の非対称性がもたらす暴力的敗北という色彩を帯びているのです。
以上のような基本的な事項を踏まえて,実際に2011.3環境でオリジナルデッキをつくる過程を追っていきましょう。
2.What is required by the metagame?
環境の要請を見極めることは,既存のデッキを使うにしろ,オリジナルデッキを製作するにしろ,環境航海の出発点です。まずは2011.3環境を定義するものがなんであるかを整理しましょう。
2018年3月現在のメタゲームでは,TG代償ガジェがシェア数・パワーともに頭一つ抜けています。ワンショット能力にすぐれるTG代行天使,罠ビート系トップのヒーローが次点につけ,そのほか多種多様なアーキタイプがこの三強を僅差で追いかけているという恰好です。
この環境で必要となるのは,以下のポイントであると思われます。
①1400以下のクリーチャーを安定して殴ることができる
TG代償ガジェやTG代行天使は基本となる打点が低いですが,場に残るとアドバンテージ1枚に還元されるようなクリーチャーが多数投入されています。ガジェットやアースはいずれも戦闘破壊こそ難しくありませんが,罠で迎撃していくのは割に合わず,戦闘破壊以外での対処は概ね肯定されません。
こうしたデッキが環境トップに君臨することを考えると,1400以下のクリーチャーを安定して殴る力がないデッキは生存を許されないことが分かります。
②1900打点に対して損をしない
環境に多く存在するヒーローは1900打点と大量の汎用除去を軸に立ちまわりますが,このときこちらのクリーチャーが1900打点によって一方的に討ち取られ損失を被ってしまうと,ヒーローに対して優位を築くことは非常に難しくなります。1900打点を超えるのにリソースを消費してしまうと,除去でいなされるだけでじり貧になってしまいます。
損をしないためには,1900を超える打点を軸とするか,破壊されても損をしないクリーチャーを軸とするか,いずれかの方法をとることとなります。
③罠耐性が高い
大嵐が無い2011.3環境では,罠デッキは言わずもがな,クリーチャーデッキでさえ一定数の罠を標準装備しています。この環境で罠を直撃してしまうのは単純に損であり,罠が効きづらいことこそがオリジナルデッキに求められている品質です。
④一定の防御力がある
ワンショット力の高いTG代行天使が幅を利かせている以上,ノーガードで大振りなクリーチャーデッキは望ましくありません。最低でも8枚くらいは防御札が欲しいところです。
⑤一定の盤面解決力がある
全盛期六武衆のような圧倒的な制圧デッキは低調ですが,パルキオン,ヒュペリオン,シャイニング,トリシューラのような高打点のフィニッシャーが多く存在するため,一定の盤面解決力も要求されます。ジャンドも少なくありませんし,六武衆やカラクリ,インフェルニティのようなデッキも少数ながら存在します。
また,クリーチャー部分で血の代償に触れるかどうかも,広義の盤面解決力として無視できない評価基準となります。
3.Trial and error
①の点を明快に満たすことができるのは罠ビート系のデッキです。特に,シュラやハイドロゲドン,グアイバといったクリーチャーはアースやガジェットを食い物にでき,非常に魅力的です。しかし,これらは②の点がどうしても解決できませんし,天敵スノーマンイーターが八面六臂の活躍を見せます。このプランは現実的には難しいでしょう。
ヒーローは,実質的な奈落耐性を持ちながらアースやガジェットを戦闘破壊できるため,悪くない選択肢です。(余談ですが,ヒーローにおいて最初の増援やEコールでエアーマンをサーチすることは稀で,基本的にはアナザーネオスから入るのが定跡です。)1900打点にも競り負けませんし,罠耐性もあり,防御性能も高く,盤面解決力も低くありません。純粋なデッキパワーではTG代償ガジェやTG代行天使にかなり劣るものの,環境的には悪くない立ち位置です。天敵スノーマンイーターを強く使うTG代行天使に対して5割を取れるプランがあれば十分候補になるでしょう。
ハイビートによる①へのアプローチは明快なのでこのくらいにして,次にロービートを主軸に考えてみましょう。特に1400打点のリクルーターは,奈落を躱してアースやガジェットを殴りに行けますし,②の点でも問題ありません。
こうした方向から既存のデッキを見渡してみると,カラクリにスポットライトが当たります。カラクリは兵と忍者という二つのアース・ガジェットアンチカードがあり,制圧型なので④の点も問題はありません。


ネックになるのが③の問題で,基本の動きは2枚消費の大型シンクロなので,ここに神の警告をあてられてしまうと大損になってしまいます。1本目はまだしも,2本目からは昇天の黒角笛も加えられてしまうため,カラクリにとっては厳しいゲームを強いられます。TG代行天使やガジェットに対してはシンクロを保留して下級で攻めていくプランも有効ですが,ヒーローなどに対してはそういった回避策も有効でなく,罠をいなすのに難があるデッキです。
さて,1400打点のリクルーターと言えば,キラー・トマトに白羽の矢が立ちます。環境のデッキでキラー・トマトが採用されているのはデブリジャンドですが,ジャンドはなにより④の点を満足しません。また,確かにトマトは入っていますが,デッキ全体としてはライコウや植物ギミック,ジャンクシンクロンなどの展開パーツが多く,①の点を満たしているとも言い難い面があります。
しかし,デブリ自体はその圧倒的なアドバンテージ獲得力によって,罠ビート全般には非常に有利に戦えます。③,⑤の点は文句なしです。ガジェットを殴れない場合もあるものの,それでもガジェットとて罠デッキの端くれ,その程度の不都合を覆し得るほどのデッキパワーがあります。
このジャンドの夢のようなデッキパワーを単に「大振り」として捨て去ってしまうのはもったいない。ジャンドの良さを残しつつ,なんとか①,④の点を改善できないか。その発想からスタートして,オリジナルデッキの製作に取り掛かりました。そうして出来上がったのが,今回のダーク植物なのであります。
4.ブルーホースCS大会レポート
3/10開催のブルーホースCSに参加してきました。
チーム名;チャリ連
A:fumi(ダーク植物)
B:でぃん(TG代償ガジェ)
C:16bonbon(ダーク植物)
1 六武衆 ×× チーム◯◯×
2 エレキ ×◯◯ チーム◯◯◯
3 フレムベル ◯◯ チーム◯◯◯
4 ID
予選2位で決勝トーナメント進出
SE1 TG代行天使 ◯◯ チーム×◯◯
SE2 フレムベル ◯×◯ チーム◯◯◯
SE3 インフェルニティ ×◯× チーム×◯×
個人4-2,チーム5-1で準優勝でした。
1ラウンド目の六武衆戦は先行シエンエニシ罠で1本目を落とし,2本目罠0ハンドを抱えたところに門影武者荒行活人でタコ殴り。六武衆は強いデッキです。
決勝のインフェルニティ戦は,結果論ではありますがこちらにももう少しやりようがあったかもしれません。相性の悪いマッチアップだと痛感しましたが,でぃんさんが全勝だっただけに,最後負けてしまったのは不甲斐ない思いです。
明日(3/12)の22:00頃を目途に,今回のダーク植物の解説記事を掲載する予定です。
しばらくぶりにイベントに参加しましたので,それを機にちょろっと記事を書いてみました。
1.Introduction -What is the benefit of building a unique deck?-
突出したトップメタの存在しない「群雄割拠」の時代には,オリジナルデッキを作成するに十分な誘因が存在します。オリジナルデッキは,満たすべき最低限の水準を備えておらず大敗を喫する可能性もあれば,環境のエアポケットに入りこみ大勝をおさめる可能性もあり,リスクは高いながらも魅力的な選択肢として常にそこに存在しています。
オリジナルデッキには新規性・独創性があります。この点はまさに過小評価されてはならない最大の長所です。厳密には,勝負の世界に限定すれば「新しいこと」「オリジナルであること」それ自体には何の意味もありませんが,大会で勝つことを目標として設定する場合に,新規性・独創性は以下のような効果を発揮します。
(1)メタゲーム上の優位
新規性や独創性がメタゲームにおいて有利に働くことは分かりやすくオリジナルデッキの武器となります。
通常,「環境的に○○が強い/弱い」などという個別具体的なカードの強弱といったレベルでのメタゲーム認識はひろく持たれますが,メインギミックの固定枠が大きい既存のアーキタイプでは構造そのものの強さといった議論には発展しにくい側面があります。
また,具体的なカードに関しても,それを反映させるのは主にサイドデッキの選択であり,メインではせいぜい罠の採択などのディティール部分でしかなく,勝率5割を5割5分に変えることはあっても,根本的な変更にはなり得ないことがほとんどです。
一方,オリジナルデッキでは個別具体的なカードもかなりの自由度で採用することができますし,構造上の強みも形成しやすいです。制圧型の展開デッキが多いならカウンター力の高い構成に,順当な罠ビートが多いならリクルーターを軸にしたアドバンテージ獲得力の高い構成に,ワンショット系が多いなら小振りで防御力の高い構成に,といった具合に。先にかたちづくられているメタゲームに対して,ソリューションとしてデッキ自体を一から作っていけば,メタゲーム上の優位を築けることは確実で,オリジナルデッキのわかりやすい武器となります。
(2)情報の非対称性
経済学の世界では,「レモンの原理」と呼ばれる法則が一般に知られています。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの学者アカロフは,市場を分析するにあたって「情報の非対称性」に注目したことで一世を風靡しました。その内容はこうです。
「中古車市場で,外見からはわからない欠陥車(レモン)と優良車(ピーチ)が混在していると,買い手が高い金額で欠陥車を買うことを恐れ,欠陥車に相当する金額しか払わなくなるため,市場に優良車を出す売り手がいなくなる。売り手・買い手の情報格差が原因で,質の悪い商品しか市場に出回らなくなる「逆選択」が起きるという理論。」(『デジタル大辞泉』)
売り手と買い手で情報が不均衡であるために,買い手は安物相当の値段を予算とする「安定戦略」を取らざるを得なくなり,結果として売り手も買い手の「安定戦略」に合わせて仕入れを行わなければならなくなるというものです。
「売り手」を「デッキ製作者」,「買い手」を「対戦相手」と読み替えると,オリジナルデッキの製作においてもこの「情報の非対称性」が大きな意味を持っていることに気づかされるのです。この「情報の非対称性」は,二つの武器を生み出します。
(a)プレイング精度上の優位
プレイング精度上の優位とは,ありていに言えば「初見殺し」の性能が高いということです。「初見殺し」に期待するのはいかがなものかという主張もあるでしょうが,私は「情報の非対称性」からくる「初見殺し」は期待すべき当然の現象であると考えます。オリジナルデッキ製作者とその対戦相手とではデッキに関して得られる情報量が非対称であるため,仮に対戦相手が,その人の持ちうる情報を前提とする限りにおいて100%正しいプレイをおこなったとしても,オリジナルデッキは相手をして「(神の視点から見た)プレイミス」を犯せしめることができるのです。
(b)構築戦略上の優位
「レモンの原理」を念頭に置くと,相手のプレイ精度が下がることが期待できるばかりでなく,相手の「分からなさ」につけ込めるように構築することも肯定されます。これは相手を過小評価するおごりゆえに生じる態度ではなくて,客観的に見てオリジナルデッキ製作者がとるべき最善の選択です。
例えば,「よくわからない地雷デッキと戦っていて有利だったのにメタモルポッドを踏んで負けた」というような経験は,古くからのプレイヤーなら誰しも一度はあるでしょうが,その時あなたはその敗因を「自分のプレイミス」と括っていないでしょうか?
しかし冷静に考えてみると,あなたがそのメタモルポッドを予想してケアするということは情報上ほとんど不可能だったはずです。これはあなたがメタモルポッドをケアするに足るプレイスキルを持っていなかったという話では必ずしもなくて,情報の非対称性がもたらす暴力的敗北という色彩を帯びているのです。
以上のような基本的な事項を踏まえて,実際に2011.3環境でオリジナルデッキをつくる過程を追っていきましょう。
2.What is required by the metagame?
環境の要請を見極めることは,既存のデッキを使うにしろ,オリジナルデッキを製作するにしろ,環境航海の出発点です。まずは2011.3環境を定義するものがなんであるかを整理しましょう。
2018年3月現在のメタゲームでは,TG代償ガジェがシェア数・パワーともに頭一つ抜けています。ワンショット能力にすぐれるTG代行天使,罠ビート系トップのヒーローが次点につけ,そのほか多種多様なアーキタイプがこの三強を僅差で追いかけているという恰好です。
この環境で必要となるのは,以下のポイントであると思われます。
①1400以下のクリーチャーを安定して殴ることができる
TG代償ガジェやTG代行天使は基本となる打点が低いですが,場に残るとアドバンテージ1枚に還元されるようなクリーチャーが多数投入されています。ガジェットやアースはいずれも戦闘破壊こそ難しくありませんが,罠で迎撃していくのは割に合わず,戦闘破壊以外での対処は概ね肯定されません。
こうしたデッキが環境トップに君臨することを考えると,1400以下のクリーチャーを安定して殴る力がないデッキは生存を許されないことが分かります。
②1900打点に対して損をしない
環境に多く存在するヒーローは1900打点と大量の汎用除去を軸に立ちまわりますが,このときこちらのクリーチャーが1900打点によって一方的に討ち取られ損失を被ってしまうと,ヒーローに対して優位を築くことは非常に難しくなります。1900打点を超えるのにリソースを消費してしまうと,除去でいなされるだけでじり貧になってしまいます。
損をしないためには,1900を超える打点を軸とするか,破壊されても損をしないクリーチャーを軸とするか,いずれかの方法をとることとなります。
③罠耐性が高い
大嵐が無い2011.3環境では,罠デッキは言わずもがな,クリーチャーデッキでさえ一定数の罠を標準装備しています。この環境で罠を直撃してしまうのは単純に損であり,罠が効きづらいことこそがオリジナルデッキに求められている品質です。
④一定の防御力がある
ワンショット力の高いTG代行天使が幅を利かせている以上,ノーガードで大振りなクリーチャーデッキは望ましくありません。最低でも8枚くらいは防御札が欲しいところです。
⑤一定の盤面解決力がある
全盛期六武衆のような圧倒的な制圧デッキは低調ですが,パルキオン,ヒュペリオン,シャイニング,トリシューラのような高打点のフィニッシャーが多く存在するため,一定の盤面解決力も要求されます。ジャンドも少なくありませんし,六武衆やカラクリ,インフェルニティのようなデッキも少数ながら存在します。
また,クリーチャー部分で血の代償に触れるかどうかも,広義の盤面解決力として無視できない評価基準となります。
3.Trial and error
①の点を明快に満たすことができるのは罠ビート系のデッキです。特に,シュラやハイドロゲドン,グアイバといったクリーチャーはアースやガジェットを食い物にでき,非常に魅力的です。しかし,これらは②の点がどうしても解決できませんし,天敵スノーマンイーターが八面六臂の活躍を見せます。このプランは現実的には難しいでしょう。
ヒーローは,実質的な奈落耐性を持ちながらアースやガジェットを戦闘破壊できるため,悪くない選択肢です。(余談ですが,ヒーローにおいて最初の増援やEコールでエアーマンをサーチすることは稀で,基本的にはアナザーネオスから入るのが定跡です。)1900打点にも競り負けませんし,罠耐性もあり,防御性能も高く,盤面解決力も低くありません。純粋なデッキパワーではTG代償ガジェやTG代行天使にかなり劣るものの,環境的には悪くない立ち位置です。天敵スノーマンイーターを強く使うTG代行天使に対して5割を取れるプランがあれば十分候補になるでしょう。
ハイビートによる①へのアプローチは明快なのでこのくらいにして,次にロービートを主軸に考えてみましょう。特に1400打点のリクルーターは,奈落を躱してアースやガジェットを殴りに行けますし,②の点でも問題ありません。
こうした方向から既存のデッキを見渡してみると,カラクリにスポットライトが当たります。カラクリは兵と忍者という二つのアース・ガジェットアンチカードがあり,制圧型なので④の点も問題はありません。
ネックになるのが③の問題で,基本の動きは2枚消費の大型シンクロなので,ここに神の警告をあてられてしまうと大損になってしまいます。1本目はまだしも,2本目からは昇天の黒角笛も加えられてしまうため,カラクリにとっては厳しいゲームを強いられます。TG代行天使やガジェットに対してはシンクロを保留して下級で攻めていくプランも有効ですが,ヒーローなどに対してはそういった回避策も有効でなく,罠をいなすのに難があるデッキです。
さて,1400打点のリクルーターと言えば,キラー・トマトに白羽の矢が立ちます。環境のデッキでキラー・トマトが採用されているのはデブリジャンドですが,ジャンドはなにより④の点を満足しません。また,確かにトマトは入っていますが,デッキ全体としてはライコウや植物ギミック,ジャンクシンクロンなどの展開パーツが多く,①の点を満たしているとも言い難い面があります。
しかし,デブリ自体はその圧倒的なアドバンテージ獲得力によって,罠ビート全般には非常に有利に戦えます。③,⑤の点は文句なしです。ガジェットを殴れない場合もあるものの,それでもガジェットとて罠デッキの端くれ,その程度の不都合を覆し得るほどのデッキパワーがあります。
このジャンドの夢のようなデッキパワーを単に「大振り」として捨て去ってしまうのはもったいない。ジャンドの良さを残しつつ,なんとか①,④の点を改善できないか。その発想からスタートして,オリジナルデッキの製作に取り掛かりました。そうして出来上がったのが,今回のダーク植物なのであります。
4.ブルーホースCS大会レポート
3/10開催のブルーホースCSに参加してきました。
チーム名;チャリ連
A:fumi(ダーク植物)
B:でぃん(TG代償ガジェ)
C:16bonbon(ダーク植物)
1 六武衆 ×× チーム◯◯×
2 エレキ ×◯◯ チーム◯◯◯
3 フレムベル ◯◯ チーム◯◯◯
4 ID
予選2位で決勝トーナメント進出
SE1 TG代行天使 ◯◯ チーム×◯◯
SE2 フレムベル ◯×◯ チーム◯◯◯
SE3 インフェルニティ ×◯× チーム×◯×
個人4-2,チーム5-1で準優勝でした。
1ラウンド目の六武衆戦は先行シエンエニシ罠で1本目を落とし,2本目罠0ハンドを抱えたところに門影武者荒行活人でタコ殴り。六武衆は強いデッキです。
決勝のインフェルニティ戦は,結果論ではありますがこちらにももう少しやりようがあったかもしれません。相性の悪いマッチアップだと痛感しましたが,でぃんさんが全勝だっただけに,最後負けてしまったのは不甲斐ない思いです。
明日(3/12)の22:00頃を目途に,今回のダーク植物の解説記事を掲載する予定です。