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東北関東大震災被災労働者人民支援大運動を

日帝・文部科学省による、戦時体制形成をみすえた
教科書検定を弾劾する
(1139号4面)

 4月6日、日帝・文部科学省は、2016年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。その結果、社会科において、初めて地理、歴史、公民の全教科書に「竹島」(韓国名・独島)と「尖閣諸島」(中国名・釣魚列島)が記載されることが明らかになった。既に、今年度から使用される小学校教科書でも、全社の社会科の教科書で「領土問題」について記述されている。こうして、義務教育段階ですべての児童・生徒が、「領土問題」を学ばさせられることになったのである。安倍政府が「政府見解を尊重する記述」を教科書会社に強制した結果である。安倍政府の下、国家権力頂点からの差別主義・排外主義煽動が吹き荒れているが、その攻撃が小中学校の教科書にまで及んでいるのだ。

 安倍政府は、改悪「教育基本法」を全面展開させ、「愛国心」教育を意図する教科書を子供たちに強制し、戦争熱を煽る教育を行なうことで、「教え子を戦争に送る」戦時体制を一挙に形成しようとしている。われわれは、文部科学省による今回の教科書検定を弾劾し、朝鮮反革命戦争とファシズムに突撃する安倍極右打倒にさらに進撃する。

「領土問題」を煽動して戦争動員を狙う教科書検定

 教科書検定は、教科書会社が編集した原稿段階の教科書の記述を文部科学省が審査する制度である。その審査基準として、�学習指導要領に則しているか、�範囲や表現は検定基準に基づいて適切かなどを「教科書検定審議会」に諮って審査する。この審査に合格しないと教科書として認められないため、教科書会社は常に、文部科学省の顔色をうかがいながら教科書を作成しなければならない。このように、文部科学省による教科書検定は、国家権力による教育の統制の手段として使われてきた。

 今回の教科書検定は、教科書会社から九教科計104点が申請されたことに対する検定であったが、特徴的なのは、教科書作成の指針となる「学習指導要領解説書」の2014年1月改定後の初の検定であったということだ。

 安倍政府(第1次)時代の2006年に「教育基本法」が改悪され、「愛国心」養成が「教育目標」に盛り込まれた。その上で今回の教科書検定に際し、文部科学省は「教育基本法に照らし重大な欠陥がない」ように「合格基準」を厳格化した。その流れの中で、2014年1月に文部科学省は、小学・中学・高校の「教科書検定基準」と、中学・高校の「学習指導要領解説書」を相次ぎ改定したのである。新たな「検定基準」では、近現代史を扱う際の「閣議決定など政府の統一見解の尊重」が初めて基準に明記された。そもそも、「検定基準」も「解説書」も、通常、ほぼ10年ごとに行なわれる「学習指導要領」の改定とセットで見直されるのが「通例」であり、今回の「検定基準」「解説書」単体での改定自体が、異例の措置である。その「学習指導要領解説書」には、「領土教育の強化」を要求するという、安倍政府の意向が明記されているのである。

 教科書検定の結果、社会科の地理、歴史、公民で合格した18点すべてに「竹島」と「尖閣諸島」が記載され、そのうち大半に「日本固有の領土」とする記述が掲載された。「竹島」を扱う現行の教科書は11点、「尖閣諸島」は9点であったが、今回、ともに大幅に増加した。「固有の領土」との記述も、「竹島」が現行の9点から14点へ、「尖閣諸島」は5点から13点に増加した。そして「学習指導要領解説書」改定を受け、教科書会社2社が検定を申請後、計5点の「領土記述の変更」を余儀なくされている。

 現在の「領土問題」における日帝の立ち位置についての記述は、さらに悪辣極まるものである。「竹島」については「韓国が不法占拠している」、「尖閣諸島」については「領有権の問題は存在していない」なぞとこぞって表現されている。外務省のホームページを参照した記述も多い。その一方で、韓国や中国の「領土問題」についての主張も記載がなく、さらには対立の歴史的背景も一切書かれていない。今日の中国・韓国との間の「領土問題」は、「明治維新」以降の、「琉球処分」による沖縄の統合支配や、「日清戦争」を皮切りとする数々の侵略戦争など、日帝の傲慢な対アジア政策の結果引き起こされたものばかりである。にもかかわらず、そんな歴史的事実をごまかした一方的な「政府見解」ばかりを子供たちに刷り込むことで、中国・韓国への敵対心を煽りたてようとしているのだ。これでは、一方的見解ばかりを好きなように書き連ねて中国や韓国を罵倒する「ネット右翼」どもと、どこも違わないではないか。

 教科書検定を通して、「領土問題」を煽るだけ煽り立てて戦争熱を醸成し、子供たちに戦争動員を強制しようとする安倍政府の悪辣な攻撃を、断じて許すことはできない。

「政府見解の尊重」が強制された教科書検定

 今回の教科書検定では、「領土問題」だけでなく、歴史教育全般にわたる統制が強化された。特に狙い撃ちされたのが、近現代史をめぐる記述である。近現代史の記述をめぐっては、「検定意見」が6件つけられた。4件は「従軍慰安婦」と「戦後処理」、「東京裁判」の記述で「政府の統一見解に基づいていない」と指摘するものであり、2件は関東大震災の際に殺害された朝鮮人の数について、「通説的な見解のないことが明示されていない」とするものである。「政府見解を尊重する記述」を求める「検定基準」が適用された結果、歴史事実の歪曲が著しく進行する事態となった。

 1923年の関東大震災に際しての、官憲主導の差別主義・排外主義煽動の結果、「自警団」の下に引き起こされた朝鮮人大虐殺について、その数を「数千人」とした記述に対して、初めて検定意見がつけられた。その結果、「通説はない」などと書き加えることで初めて合格するケースが出現した。関東大震災下、6600人を越える在日朝鮮人・中国人が大虐殺された恥ずべき歴史を、数をごまかすことで隠蔽しようとする安倍政府の悪辣ぶりがここでも示されている。その種のごまかしは、「南京事件の犠牲者の数は諸説ある」と言いなして、かの南京大虐殺の事実を隠蔽しようとする手口にも貫かれている。

 そんな安倍政府の傲慢なやり口は、「従軍慰安婦」の記述をめぐる統制に、より露骨に示された。2004年度検定以降、記述がなかった「従軍慰安婦」について、今回新規参入した教科書会社の「学び舎」が作成した歴史教科書が、1993年の「河野談話」を添付して取り上げている。その「学び舎」作成の教科書に対する「検定意見」は、怒りなしに読めないものである。「学習指導要領に照らして基本的な構成に重大な欠陥がある」として、文部科学省は「学び舎」作成の教科書を一旦「不合格」として圧力をかけ、内容を「修正」させることで「合格」させているのだが、その過程で、「従軍慰安婦」について、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような資料は発見されていない」と居直る政府見解を記述させたのである。

 日帝は、敗戦時に、数知れぬ残虐行為の事実を隠蔽するために、「証拠資料」をことごとく焼却処分するなど、戦争責任の隠蔽工作に手を染めてきた。元「従軍慰安婦」に関する資料も、処分の対象となったのは周知の事実である。そのことを承知の上で、安倍政府は、あたかも「従軍慰安婦問題」が存在しないかのごとく言いぬけようとしているのだ。しかし、安倍の�願望�とは正反対に、実際には、日帝軍隊が占領支配したアジア各地で「従軍慰安婦問題」の実態解明が進み、特に「満州国」をデッチあげて占領支配した中国東北部で、日帝軍隊による「従軍慰安婦」強制連行の物的証拠・資料が大量に発見されるなど、最早言い逃れようがないものとなっている。にもかかわらず、安倍政府は、元「従軍慰安婦」たちの尊厳をかけた告発を踏みにじり、戦争責任をあくまで居直ろうとしているのだ。

 教科書検定をめぐる歴史改竄は、アイヌをめぐる記述についても及んでいる。アイヌを隷属させるための差別法である「北海道旧土人保護法」をめぐる記述について、「狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました」と、あたかもアイヌに恩恵を施したように書き換えられた。北海道の豊かな漁業資源をアイヌから強奪した挙げ句に、極寒の中での過酷な開墾作業を強制して搾取・収奪を強制し、「同化」攻撃まで強制した恥ずべき歴史について「恩恵を与えた」なぞと美化することで、アイヌへの支配強化の歴史をねじ曲げようとしているのだ。

教科書検定を弾劾し戦時体制形成を粉砕せよ

 こうした教科書検定をくぐりぬけた教科書には、天皇制強化をみすえての「国旗」「国歌」の記載が強化されたばかりか、「天皇の国事行為」についても、より詳細な記述がなされている。「天皇は、国事行為以外にも、国際親善のための外国訪問や、式典への参加、被災地の訪問など、法的、政治的な権限の行使に当たらない範囲で、公的な活動を行なっています」とする記述が掲載されたばかりか、東北・関東大震災の被災地を蹂躙する天皇・アキヒトの写真まで掲載している。教科書で天皇の存在を強調することで、改憲の眼目の一つである「天皇元首化」の土台を構築し、天皇制を軸とする反革命国民統合を強化しようとしているのだ。

 教科書検定に先立つ3月27日、文部科学省は、教科に格上げする小・中学校の「道徳」の「新学習指導要領」を告示した。実施は、小学校が2018年度、中学校が2019年度とされた。そして、検定教科書と「評価」が導入されることになる。文部科学省は、今年夏ごろまでに教科書作成の指針となる「指導要領解説書」と「教科書検定基準」を作る。児童・生徒に対する「評価」は、数値ではなく、記述式にする方針で、今年4月にも専門家会議を設け、2015年度内に「評価」方法などを示すという。今年4月からは、「新学習指導要領」の内容を先取りした授業も可能で、教科書ができるまでは、文部科学省作成の教材「私たちの道徳」の使用まで想定されている。この「道徳」教科は、「特別の教科 道徳」と位置づけられている。戦前の「修身」が「筆頭(首位)教科」と位置づけられていたのと同様の扱いを受けることになるのだ。

 こうして、文部科学省の介入の下、教科書会社の統制が進められ、実質的な「国定教科書」として再編されようとしている。そして、「道徳」教科の導入をも受けながら、教育の反革命再編にはずみをつけようとしているのだ。

 今回の教科書検定に対し、諸外国は非難の声を上げている。4月6日、韓国政府は、「独島」を日本の領土とする教科書検定について、抗議する声明を発表した。中国では、国営新華社通信が、南京大虐殺などについて教科書の記述が変わったことを挙げ、「歴史修正主義が露わになった」と報じている。4月7日には、台湾政府も、「釣魚列島」をめぐる記載について「主権は中華民国が有している」として日本政府に抗議した。安倍政府は、これらの抗議の声に対し、居直りを決め込んだ。官房長官・菅は、韓国政府の抗議に対し「抗議は受け入れられない」と露骨に反論してみせた。

 さらに、昨年11月に、日帝・外務省は、米国の公立高校向けの世界史教科書について「従軍慰安婦問題を巡る誤った記述があるので訂正せよ」として、米国の大手教育出版社にまで圧力をかけている。今年3月には、日本大学名誉教授・秦郁彦ら19人のファシスト文化人も、米国の大手教育出版社に同様の圧力をかけ始めている。この連中が問題にしている箇所は、米・カリフォルニア州やロサンゼルス市近隣の公立高等学校で使用される世界史教科書の中の、第2次世界大戦を扱う部分で「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるため強制的に徴用した」「逃げようとし、殺害された慰安婦もいた」と記述している部分である。こんな恥ずべき日帝の圧力に対し、今年2月の段階で、教科書製作に携わった米国の歴史学者19人が声明を出し、「日本政府が他の国家の歴史教科書の記述まで抑圧しようとする試みに対して、驚きに耐えない」と当然にも強く非難している。

 こうした安倍政府の傲慢な居直りに対して、アジア労働者人民は怒りを蓄積させている。韓国の元「従軍慰安婦」を先頭に、日本政府に対する粘り強い闘いがうちぬかれている。戦争責任追及を闘う韓国・中国―アジア労働者人民と連帯し、文部科学省による教科書検定を徹底弾劾しよう。

教科書採択運動の強化を狙う反共ファシストの跳梁を許すな

 文部科学省の教科書検定強化に乗じて、反共ファシスト勢力が跳梁をさらに強めている。全国各地で教科書採択運動を組織化して、ファシズム運動形成のステップにしようとしているのだ。

 反共ファシスト文化人どもを軸として1996年に作られた「新しい歴史教科書をつくる会」は、2002年に、「扶桑社」(産経新聞系列)から「新しい歴史教科書」を発行した。その後、「新しい歴史教科書をつくる会」は、内部分裂し、脱退した部分が2007年に「教科書改善の会」をたちあげるとともに、新たに設立した教科書会社・「育鵬社」(「扶桑社」の子会社)の下での教科書作りに入り、「新しい歴史教科書をつくる会」に残留した部分は、「育鵬社」系列と袂を分かち、「自由社」の下での教科書作成を進めてきた。こうして現在、「新しい歴史教科書をつくる会」の流れを汲む「育鵬社」「自由社」の2社が、歴史・公民教科書を作成しており、両者は、醜い主導権争いを続けてはいるが、従来の教育内容を極右の立場から攻撃するファッショ的な姿勢に変わりはない。その上で、特に「育鵬社」系グループは、「日本教育再生機構」なる組織をたちあげて、安倍政府や「日本会議」、「神社本庁」などファシスト団体との連携を強めることで、ファシズム運動としての教科書採択運動を強化しようとしている。

 今回の教科書検定で「合格」のお墨付きを手にした「育鵬社」「自由社」は、新たに教科書採択運動を展開しようとしており、ファシスト勢力は、地方議会において「教育基本法や学習指導要領の改正の趣旨に最もふさわしい教科書の採択」を求める請願を採択するなど、翼賛化の著しい地方議会を利用して、教科書採択運動を全国で展開している。その結果、2011年には、横浜市や東京都大田区をはじめ、東京・栃木・埼玉・神奈川・大阪・島根・広島・山口・香川・愛媛の道府県の、いくつかの市区町村の教育委員会が「育鵬社」版の歴史・公民教科書を採択し、傘下の公立学校に強制された。

 さらに、沖縄に対しても、「つくる会」系列の教科書の押しつけが強制されている。2011年8月に、八重山諸島の三市町で構成する「八重山採択地区協議会」が「育鵬社」の公民教科書を使用するよう答申したのだ。この決定に反発する竹富町教育委員会が独自に別の公民教科書を採択したことに対して、文部科学省が圧力をかけた。2014年3月に、文部科学省は、竹富町教育委員会に対して、「育鵬社」版の公民教科書を使用するよう「是正要求」をつきつけたのだ。この「八重山教科書採択問題」は、結局2014年5月21日に沖縄「県」教育委員会が、八重山採択地区(石垣市・与那国町・竹富町)から竹富町を分離独立させ、「竹富採択地区」を新設することを決め、竹富町教育委員会が単独で教科書を採択できるようになったことで決着したが、ファシストを尖兵とする、沖縄における�新たな皇民化教育�が強化されようとしているのだ。

 安倍政府と連携したファシスト勢力の跳梁を粉砕し、ファシスト教科書採択運動を粉砕しよう。

安倍極右政府主導の「愛国心」教育を粉砕せよ

 今回の教科書検定は、明確に改悪「教育基本法」を発動させた、国家権力頂点からの教育統制強化の攻撃である。教育現場では安倍政府の意向を受けた「教え子を戦場に送る」ための「愛国心」教育が進行し、闘う教育労働者への弾圧が強化されている。現場での攻防を闘う、良心的な教育労働者の闘いを支えながら、安倍政府の下での「愛国心」教育強制を粉砕しよう。

 ファシスト東京都知事・石原(当時)が先鞭をつけた「日の丸」「君が代」強制は、今や大阪府知事・橋下らがその手法を引き継ぎ、全国「都道府県」に拡大している。

 東京都教育委員会による2003年「10・23通達」以降、都立高校で卒業式・入学式などでの「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱が義務化され、「不起立」など「職務命令に違反した」とみなされた教職員に対して処分攻撃を乱発し、2013年度までの間に、のべ463人もの処分が繰り返されている。そして、今年3月の2014年度の東京都立学校での卒業式では、板橋特別支援学校に勤務する田中聡史氏が東京都教育委員会による「君が代」強制の職務命令に抗議して、卒業式の「君が代」斉唱時に不起立の闘いを貫いたことに対して、都教委は、3月30日付で田中氏に減給10分の1・1ヵ月の不当な処分を発令した。大阪では、大阪府知事・松井、大阪市長・橋下の下で教育行政の改悪が矢継ぎ早に強行され、様々なファッショ的「条例」を成立させている。

 こうして、教育現場における恐怖政治を行ない、教育労働者の闘いを根絶やしにした上で、「愛国心」教育と「道徳の教科化」で子どもたちをガンジガラメにし、戦争動員のために「忠君愛国」の「少国民」へと染め上げようとしている。その動きは、都立高校で露骨に進行している。東京都教育委員会は、都立高校生徒に対して、自衛隊駐屯地での「宿泊防災訓練」を強制しようとしているのだ。既に都立大島高校では、2014年11月26日から2泊3日で、武山駐屯地(神奈川県横須賀市)での「訓練」(隊内訓練)が実施された。この「訓練」の参加者は、第2学年35人中16人であった。大島高校校長は、第2学年の全員参加を目論み、不参加者に対して何度も働きかけ、切り崩しを狙ったものの、これ以上の参加には至らなかった。「訓練」の内容自体は、「集合・行進・解散」がとめどもなく繰り返される内容であり、とても�防災訓練�とは言えたシロモノではなかった。根強い反対運動の一定の�成果�として、自衛隊としてもさすがに露骨な軍事訓練にまでは踏み込むことができなかったのである。しかし都教委は、今年度以降も、自衛隊との連携をさらに強め、内容の強化も図ってくるであろう。

 図に乗る安倍政府は、今度は、国立大学に対する「日の丸」「君が代」強制にまで踏み込もうとしている。4月9日、参院予算委員会で極右政党「次世代の党」の参院議員・松沢が、「ほとんどの国立大学で国歌斉唱を実施せず、国旗を掲揚しない大学も12から13ある」と指摘した。この指摘に対し、わが意を得たりとほくそ笑んだ首相・安倍は、「学習指導要領がある中学、高校では実施されている。国立大でも教育基本法の方針にのっとって正しく実施されるべきだ」と言い放った。この安倍の答弁を追い風に、早速、文科省・下村は、国立大学に対する「要請」に動き出した。「日の丸」「君が代」強制攻撃が、遂に国立大学にまで及んできたのだ。文部科学省は、国立大学に対しても補助金を通して強い影響力を持ち、しかも国立大学においても学長権限の強化などの支配統制を強めている。文部科学省は、革命的学生運動への弾圧を強めることで、学生に教育支配・統制への屈服と沈黙を強制した上で、「愛国心」教育を押しつけようとしている。こうして、大学が「国家と企業に貢献する大学」として再編されることで、かつての15年戦争下の「学徒動員」が再現されようとしているのだ。

 「日の丸」「君が代」の強制―処分と対決し、闘う教育労働者と連帯し、「日の丸」「君が代」強制攻撃を打ち砕いていかなければならない。

 天皇制ファシズムに屈服し、差別主義・排外主義に転落し、朝鮮、中国―アジア労働者人民虐殺に加担していった日本階級闘争の敗北の歴史の根底的突破をかけて、ファシズムへの急接近を打ち破らねばならない。安倍極右政府の攻撃に屈服していては、労働者人民に未来はない。今こそ、〈戦時下の新たな革命的学生運動〉を全面展開させ、教育・学園のファッショ的改編を粉砕しよう。戦争遂行の安倍極右政府打倒へ進撃しよう。