一瞬、何の事だかわからなかった、けど、あの撮影の事だよね?
あれから暫く経つのに、聞かないから、興味が無いのかと思ってた
で、どうかと言われても…
いつも質問にすぐ答えない僕にじれることもなく、ゆっくり待ってくれる彼が立て続けに聞く
「楽しかった?」
いつもなら、僕の答えを決めるようなことを言わない→誘導するのは好きじゃないって言ってたのに
慌てて答える
「楽しかった…ような」
彼の身体が急に動いた
完全に上体を預けていたので、ちょっとバランスを崩す
僕を受け止めながら、顔を覗き込む
「何が楽しかったのかな」
どうしたんだろう、目線がすごく、強くて怖い
ああ、答えを考えなきゃ
撮影されることはイヤだったし、メイクも衣装もイヤ…エアベース…もつらかったし、演技も、控え室も…
演奏シーンの時に、ちょっと嬉しかったり、楽しかったり…
太腿さま、奇術さん、紅髪くん…
掴まれていた両腕に、彼の指が食い込んで、痛さで我に返った
「何が、って聞いているんだよ」
答えを急かされるのも、初めてだ
「エアバンドのみんなと…なんか…一緒にいるのが…」
彼の目が驚いたように見開かれた
そんな顔、見たことがない
だけど、その時の僕は、自分でも自分の答えにびっくりして、彼の反応への驚きを忘れてしまった
そうだ、楽しかったんだ!
「興味深いなあ…」
そう言うと、僕の顎を持ち上げて、表情を観察する→いつもの彼だった