物心ついた時から「大人」だったという彼が「子供」を経験したい、というのが「実験」のはじまり
一年前に「実験台」になる契約をした僕
最近の「実験」はちょっと過激だ
「会社」で食事なんてしない彼が、フォークとナイフを持って来た
「これを、隣にいる誰かの腕に突き刺すなんて、小さな子だってなかなかやらないかな?」
拘束するためか、背後から抱えるようにして、僕の手を掴む
ゆっくりとカーディガンの袖が捲られる
フォークの先端が肌に触れ、身体に震えが走った
「血が出る程は刺さないよ」
背中越しに僕の反応を見て、静かに声をかけてくる
フォークの次はナイフ
「ナイフは、首かな」
怖い…けど、これが僕の仕事なんだ
ちょっと痛くて、ちょっと傷つく実験が
ナイフが鎖骨を滑って、首に向かう
「ああ、少し切れたね…血は出てないよ」
痛くはなかったけど、冷たい刃先の怖さに堪えきれず、つい、彼の腕を押さえてしまった
「じゃあ、終わり」
彼は淡々としていて、愉しいのかつまらないのかわからない
愉しいから続けているのか、つまらないから次を探しているのか