政府は13日の閣議で、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案を決めた。主要国では「18歳成人」が多く、若者の自立を促す狙い。女性が結婚できる年齢は16歳から18歳に引き上げ、男女ともに18歳にそろえる。成立すれば、民法が制定された明治時代から続く「大人」の定義が変わる。政府は今国会で成立させ、2022年4月1日の施行をめざす。
結婚できる年齢は男女の区別に合理的な理由がなく、16、17歳で結婚する女性も非常に少ないため、男女ともに18歳にする。養子をとれる年齢は現行の20歳を維持する。
成人年齢の引き下げにあわせ、年齢要件を「未成年者」や「20歳」などと定めている他の法律も見直す。例えば、飲酒や喫煙ができる年齢は現在の20歳以上を維持するため、法律名の「未成年者」を「20歳未満の者」に変える。競馬や競輪などの公営ギャンブルも法改正で20歳未満はできないままにする。有効期間が10年のパスポート(旅券)は18歳から取得できるようにする。
こうした法改正を民法改正案の付則に盛りこみ、民法を含め計23本の法律を改める。
成人年齢が引き下がると、18、19歳でも親の同意なくクレジットカードをつくったり、ローンを組んで高額商品を購入したりできるようになる。悪徳商法に狙い撃ちにされて、消費者被害が拡大するのではないかという懸念がある。
政府は近く、関係省庁が連携し、円滑な施行に向けた環境整備に取り組む検討会を立ち上げる。上川陽子法相をトップとして、消費者被害の実態や消費者教育の取り組みについて把握し、省庁横断で必要な対策を練る。
今国会では民法改正案と別に、消費者契約法改正案の成立もめざす。恋愛感情につけこんだ「デート商法」などの契約を取り消せるようにする内容だ。消費者保護の一層の強化をはかる。
成人年齢の引き下げは07年の国民投票法成立がきっかけだ。憲法改正の可否を決める国民投票の投票権年齢を18歳以上と定めた同法は付則で、公職選挙法の選挙権年齢や民法の成人年齢の引き下げの検討を促した。16年施行の改正公選法で「18歳選挙権」が実現している。
少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げるかどうかは、法制審議会(法相の諮問機関)で議論が続いている。