2018年1月12日、眼鏡チェーンのJINS(ジンズ)が1日使い捨てタイプの近視用ソフトコンタクトレンズ「JINS 1DAY(ジンズ ワンデー)」を発売した。公式オンラインショップでの発売に先駆け、2017年12月下旬から「JINS 渋谷店」での取り扱いを開始。今後はオンラインショップを中心に、取り扱い店舗も増やしていく予定だという。
ジンズはフレームとレンズがセットになった低価格帯の眼鏡で知られている。2011年にはパソコンやスマートフォンのブルーライトを軽減させる眼鏡を発売し、話題となった。その後も花粉対策用眼鏡など、視力矯正目的以外のジャンルにも手を広げている。視力は悪くないがジンズの眼鏡を1本は持っているという人も少なくないだろう。数多くの眼鏡を手がけてきたジンズが、なぜ今コンタクトレンズを発売するのだろうか。
眼鏡よりコンタクトのほうが顧客との接触機会が増える
「もともとジンズの事業は眼鏡に限定していない。コンタクトレンズをきっかけにして眼鏡の売り上げを伸ばすことや、コンタクトレンズ購入者のデータを使って新しいサービスを立ち上げる可能性もある」と同社 経営・ITユニット長の笈沼清紀氏は説明する。同社がワンデータイプのコンタクトレンズユーザーを対象に調査したところ、約9割が視力矯正用の眼鏡を併用していることが分かった。そのため、コンタクトレンズを販売しても眼鏡の売り上げを落とすことにはならないと判断したという。
さらに、コンタクトレンズの販売により顧客とのコミュニケーション頻度を増やすという狙いもある。ワンデータイプのコンタクトレンズは1カ月単位で販売されているので、月に1回購入するとすれば年間12回、ジンズワンデーの最大数である半年分を購入したとしても、年間2回は顧客と接触する機会ができる。だが、眼鏡は「ロイヤルティーが高い顧客でも2.7年に1本しか買い替えない。顧客との接触頻度が増えるのは大きい」(笈沼氏)という。
専用アプリの導入もコンタクトレンズ取り扱いの契機になった。同社は2013年に個人情報が漏洩したことをきっかけに、それまで店舗ごとに管理していた個人情報の取り扱いを中止。その後、保証書の番号を使ってデータを引き出すシステムを導入したが、購入者にとっては保証書の紙のみで管理するという状況に変わりはなかった。
しかし、2017年にオンライン購入や電子保証書が管理できる専用アプリを導入し、本格的に個人情報管理ができるようになったという。ダウンロード数は約50万件(2018年1月12日時点)。店舗に来店する客の4人に1人が購入を待つ間にダウンロードしているという。ただし、これは眼鏡購入者に限った話だ。ここにコンタクトレンズ購入者が加わればダウンロード数も大幅に増え、蓄積するデータも同時に増えることになる。
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