2011.3環境分析(2) -二つの2011.3環境というメタヒストリー-
- 2018/01/09
- 23:22
1.2011.3シーズンの記憶
(1)環境初頭 -罠デッキの大量発生と罠デッキに強い罠デッキの隆盛-
旋風BF・六武衆・tokyoデブリの鼎立した2010.9環境が終わり,環境のカードパワーは大きく低下することとなりました。大寒波も退場し,罠デッキの復権が多くの人々によって予想されましたが,旋風BFの弱体化を受け,実際にどういった罠デッキが強いのか具体的に形を与えられるには時間がかかりました。
そうした状況の中で,環境初頭のビッグイベント・ISDCSで優勝し一世を風靡したのが,罠デッキの名手である古参のマロさんが操る剣闘獣でした。
使用者:マロさん
モンスター(11枚)
剣闘獣レティアリィ
剣闘獣ラニスタ×2枚
剣闘獣ラクエル×2枚
剣闘獣ムルミロ
剣闘獣ホプロムス
剣闘獣ベストロウリィ
剣闘獣ダリウス
剣闘獣エクイテ×2枚
魔法(10枚)
収縮×2枚
剣闘獣の底力
剣闘訓練所(グラディアルトレーナー)×3枚
月の書
禁じられた聖槍×3枚
罠(19枚)
奈落の落とし穴×2枚
盗賊の七つ道具×2枚
聖なるバリア-ミラーフォース-
神の宣告
神の警告×2枚
次元幽閉×3枚
剣闘獣の戦車(グラディアルビースト・チャリオット)×3枚
トラップ・スタン×3枚
ゴッドバードアタック×2枚
エクストラデッキ
E・HERO Great TORNADO×2枚
E・HERO The シャイニング×2枚
E・HERO アブソルートZero
E・HERO ガイア
E・HERO ノヴァマスター
V・HERO アドレイション
キメラテック・フォートレス・ドラゴン
剣闘獣ガイザレス×3枚
剣闘獣ヘラクレイノス
超合魔獣ラプテノス
波動竜騎士 ドラゴエクィテス
サイドデッキ
A・ボム×2枚
D.D.クロウ×2枚
サイファー・スカウター×2枚
剣闘獣ホプロムス
聖なるあかり×3枚
閃光を吸い込むマジック・ミラー×2枚
超融合×3枚
メインから積まれた聖槍・七つ道具・トラスタといった大ぶりな罠対策が印象的な仕上がりになっていることからもわかるでしょうが,この時期には雑多な罠デッキが数多く存在しており,それらの海をどう渡り切って行くかが構築のテーマに措定されていたのです。その意味で罠避け+ガイザレスというコンセプトは極めて合理的で,初期のメタゲームに非常にマッチしていたと言えます。
(2)環境中盤以降 -六武衆・ジャンド勢力の伸長-
また,罠デッキに対して強力なデッキを作るというアプローチで,環境初期から一つの有力な路線となったのが六武衆でした。門3枚の時代とは大幅にデッキのスタイルを変更し,活人剣術を二の矢にしたシエンビートとして,中途半端な完成度の罠デッキを悉く駆逐していきました。前環境からの生き残りデッキは概して完成度が最初から高いものですが,環境初期においては新しもの好きのプレイヤーには選択されにくく,強さのわりに過小評価されているきらいもあったので,結果による裏付けは六武衆人気再燃のきっかけとなりました。六武衆は環境終盤まで常に2011.3環境にトップメタとして君臨し続けており,その年の選考会日本代表デッキにもなりました。
使用者:アーサーさん
モンスター(14枚)
六武衆-ヤイチ
六武衆の露払い×2枚
六武衆の師範×2枚
六武衆の影武者×3枚
真六武衆-キザン×3枚
真六武衆-カゲキ×3枚
魔法(12枚)
六武衆の結束×3枚
六武の門
増援
紫炎の狼煙×3枚
死者蘇生
月の書
サイクロン×2枚
罠(14枚)
六尺瓊勾玉
奈落の落とし穴×2枚
神の宣告
神の警告×2枚
諸刃の活人剣術×3枚
砂塵の大竜巻×2枚
激流葬
王宮の弾圧
ダスト・シュート
エクストラデッキ
A・O・J カタストル
A・O・J ディサイシブ・アームズ
No.17 リバイス・ドラゴン
インヴェルズ・ローチ
スクラップ・ドラゴン
ナチュル・パルキオン
ナチュル・ランドオルス
ブラック・ローズ・ドラゴン
マジカル・アンドロイド
虚空海竜リヴァイエール
真六武衆-シエン×2枚
大地の騎士ガイアナイト
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク
サイドデッキ
D.D.クロウ
パペット・プラント×3枚
フォッシル・ダイナ パキケファロ×2枚
レインボー・ライフ
砂塵の大竜巻
次元の裂け目×3枚
次元幽閉×2枚
非常食
冥府の使者ゴーズ
一方で,同様のアプローチとしてクリーチャーデッキにも光が当てられ,tokyoデブリの弱体化に合わせてデブリジャンクドッペルも頭角を現し,罠デッキを駆逐していきました。ジャンドは並の罠デッキのみならずガジェットに対しても非常に強く,まともにビートダウンしていくようなプランのデッキでは殆ど太刀打ちできない状態でした。六武衆と同様,こちらも選考会日本代表に選ばれました。
使用者:syeluさん
モンスター(23枚)
冥府の使者ゴーズ
ローンファイア・ブロッサム×2枚
ライトロード・マジシャン ライラ
ライトロード・ハンター ライコウ×3枚
ドッペル・ウォリアー×2枚
デブリ・ドラゴン×2枚
ダンディライオン
スポーア
ジャンク・シンクロン
グローアップ・バルブ
クリッター
カオス・ソーサラー×3枚
カードガンナー×2枚
エフェクト・ヴェーラー×2枚
魔法(12枚)
貪欲な壺
増援
死者蘇生
光の援軍
月の書
ワン・フォー・ワン
ブラック・ホール
ハリケーン
スケープ・ゴート
サイクロン×2枚
おろかな埋葬
罠(5枚)
砂塵の大竜巻
激流葬
リミット・リバース×2枚
リビングデッドの呼び声
エクストラデッキ
A・O・J カタストル
C(チェーン)・ドラゴン
TG ハイパー・ライブラリアン×2枚
アーカナイト・マジシャン
アームズ・エイド
シューティング・クェーサー・ドラゴン
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン
フォーミュラ・シンクロン×2枚
ブラック・ローズ・ドラゴン
虚空海竜リヴァイエール
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク
サイドデッキ
D.D.クロウ×2枚
ダスト・シュート
パペット・プラント×2枚
砂塵の大竜巻
次元幽閉
聖なるバリア-ミラーフォース-
奈落の落とし穴×2枚
魔導戦士 ブレイカー×2枚
霊滅術師 カイクウ
連鎖除外(チェーン・ロスト)×2枚
六武衆やジャンドのようなデッキが罠デッキを抑えてシェアを拡大していったものの,これらのデッキを打ち倒すアプローチは遂に環境終盤まで現れませんでした。すなわちこの環境のメタゲームの変遷はとても簡素なもので,
(1)環境初期 雑多な罠デッキが大量発生→罠メタを大量に搭載した剣闘獣などの罠デッキが活躍,六武衆・ジャンドも強い
→ (2)環境中盤以降 剣闘獣などのデッキを食いつぶす格好で六武衆・ジャンドが成長,以後この2つがトップメタであり続けながら,様々なデッキが僅差でその後を追う
といった具合だったと記憶しております。
ちなみに,当時高校生だった私は墓守や暗黒界といったデッキを使用していた気がしますが,その理由は覚えていません。いま同じ環境が再現されたら,おそらく六武衆を選択するでしょう。
2.タイムパラドックス -ゲートボール環境鳥瞰-
ところが,ゲートボールとしてこの環境を捉え直す時,環境を定義するのは六武衆でもジャンドでもなくTG代行天使でした。当時まだ「発明」されていなかったTG代行は環境の勢力図を大きく書き替え,かもめ亭ルールとともに環境の処女性を創造しました。自分が最初にゲートボールに触れた時は老人特有の粋がりたい性分が出てしまい,つい過去の感覚を辿って当てはめ議論に傾斜しがちでありましたが,最初のうちは思うように勝率が伸びませんでした。時間的な隔たりによるブランクも当然あるでしょうが,それ以上にゲートボール環境は当時の環境とはまるで別物なので,改めて考え直さなければならない点が多すぎるのです。
以上のようなことを踏まえて,ゲートボール環境を鳥瞰してみましょう。次に掲げるのは「環境分析(1)」の項で掲載したTier表ですが,これは便宜上必要であるため用いているという面もあり,実際には各デッキ間のパワーにそれほど大きな差はないと考えています。また,デッキ間の相性差やメタゲームの推移を考えると,若干の修正を加えるべきであるような気もします(今回はひとまず前と同様のものを載せます)。
- Tier1
TG代行天使
- Tier2
デブリジャンド,TG代償ガジェ
- Tier3
ヒーロー,六武衆
- Tier4
墓地BF,wakaガジェ,暗黒界,カラクリ,スキドレTGなど
まず六武衆ですが,これは先手番のドローがなくなったことで大きく弱体化することとなりました。シエンを繰り出せる確率も低下しましたし,仮にシエンが出せたとしてもそれを維持する蓋が不足するケースは少なくなく,以前ほど圧倒的な制圧力は有していません。しかし,それでもライフ奪取速度の高さは健在であり,代行者を引いていないTG代行や下級クリーチャーを引いていないジャンドをあっという間に轢殺してしまうことも少なくありません。門絡みのイージーウィンもあり,デッキとしては悪くない選択です。
次にジャンド。こちらは後手を取る事にあまり抵抗のないデッキなのですが,TG代行の流行は向かい風です。防御札が薄く,簡単にワンショットを決められてしまうことも少なくありませんし,そうでなくてもトリシューラが痛打になりやすいなどの欠点があります。勿論デッキパワーの高さに疑う余地はないので,これも環境の次点デッキとしては悪くありません。
そして,これら二つのデッキが落ち目になり,TG代行が流行したことによって,TG代償ガジェは当時よりも明らかにメタゲーム上のポジションを良くしました。TG代償ガジェは当初から強力なデッキで,選考会の代表にも選ばれていましたが,ゲートボール環境では輪をかけて勝率が高いアーキタイプであると言えます。
また,表においてTier4と表記したデッキ群も,過去の環境におけるそれよりも立場を強くしている場合が多いです。雑多な罠デッキを抑え込んでいた六武衆・ジャンドの後退により,罠デッキが活躍する余地は広がっていると言えるでしょう。またTG代行やガジェットに対して相性が良いとされるカラクリなどの趨勢にも注目です。
新規参入のTG代行やTGガジェは,デッキパワーは過去に実在したアーキタイプ群と比較しても高いものがあります。ただし,それぞれが特有のウィークポイントを持っており,ジャンドを巡って環境は三すくみになっていると考えることができます。
環境全体としては,「大嵐が無いから罠デッキが優位である」というイメージは(その理由が大嵐の有無によるものではないと思われるものの)おおよそ正しく,クリーチャーデッキはTG代行やジャンドといった圧倒的なパワーを持つもののみが生き残っているという趨勢です。おそらくゲートボーラ―は罠デッキ好きが多いでしょうから,楽しむのに適した理想的な環境と評価できるのではないでしょうか。
(1)環境初頭 -罠デッキの大量発生と罠デッキに強い罠デッキの隆盛-
旋風BF・六武衆・tokyoデブリの鼎立した2010.9環境が終わり,環境のカードパワーは大きく低下することとなりました。大寒波も退場し,罠デッキの復権が多くの人々によって予想されましたが,旋風BFの弱体化を受け,実際にどういった罠デッキが強いのか具体的に形を与えられるには時間がかかりました。
そうした状況の中で,環境初頭のビッグイベント・ISDCSで優勝し一世を風靡したのが,罠デッキの名手である古参のマロさんが操る剣闘獣でした。
使用者:マロさん
モンスター(11枚)
剣闘獣レティアリィ
剣闘獣ラニスタ×2枚
剣闘獣ラクエル×2枚
剣闘獣ムルミロ
剣闘獣ホプロムス
剣闘獣ベストロウリィ
剣闘獣ダリウス
剣闘獣エクイテ×2枚
魔法(10枚)
収縮×2枚
剣闘獣の底力
剣闘訓練所(グラディアルトレーナー)×3枚
月の書
禁じられた聖槍×3枚
罠(19枚)
奈落の落とし穴×2枚
盗賊の七つ道具×2枚
聖なるバリア-ミラーフォース-
神の宣告
神の警告×2枚
次元幽閉×3枚
剣闘獣の戦車(グラディアルビースト・チャリオット)×3枚
トラップ・スタン×3枚
ゴッドバードアタック×2枚
エクストラデッキ
E・HERO Great TORNADO×2枚
E・HERO The シャイニング×2枚
E・HERO アブソルートZero
E・HERO ガイア
E・HERO ノヴァマスター
V・HERO アドレイション
キメラテック・フォートレス・ドラゴン
剣闘獣ガイザレス×3枚
剣闘獣ヘラクレイノス
超合魔獣ラプテノス
波動竜騎士 ドラゴエクィテス
サイドデッキ
A・ボム×2枚
D.D.クロウ×2枚
サイファー・スカウター×2枚
剣闘獣ホプロムス
聖なるあかり×3枚
閃光を吸い込むマジック・ミラー×2枚
超融合×3枚
メインから積まれた聖槍・七つ道具・トラスタといった大ぶりな罠対策が印象的な仕上がりになっていることからもわかるでしょうが,この時期には雑多な罠デッキが数多く存在しており,それらの海をどう渡り切って行くかが構築のテーマに措定されていたのです。その意味で罠避け+ガイザレスというコンセプトは極めて合理的で,初期のメタゲームに非常にマッチしていたと言えます。
(2)環境中盤以降 -六武衆・ジャンド勢力の伸長-
また,罠デッキに対して強力なデッキを作るというアプローチで,環境初期から一つの有力な路線となったのが六武衆でした。門3枚の時代とは大幅にデッキのスタイルを変更し,活人剣術を二の矢にしたシエンビートとして,中途半端な完成度の罠デッキを悉く駆逐していきました。前環境からの生き残りデッキは概して完成度が最初から高いものですが,環境初期においては新しもの好きのプレイヤーには選択されにくく,強さのわりに過小評価されているきらいもあったので,結果による裏付けは六武衆人気再燃のきっかけとなりました。六武衆は環境終盤まで常に2011.3環境にトップメタとして君臨し続けており,その年の選考会日本代表デッキにもなりました。
使用者:アーサーさん
モンスター(14枚)
六武衆-ヤイチ
六武衆の露払い×2枚
六武衆の師範×2枚
六武衆の影武者×3枚
真六武衆-キザン×3枚
真六武衆-カゲキ×3枚
魔法(12枚)
六武衆の結束×3枚
六武の門
増援
紫炎の狼煙×3枚
死者蘇生
月の書
サイクロン×2枚
罠(14枚)
六尺瓊勾玉
奈落の落とし穴×2枚
神の宣告
神の警告×2枚
諸刃の活人剣術×3枚
砂塵の大竜巻×2枚
激流葬
王宮の弾圧
ダスト・シュート
エクストラデッキ
A・O・J カタストル
A・O・J ディサイシブ・アームズ
No.17 リバイス・ドラゴン
インヴェルズ・ローチ
スクラップ・ドラゴン
ナチュル・パルキオン
ナチュル・ランドオルス
ブラック・ローズ・ドラゴン
マジカル・アンドロイド
虚空海竜リヴァイエール
真六武衆-シエン×2枚
大地の騎士ガイアナイト
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク
サイドデッキ
D.D.クロウ
パペット・プラント×3枚
フォッシル・ダイナ パキケファロ×2枚
レインボー・ライフ
砂塵の大竜巻
次元の裂け目×3枚
次元幽閉×2枚
非常食
冥府の使者ゴーズ
一方で,同様のアプローチとしてクリーチャーデッキにも光が当てられ,tokyoデブリの弱体化に合わせてデブリジャンクドッペルも頭角を現し,罠デッキを駆逐していきました。ジャンドは並の罠デッキのみならずガジェットに対しても非常に強く,まともにビートダウンしていくようなプランのデッキでは殆ど太刀打ちできない状態でした。六武衆と同様,こちらも選考会日本代表に選ばれました。
使用者:syeluさん
モンスター(23枚)
冥府の使者ゴーズ
ローンファイア・ブロッサム×2枚
ライトロード・マジシャン ライラ
ライトロード・ハンター ライコウ×3枚
ドッペル・ウォリアー×2枚
デブリ・ドラゴン×2枚
ダンディライオン
スポーア
ジャンク・シンクロン
グローアップ・バルブ
クリッター
カオス・ソーサラー×3枚
カードガンナー×2枚
エフェクト・ヴェーラー×2枚
魔法(12枚)
貪欲な壺
増援
死者蘇生
光の援軍
月の書
ワン・フォー・ワン
ブラック・ホール
ハリケーン
スケープ・ゴート
サイクロン×2枚
おろかな埋葬
罠(5枚)
砂塵の大竜巻
激流葬
リミット・リバース×2枚
リビングデッドの呼び声
エクストラデッキ
A・O・J カタストル
C(チェーン)・ドラゴン
TG ハイパー・ライブラリアン×2枚
アーカナイト・マジシャン
アームズ・エイド
シューティング・クェーサー・ドラゴン
スクラップ・ドラゴン
スターダスト・ドラゴン
フォーミュラ・シンクロン×2枚
ブラック・ローズ・ドラゴン
虚空海竜リヴァイエール
氷結界の龍 トリシューラ
氷結界の龍 ブリューナク
サイドデッキ
D.D.クロウ×2枚
ダスト・シュート
パペット・プラント×2枚
砂塵の大竜巻
次元幽閉
聖なるバリア-ミラーフォース-
奈落の落とし穴×2枚
魔導戦士 ブレイカー×2枚
霊滅術師 カイクウ
連鎖除外(チェーン・ロスト)×2枚
六武衆やジャンドのようなデッキが罠デッキを抑えてシェアを拡大していったものの,これらのデッキを打ち倒すアプローチは遂に環境終盤まで現れませんでした。すなわちこの環境のメタゲームの変遷はとても簡素なもので,
(1)環境初期 雑多な罠デッキが大量発生→罠メタを大量に搭載した剣闘獣などの罠デッキが活躍,六武衆・ジャンドも強い
→ (2)環境中盤以降 剣闘獣などのデッキを食いつぶす格好で六武衆・ジャンドが成長,以後この2つがトップメタであり続けながら,様々なデッキが僅差でその後を追う
といった具合だったと記憶しております。
ちなみに,当時高校生だった私は墓守や暗黒界といったデッキを使用していた気がしますが,その理由は覚えていません。いま同じ環境が再現されたら,おそらく六武衆を選択するでしょう。
2.タイムパラドックス -ゲートボール環境鳥瞰-
ところが,ゲートボールとしてこの環境を捉え直す時,環境を定義するのは六武衆でもジャンドでもなくTG代行天使でした。当時まだ「発明」されていなかったTG代行は環境の勢力図を大きく書き替え,かもめ亭ルールとともに環境の処女性を創造しました。自分が最初にゲートボールに触れた時は老人特有の粋がりたい性分が出てしまい,つい過去の感覚を辿って当てはめ議論に傾斜しがちでありましたが,最初のうちは思うように勝率が伸びませんでした。時間的な隔たりによるブランクも当然あるでしょうが,それ以上にゲートボール環境は当時の環境とはまるで別物なので,改めて考え直さなければならない点が多すぎるのです。
以上のようなことを踏まえて,ゲートボール環境を鳥瞰してみましょう。次に掲げるのは「環境分析(1)」の項で掲載したTier表ですが,これは便宜上必要であるため用いているという面もあり,実際には各デッキ間のパワーにそれほど大きな差はないと考えています。また,デッキ間の相性差やメタゲームの推移を考えると,若干の修正を加えるべきであるような気もします(今回はひとまず前と同様のものを載せます)。
- Tier1
TG代行天使
- Tier2
デブリジャンド,TG代償ガジェ
- Tier3
ヒーロー,六武衆
- Tier4
墓地BF,wakaガジェ,暗黒界,カラクリ,スキドレTGなど
まず六武衆ですが,これは先手番のドローがなくなったことで大きく弱体化することとなりました。シエンを繰り出せる確率も低下しましたし,仮にシエンが出せたとしてもそれを維持する蓋が不足するケースは少なくなく,以前ほど圧倒的な制圧力は有していません。しかし,それでもライフ奪取速度の高さは健在であり,代行者を引いていないTG代行や下級クリーチャーを引いていないジャンドをあっという間に轢殺してしまうことも少なくありません。門絡みのイージーウィンもあり,デッキとしては悪くない選択です。
次にジャンド。こちらは後手を取る事にあまり抵抗のないデッキなのですが,TG代行の流行は向かい風です。防御札が薄く,簡単にワンショットを決められてしまうことも少なくありませんし,そうでなくてもトリシューラが痛打になりやすいなどの欠点があります。勿論デッキパワーの高さに疑う余地はないので,これも環境の次点デッキとしては悪くありません。
そして,これら二つのデッキが落ち目になり,TG代行が流行したことによって,TG代償ガジェは当時よりも明らかにメタゲーム上のポジションを良くしました。TG代償ガジェは当初から強力なデッキで,選考会の代表にも選ばれていましたが,ゲートボール環境では輪をかけて勝率が高いアーキタイプであると言えます。
また,表においてTier4と表記したデッキ群も,過去の環境におけるそれよりも立場を強くしている場合が多いです。雑多な罠デッキを抑え込んでいた六武衆・ジャンドの後退により,罠デッキが活躍する余地は広がっていると言えるでしょう。またTG代行やガジェットに対して相性が良いとされるカラクリなどの趨勢にも注目です。
新規参入のTG代行やTGガジェは,デッキパワーは過去に実在したアーキタイプ群と比較しても高いものがあります。ただし,それぞれが特有のウィークポイントを持っており,ジャンドを巡って環境は三すくみになっていると考えることができます。
環境全体としては,「大嵐が無いから罠デッキが優位である」というイメージは(その理由が大嵐の有無によるものではないと思われるものの)おおよそ正しく,クリーチャーデッキはTG代行やジャンドといった圧倒的なパワーを持つもののみが生き残っているという趨勢です。おそらくゲートボーラ―は罠デッキ好きが多いでしょうから,楽しむのに適した理想的な環境と評価できるのではないでしょうか。