気が遠くなるほど長い「終業までの1時間」をクリエイティブにする4つの技
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私の場合、職場での1日はお決まりのコースをたどります。出勤してから午前中の数時間は生産性も非常に高く、「今日は何でもできそうだ」という気持ちになります。けれども、昼食の後は強烈な眠気に襲われ、ウトウトし始めます。睡魔が去った後の1~2時間でようやく態勢を立て直し、多少の成果を出します。そして終業までの1時間は、オリンピックのカーリングの試合にネコをコラージュした動画をクリックしたい衝動との戦いに明け暮れる、といった具合です。
悩みを抱えているのは私だけではありません。Redditの「r/LifeProTips」というスレッドにも「終業までの長い1時間をどうやり過ごすか教えて」という問いが投稿され、多くのコメントが寄せられました。その中には、おやつ(オレンジやアーモンドなど)を食べる、あるいは少しだけ昼寝をするといった、役に立つアドバイスがあります。
しかし、せっかくなので科学的な研究に裏付けられた、決定版とよべる答えが知りたいと思った私は、ダニエル・ピンク氏にアドバイスを求めることにしました。ピンク氏はビジネスや生産性、人間の行動などをテーマにしたベストセラーをいくつか出している著述家で、最近も『When: The Scientific Secrets of Perfect Timing(いつ:科学が教える完璧なタイミングの秘訣)』という著書が刊行されたばかりです。
同氏はメールで、終業までの時間をもっと生産的に使うための技を、いくつか授けてくれました。以下にご紹介しましょう。
休憩を取ろう、ただし「正しい」休みの取り方で
まったく休憩を取らずに、延々と働き続けるのが不可能なことはご存じでしょう。特に、創造性や集中力が必要なタイプの仕事では、休憩時間がとても大切です。ピンク氏は「良い気分や頭の冴えを取り戻す上で、休憩が私たちが考えている以上に大切であることが、科学的研究で明らかになっています。しかも、せっかく休憩を取るならば、1人よりも誰かと過ごし、室内にこもるよりも屋外に出かけ、じっとしているよりも身体を動かし、仕事を中途半端に引きずるよりも仕事をきっぱりと忘れるほうが、最高に効果が出ます」と述べています。
言い換えれば、同僚を誘って散歩をしたり、友人と約束して少しの時間、コーヒーを飲みに出かけたりするのが良い休憩ということです。ピンク氏も「休憩時には、仕事以外のことを話題にしましょう。それから、携帯電話/スマートフォンは職場に置いていくことですね」とアドバイスしています。
眠くなる時間帯にブレーンストーミングの時間を設けよう
私の場合、いちばん創造力が働いて集中できるのは、午前6時ごろの朝の早い時間から正午にかけてです(ただし、その日のニュースを見てしまうと、仕事への集中力は消え失せてしまいますが...)。そして、お昼を過ぎるとほぼずっと、コーヒーを飲みたい、同僚とおしゃべりをしたい、という気持ちを抱きながら過ごしています。
「昼下がりの終わりから夕方の早い時間にかけては、午前中と比べると集中力が失われがちです。しかし、気分は朝よりも高揚しているはずです。このように気分が良くなり、抑制のガードが下がっている午後の時間帯は、創造的で自由な議論を予定に組み込むのに最適なタイミングです」
その日の成果を記録しよう
エクササイズや食事、お金の使い道については、記録をつけている人も多いはずです。では、仕事に関しても同じことをやってみるのはどうでしょう? 仕事が終わる前の数分間を使って、その日の成果を書き留めるよう、ピンク氏もすすめています。
「ハーバード大学のTeresa Amabile氏の研究によれば、日々の仕事へのモチベーションの中で、単独でいちばん効果的なのは、意義を感じられる仕事に励み、その結果として進展があった、と実感することだそうです。しかし、『やり終えた』事柄をちゃんとチェックしておかなければ、目標に向かった進歩があったのかどうかもわかりません。1日の締めくくりとして、その日の成果を記録する習慣をつければ、その1日の印象がより前向きなものとして刻まれるはずです」。この方法は「今日も1日、何もできなかった」と落ち込みがちなタイプの人には、特に効果を発揮するはずです。
次の日にスムーズに仕事を始められるように準備をしておこう
この方法は、私も何年か前に知って、実行しています。たしか『Finish Your Dissertation in 15 Minutes a Day(1日15分で博士論文を書き上げる方法)』という本で目にしたのだと思います。これは、次の日の朝の仕事をスムーズに進めるために、前日のうちに用意をしておくというやり方です。私の場合は、書かなくてはいけない文章がある時に、あえて中途半端なところでやめて保存するようにしています。こうしておくと、次に仕事に向かう時には書きかけのところから始められるので、すぐに執筆に戻れるのです。
このメソッドについても、ピンク氏はこう書いています。「ツァイガルニク効果を利用しましょう。これは、やり終えた事柄よりも、途中までしかできていない事柄のほうが記憶に残りやすいという人の性質を指す言葉です。ですから、たとえば何か文章を書いているなら、文の途中で、書くのをやめてみてください(作家のアーネスト・ヘミングウェイもこの手を使っていたようです)。こうしておくと、仕事を離れても書きかけの文が気になって仕方がなくなります。そして翌日の朝や、オフィスに戻った時は、中断したところからすぐに執筆を始められるでしょう」。しかもこれなら、生産的なタスクを行なっているという実感を得られるので、良い気分で仕事を終えられますし、次の日もやる気を保ったままで仕事に取り組めるでしょう。
ピンク氏のアドバイスは、どれも有益なものばかりです。とはいえ、おやつや昼寝(あるいはその両方)が効果的だという、Redditユーザーの指摘にも一理あります。疲れ果てていたり、血糖値が急降下したりしていると、仕事終わりまでの1時間が、本当に気が遠くなるほど長く感じるものです。
また、たまに息抜きを入れることで、余裕を保てます。脳は時に、休憩が必要なのです。もしあなたにとっての「息抜き」が、10分間のネコ動画を見ることだったら、それでもまったくかまいません。「明日絶好調で仕事を始めるための準備」ということにしておきましょう。
Image: reynermedia/Flickr
Source: Reddit, Daniel Pink
Leigh Anderson - Lifehacker US[原文]
訳:長谷 睦/ガリレオ