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待ちに待った月1度の代務(バイト)先で、15年前前後の同門会(外科医局)誌を読んだ。
外科崩壊を危惧する声が多数叫ばれると同時に新入局員の血気盛んな意気込みが書かれていた。

前者はとうに現場を去り、後者は次々に現場を去っている。


自分が、我々が戦っていた敵がようやくわかった。
なぜ、忘れてしまっていたのだろう。
もはや誰も叫んでいない。
言ってはいけない言葉だから。
第二次世界大戦 戦時中のよう。


涙が溢れてくるくらい、切実な現実・限界がここにある。

外科技術を磨くために切磋琢磨した彼らの記録がある。
先人が培った技術は、ぱたんと途絶えて、継承されないだろう。
組み体操のピラミッドは徐々には瓦解しない。
粉々になるまで、一瞬で消え去る。

なぜ、第一線病院の 42歳の肝胆膵外科医が 透析病院の雇われ院長でもないひらに転職する?
学徒出陣のように、卒後数年の若手を送り込んだところで、埋められる穴やない。


きっと世の中は 一気に崩壊したと思うだろう。
15年前にすでにここまで嘆いたようだった。

どうしてこんなことになった。

この国の無策の前に、我々外科医は、いったいどうすればいい。
毎日 16時間働くことなどできない。
国を患者を守る前に、娘と妻と、そのために自分の精神を守らねばならない。

時間外 160時間+当直3回 = 200時間 ×3ヶ月も耐えてきた。
常時時間外 100時間 当直3回 は当たり前。
36時間連続勤務は月3回当たり前。

オーストラリアに留学させられて、教官にさせられたら、
過労死するか精神崩壊までこきつかわれ続けるだけや。
5年後さらに、外科医は減り、そんな医局の将にさせられて、
死を覚悟して挑む戦いに、何か意味はあるんか?

五稜郭の戦いに挑む新撰組そのものにしか思えん。
土方歳三になれるなら、本望やけど、ただの消耗品でしかないやろう。

妻の実家の人口2万の町の病院に出ると申し出た私の言葉に対する、あの教授の顔
15年前の同門会誌に 当時 医局長として書かれていたあの秀逸な文章を読むと、
何を思っておられたか、ようやくわかった。

力及ばず、申し訳ない。
大学院の授業料年間50万を納め、医局費・研究費で月4万納めて、月給12800円で128時間以上働いて、
ろくに研究もさせてやれず、申し訳ない。
君の志を守れず、情けない。

膵癌を治したい そんな夢を持っていた自分が
ギャグにすら思えるわ。


みな、教授の力のなさをいう。
違うよ。
あれほど、時代を案じている教授はおらんわ。


時代が我々を殺そうとしとんや。
なぜこんなことになった。

実際に働いていない医者がどれだけこの世にいる?
週1,2しか働かない女医がどれだけこの世にいる?
実際に、生き死にを扱う急性期の医者がどの程度いる?
精神科、糖尿病内科の医者がどれだけたくさんいる?
外科専門医・指導医をもっているけど、急性期病院で働いていない手術をしない外科医はどれだけたくさんいる。


なぜ、把握しない。
なぜ、把握もせずに、医者が足りている? 外科医が足りている?

医局制度が悪い、医局制度が悪いなら、どうして、破壊したお前ら役人が、過疎地に医者を送れない?

古き良き時代の話なんて、もはやどうでもいい。

先輩から学び後輩に伝える 家族・兄弟と思うこの医局制度が、外科医の技術の根幹をなし、
どれだけの人々を助け、過疎地にも高度な医療をもたらし、世界最高の技術を誇ってきたか。

一朝一夕で成らないこの技術は、医局制度の中でしか、伝承できなかったんや。
他の形を、役人どもは我々に示したんか?


どうしてこんなことになった?
ほんとに女医が増えたことが原因か?

なぜこんなことになった。

一人前の 一般外科医を作るのに 10年
まともな、肝胆膵外科医を作るのに、さらに 10年

技術の伝承は、マクドナルドのバイトのように、すぐにはできない、
そんな簡単な仕事やない。


一度失われた技術は もう戻らん。
どうしてこんなことになった。

病院は過疎地から崩壊すると思ってた。
住民も知ってる。
瀕死の市民病院にはかからず、その先の中核病院に行く。
自治体は、瀕死の市民病院を必死に守ろうとする。
さっさと引き上げて、中核病院に配置すべきなのに、いつまでも粘る。
中核病院の部長クラスが離脱(開業)する。
若手を補充する。
名簿上は人数が保たれている。

前線はどんどん突破されている。

国民には、何も知らされていない。
週刊誌や新聞は希少な医療事故を煽る。

同志よ!!!
もう耐えるのはやめないか????

一度、乗れるようになった自転車は、また乗れる。
みんなで、一旦、手術や抗がん剤治療を辞めないか????


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初めてコメント差し上げます。
当直明けに調べ物中に、偶然先生の研修医時代のブログに辿り着いた中部地方の2年目研修医のものです。
今の私と同じ年次の頃に先生が書かれたブログを拝見し(エコーを皮切りにA型大動脈解離を見つけたものなど、覚えてらっしゃいますでしょうか?)、今の自分と同じ年次とはとても思えない実力に舌を巻き感動すら覚えるのと同時に、その実力を支える先生の熱量・努力量・男気溢れる人柄が文章からだけでも伝わってきて、ただただ心惹かれしばし時間を忘れて読みふけっておりました。

そんな先生が時を経て現在、仕事が仕事を呼び擦り減ってしまっている状況にあたっていること、外科の技術の伝承が途絶え医療崩壊するのを憂いていること、なんとかしたいと思っているのにどうしようもできない状況、無念有り余る様子、頑張る医師が報われず労働に見合う報酬を得られていない不条理…読んでいて非常に胸が痛くなるものがあり、心情想像するだに涙がただただ溢れました。(続きます) 削除

2017/8/7(月) 午前 11:35 [ 研修医K ] 返信する

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(前コメントの続き)
先生のような心意気ある一部の臨床医が、医療崩壊を防ごうと身を粉にし懸命に働いているのが地域医療の現状かと思いますが、堰が切れてしまった全国的な問題である以上、国家がなんとかする他ない、個人の力ではとても太刀打ちできない規模の問題になっているかと僭越ながら考えます。
世の流れだけは変えることのできないもの、その中で自分を壊さないよう、また一番大切な家族を守れるようどうかご自愛いただきたいです。濁流のなかガムシャラに走るのを一旦ストップしたとしても、先生の医師としての崇高さはなんら揺らぐものではないのですから。どうか自信と誇りを決して失わないでいただきたいです。
良い方向か悪い方向にかは分かりませんが、現在の状況から必ず医療現場の問題もどのみち長い時間をかけて収束に向かって流れていくはずです。

更新が1ヶ月途絶えてるようですが、無事過ごされておりますでしょうか?勝手ながら先生のことを心配しております。 削除

2017/8/7(月) 午前 11:36 [ 研修医K ] 返信する

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