ハイリング®Ⅲ工法 特長/概要/メリット

鉄骨ばり貫通孔補強工法「ハイリングⅢ工法」。

新たな補強金物(SPスティック)を追加し、ハイリングとSPスティックを用いて、貫通孔を補強します。

従来の鉄骨ばり貫通孔補強方法は、スリーブ補強やプレート補強が一般的です。 これらの補強方法には、確立された評価方法がなく、慣用的に貫通孔の径や位置を制限しているため、設備計画での自由度が低いものとなっています。
ハイリングⅢ工法は、貫通孔部の耐力評価式が確立されていますので、貫通孔の径や、位置の制限を緩和し、設備計画の自由度を高めることが可能となります。 また、ハイリング等を標準化し、鉄骨製作の合理化を図り、コスト削減、工期短縮を実現します。
本工法は、実大実験・FEM解析にて、その信頼性も確認され、国土交通大臣の認定(認定番号MSTL-0234, 0451, 0477, 0480, 0515)および日本建築センターの評定(BCJ評定ST0095-09)を取得しています。

特長

はり成をD、はり内法長さをLとした時、塑性化領域はDの2倍またはLの0.1倍の大きい方とします。
  • 特長1

    補強金物を追加

    新たな補強金物「SPスティック(鍛鋼品)」を開発しました。
    また、高せん断耐力品ハイリング(Bタイプ)を追加し、補強する貫通孔部の応力に対して、下記「補強例」の4種類の方法で貫通孔を補強します。

    補強例

    • Rタイプ(基本パターン) → ハイリングのみで補強(従来どおり)
    • Bタイプ(せん断応力が大きい場合) → ハイリングBのみで補強
    • Sタイプ(応力が小さい場合) → SPスティックのみで補強
    • R+Sタイプ(応力が大きい場合) → ハイリングとSPスティックを組み合わせて補強
  • 特長2

    曲げ耐力の向上

    SPスティックを貫通孔の上下に取り付けることで、補強耐力(曲げ耐力)が向上しました。
    これにより、R+SタイプはBタイプと比べて約35%の軽量化を実現しつつBタイプ同等の曲げ耐力を発揮します。

  • 特長3

    溶接量の低減

    SPスティックは、はりウェブに隅肉溶接にて取り付けることで、従来品よりも溶接量を低減しました。
    例えば、従来品に比べφ150の場合は、Sタイプは約60%、R+Sタイプは約25%の溶接量を低減できます。

  • 特長4

    ラインアップを拡充

    ご要望の多かったφ225,φ275用をラインアップに追加しました。
    Bタイプはφ500、φ550、φ600用を標準化しました。

  • 特長5

    軸力作用ばりへの適用

    これまで適用できなかった、設計用軸力が作用するはりへの適用が可能となりました。
    詳細はオプションのページをご確認ください。

補強パターン

ハイリングⅢ工法では、ハイリングとSPスティックの2種類の補強金物を組み合わせることで、応力に対して適切な補強が可能です。

補強パターン一覧

Rタイプ
(ハイリングのみ)
Bタイプ
(ハイリングのみ/高強度タイプ)
Sタイプ
(SPスティックのみ)
R+Sタイプ
(ハイリング+SPスティック)

はりの種別により適用可能な型式が異なります。

適用型式 大ばり 小ばり 片持ばり
Rタイプ 適用可 適用可 適用可
Bタイプ 適用可 適用可 適用可
R+Sタイプ 適用可 適用可 適用可
Sタイプ 適用不可 適用可 適用可
  • Sタイプは小ばり・片持ばりにのみ適用できます。

補強例

応力に対してRタイプ、Bタイプ、R+Sタイプ、Sタイプを使い分けることが可能です。

大ばりの場合
小ばりの場合
R,R+Sタイプの耐力図例
はり
H -600×200×9×12
孔径
Φ300

耐力検討はセンクシアにて行います。

  • R+Sタイプ、SタイプはSRC造には適用できません。

概要

ハイリング

高せん断応力への対応が可能に
ハイリングBタイプを標準化
φ100~φ300まで25mmピッチ対応可能

ハイリング(補強金物)

1.材質

  • 鍛造製のHFW490(SN490B同等)
  • SN490B規格
  • 大臣認定取得材(認定番号MSTL-0234, 0477, 0480, 0515)

2.品種(貫通孔内径)

Rタイプ、Bタイプ
Φ100~Φ300(25㎜ピッチ)
Φ300~Φ600(50㎜ピッチ)

3.構造種別

S造、SRC造

SPスティック

より経済設計が可能に
SPスティックを標準化
SPスティックで補強することにより、効率的に曲げ耐力を向上することが可能

SPスティック(補強金物)

1.材質

鍛造製のHFW490rm(SN490B同等)

  • 大臣認定取得材(認定番号MSTL-0451)

2.品種(貫通孔内径)

Φ100~Φ300(25㎜ピッチ)
Φ300~Φ450(50㎜ピッチ)

3.構造種別

S造

導入のメリット

ハイリングⅢ工法の利点


  • 特長1

    貫通孔径は、はり成の2/3以下に対応可能

    (S造の場合)

  • 特長2

    塑性化領域への貫通孔設置が可能

    (S造:2ヶ所、SRC造:1ヶ所)

補強材の設計、製作が不要

孔径ごとに補強材を設計→孔径ごとに型式標準化

貫通孔のサイズに合わせて型式を標準化していますので、補強材の設計や製作、拾い出し作業等が不要です。

溶接量の低減

独自の溶接開先形状を採用し、必要溶接高さ(段部)以上の溶接を確保することで、はりウェブ面まで溶接する必要が無く、溶接量の低減を実現しました。

在来工法Φ300と比べ、ハイリング300Rは溶接量72%減、ハイリング300R+Sは溶接量58%減

(例)貫通孔1箇所あたりの溶接量

はりサイズ
H700×300×13×24
貫通孔径
Φ300
在来工法
2PL-9×550×550
ハイリング
300Rまたは300B

作業工数の低減

在来工法に比べ、ハイリング(200R)は約73%減 作業工数比較(弊社調べ)

在来工法に比べ、仮組みの工数が少なく、溶接熱によるはりの変形やひずみも少ないので、作業工数の低減が可能です。

設計自由度の向上

  • 在来工法に比べ、ピッチを狭くすることが可能です。
在来工法(PL補強)の例
ハイリングⅢ工法
貫通孔ピッチ(1.5d)
  • 塑性化領域に貫通孔2箇所まで設置可能です。(塑性化領域に設置する貫通孔径の合計は、はり成の2/3以下)
  • 貫通孔径(d)は、はり成の2/3(孔径比0.66)まで設けることができます
    • 無条件ではありません。検討が必要です。

塑性化領域の定義の最適化

従来は「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」に従って、塑性化領域を定義していましたが、シアスパン比(L₀/D)とはりが塑性化する領域の関係を考慮することで、塑性化領域の範囲を最適化しました。

2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書:シアスパン比に関わらず「2Dと0.1L₀の大きい方」 ハイリング工法:シアスパン比6以下
「1Dと0.1L₀の大きい方」 シアスパン比6より大きい「2Dと0.1L₀の大きい方」

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松竹株式会社 GINZA KABUKIZA(歌舞伎座タワー)

GINZA KABUKIZAにふさわしい、確かな信頼と安心をご提供する建築工法として、「ハイリングⅡ工法」が採用されました。

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